個人事業主の廃業率は実際どれくらい?最新統計データで読み解く生存率と廃業の現実

更新: 2026年5月27日

「個人事業主の廃業率はどれくらいなのか」——独立や事業継続を考えるとき、誰もが気になる数字です。ネット上では「2年で半数が廃業」「10年後に残るのは約1割」といった数値も目にします。しかしその出典や前提はあいまいなことが少なくありません。

実は「個人事業だけの廃業率」を単独で示した公的統計は存在しません。廃業率は調査・定義・対象年度によって意味が大きく変わります。本記事では一次統計を出典・年度つきで整理します。参照元は中小企業白書、厚労省「雇用保険事業年報」、東京商工リサーチ、帝国データバンクなどです。

扱うのは開業率・廃業率の最新値と推移、起業後の生存率、業種別の傾向、そして近年急増する「黒字なのに廃業する」現実です。数字の正しい読み方とあわせて解説します。読み終えたとき、廃業率の数字を冷静に自分ごととして読み解ける状態を目指します。「廃業以外の選択肢」まで視野に入れた判断ができるように構成しました。

個人事業主の「廃業率」とは?定義と統計の前提を整理

「個人事業主の廃業率」を一つの確定値で語れる公的統計は存在しません。 だからこそ出典・年度・対象の確認が、すべての出発点になります。

「廃業率とは、一定期間に廃業した事業所(企業)数を、期初の事業所(企業)数で割った割合」を指す指標です。ただし、算出に使う統計によって対象範囲と年度が異なります。代表的なのは厚生労働省「雇用保険事業年報」をもとに中小企業白書が公表する事業所ベースの廃業率です。

ネット上では「個人事業主の廃業率は◯%」と断言する記事も見られます。しかしその根拠を辿ると、出典が二次まとめにとどまるケースが少なくありません。本セクションでは、どの統計が何を測っているのかを整理し、誤読を避けるための土台を作ります。なお、廃業そのものの定義や手続きの全体像は個人事業主の廃業と譲渡の全体ガイドで扱っています。

廃業率の定義と算出方法(事業所ベース)

公的に最も引用される廃業率は「事業所ベース」です。法人・個人は分離されていません。

廃業率の算出式は次のとおりです(厚生労働省「雇用保険事業年報」ベース、中小企業白書2025で引用)。

廃業率 =(年度内の廃業事業所数 ÷ 期初の適用事業所数)× 100

母集団は「雇用保険適用事業所」です。雇用保険に加入する被保険者がいる事業所が集計対象になります。この統計は法人と個人を区別せず、あくまで「事業所」単位の集計です。出典は中小企業庁「2025年版中小企業白書 第8節」(2025年公表)です。

もう一つの代表的統計が、総務省・経済産業省「経済センサス」です。事業所・企業の網羅的調査ですが、開廃業率の算出には制約があります。個人経営の開廃業が集計対象から除外されるなどの設計上の制約です。出典は総務省統計局「経済センサス総合ガイド」です。

つまり「事業所ベースの廃業率」も、母集団の取り方によって意味合いが少し変わるのです。一つの数字を絶対視するのではなく、出典と母集団を毎回確認する姿勢が欠かせません。

「個人事業だけの廃業率」は公的統計に存在しない理由

個人事業単独の廃業率を確定値で示した公的統計は、現時点では確認できません。

理由は統計の設計にあります。

第一に、雇用保険事業年報は事業所ベースで集計され、法人と個人を分離していません。第二に、経済センサスでは開廃業率の算出時に制約があります。個人経営の開廃業が集計対象から除外される設計です。出典は総務省統計局「経済センサス総合ガイド」です。

第三に、総務省統計局「個人企業経済調査」は個人経営の事業所を対象とします。ただし「廃業率」そのものは集計していません。「今後の事業展開」として「廃業したい」と答えた企業の分布などを集計する設計です。出典は総務省統計局「個人企業経済調査」です。

このため、ネット上で見かける「個人事業主の廃業率は◯%」という断言は、一次出典をたどれない場合が多いと言えます。読者として身につけたい習慣は、数値を見たら出典を確認することです。どの統計の、何年度の、何ベース(法人/個人/事業所)の数字か——この3点を毎回チェックします。

開業率・廃業率の最新値と推移(公的統計)

直近の事業所ベース廃業率は3.9%(2023年度)です。前年度より上昇しました。

ここからは、公的統計が示す最新値を見ていきます。厚生労働省「雇用保険事業年報」と、それをまとめた中小企業白書が一次情報源です。グラフ・表の数値はすべて出典年度を併記して読み解きます。

数字を見るときの注意点を先に共有します。一つは「事業所ベースの集計」であり、法人・個人を分けていない点です。もう一つは、年度ごとに集計タイミングや母集団がわずかに調整されるため、年次の単純比較は慎重に行う必要がある点です。

最新の開業率・廃業率(雇用保険事業年報ベース)

2023年度の開業率と廃業率はいずれも3.9%。両者が同水準で並びました。

中小企業白書2025年版によると、2023年度の数値は次のとおりです。母数は厚労省「雇用保険事業年報」ベースです。出典は中小企業庁「2025年版中小企業白書 第8節」(2025年公表)です。

  • 開業率:3.9%(2023年度)
  • 廃業率:3.9%(2023年度)

直前の動きとして、2024年版白書では2022年度の廃業率を3.3%と公表していました。出典は中小企業庁「2024年版中小企業白書 第5節 開廃業」(2024年公表)です。2022年度から2023年度にかけて、事業所ベースの廃業率は上昇したことになります。

開業率と廃業率がともに3.9%で並んだ事実は、事業所の新陳代謝という観点から注目されています。ただし「日本の起業環境がどう変化しているか」を断言するには、業種別・地域別・規模別の構造まで合わせて見る必要があります。本セクションは「事業所ベースの率」の話に絞り、法人・個人別の話は別途扱う方針です。

廃業率の長期推移と国際比較

事業所ベースの廃業率は長期的におおむね数%台で推移してきました。

中小企業白書2025年版「13表 会社開廃業率の推移」では、長期的な開廃業率の動きが整理されています。母数は雇用保険事業年報です。直近で廃業率は数%台前半〜中盤の幅で推移してきました。開業率と概ね同程度の水準で動いてきた点が特徴です。出典は中小企業庁「2025年版中小企業白書 13表」(2025年公表)です。

国際比較については、中小企業白書2017年版が参考になります。日本の開業率・廃業率は米国・英国・フランス・ドイツなどに比べて低い水準にあると指摘されています。出典は中小企業庁「2017年版中小企業白書 第2部」(2017年公表)です。

ただし「日本の廃業率が低い=事業が安泰」という単純な解釈は避けたほうがよいでしょう。退出が少ないということは、新陳代謝が緩やかである可能性も含みます。後述する休廃業・解散件数(実数ベース)の急増と合わせて読み解く必要があります。

起業後の生存率(1年〜10年)

白書が示す代表的な生存率は、5年で約8割。ただし対象は原則「法人」です。

廃業率と表裏一体なのが「生存率」です。「起業して何年生き残れるのか」というよく検索される疑問に、出典つきで応えていきます。同時に、これらの数字が誰を対象にしたものか(法人か個人か)という重要な但し書きも明らかにします。

数字の前提を取り違えると、「自分の業種・形態でも同じ確率で生き残れる」と誤読してしまう危険があります。表の読み方こそ、この記事で最も大切にしたい部分です。

中小企業白書が示す生存率(法人ベースの但し書き)

5年生存率は約8割。これは原則「法人」を対象としたデータです。

中小企業白書2017年版が示す起業後の生存率は次のとおりです。出典は中小企業庁「2017年版中小企業白書 第2部 中小企業のライフサイクル」(2017年公表)です。

経過年数 生存率
1年後 95.3%
2年後 91.5%
3年後 88.1%
4年後 84.8%
5年後 81.7%

中小企業白書2023年版では、創業後5年の生存率を80.7%と公表しています。母数は帝国データバンクのデータベースです。出典は中小企業庁「2023年版中小企業白書 第2部第2章」(2023年公表)です。

ここで強調したい但し書きは二つあります。

第一に、これらの数値は原則として「法人」を対象に集計されています。個人事業主が含まれていないか、あるいは限定的な含まれ方をしている点に注意です。第二に、帝国データバンクのデータベースは一定規模以上の事業者を中心に収録される傾向があります。創業直後に廃業した小規模事業者は捕捉されにくい可能性があると、白書自身も注記しています。

したがって、この生存率表を「個人事業主の生存率」と読み替えるのは正確ではありません。あくまで「法人ベースで見た場合の参考値」として位置づけてください。

個人事業主の生存率に関するデータの限界

「2年で半数廃業」「10年で1割生存」は、公的一次統計に直接の裏付けを見出しにくい通説です。

インターネット上では、「個人事業主の2年生存率は約50%」「10年後に残るのは約1割」といった数値が広く引用されています。

しかし、これらの数値の一次出典をたどると、公的な統計に直接の根拠を確認することは容易ではありません。複数の二次まとめが同じ数字を引用し合っているケースも見受けられます。本記事ではこれらを「公的裏付けが乏しい通説」として扱い、確定値としては掲載しない方針をとります。

背景としてしばしば指摘される見方があります。個人事業は法人より開業ハードルが低い分、母集団の入れ替わりが激しい傾向があるというものです。これは断定でなく傾向の話として理解してください。正確に個人事業の生存率を把握するには、複数統計の組み合わせが必要です。雇用保険事業年報・経済センサス・個人企業経済調査などを、母集団の制約を踏まえて読み解きます。

数字の精度を慎重に扱うこと自体が、結果として読者の意思決定の質を守ります。

休廃業・解散の最新動向と「黒字廃業」の現実

2024年の休廃業・解散は、調査開始以降の最多水準を記録しました。

廃業率(比率)とあわせて見ておきたいのが、実際に何件の事業者が市場から退出しているかという「休廃業・解散」の件数です。民間の調査会社が毎年公表しているデータからは、近年の廃業をめぐる深刻な現実が浮かび上がります。

ここで扱う民間調査は東京商工リサーチ(TSR)と帝国データバンク(TDB)です。同じ「休廃業・解散」を集計していても、調査会社や定義によって件数が異なります。本記事ではどちらか一方ではなく、両社の数値を並べて出典明記の上で紹介します。

2024年の休廃業・解散は過去最多

TSR・TDBの両社が、2024年の休廃業・解散件数を過去最多と発表しました。

東京商工リサーチによると、2024年(暦年)の全国の休廃業・解散件数は次のとおりです。出典は東京商工リサーチ「2024年『休廃業・解散企業』動向調査」(2025年公表)です。

  • 件数:62,695件
  • 前年比:25.9%増
  • 集計開始(2000年)以降の最多

帝国データバンクの集計はこちらです。出典は帝国データバンク「全国企業『休廃業・解散』動向調査(2024年)」(2025年公表)です。

  • 件数:69,019件
  • 前年比:16.8%増
  • 2016年以降の最多水準

両社で件数差がある理由は、集計対象や定義の違いにあります。たとえば一方は「資産超過のまま事業を停止した先」を含めるなど、休廃業・解散の捉え方が会社ごとに異なります。どちらか一方が正しいというより、両社のデータを総合的に見て「過去最多水準」という事実を共有することが重要です。

なお中小企業白書2025年版では、休廃業・解散企業の9割以上を小規模事業者が占めると指摘されています。出典は中小企業庁「2025年版中小企業白書 第8節」(2025年公表)です。個人事業主を含む小規模層の動向こそ、休廃業の実態を映しています。

代表者の高齢化と後継者難

休廃業時の経営者は平均70代前半。「事業はある。継ぐ人がいない」が現実です。

TSR・TDBが公表する経営者年齢のデータは、廃業の主因が「業績悪化」だけではないことを示しています。

東京商工リサーチによると、2024年の休廃業企業の代表者の状況は次のとおりです。出典は東京商工リサーチ「2024年『休廃業・解散企業』動向調査」です。

  • 平均年齢:72.6歳
  • 年代別の最多:70代(構成比 約41.6%)
  • 60代以上の合計:約87.6%

帝国データバンクの集計でも、休廃業時の経営者の平均年齢は71.3歳で、4年連続で70代を超えています。これは調査開始以降の最高齢水準です(出典:帝国データバンク「2024年 休廃業・解散動向調査」)。

両社のデータが示すのは、「廃業の背景には経営者の高齢化と後継者不在がある」という構造的な現実です。「事業は続けられるのに、継ぐ人がいないから廃業を選ぶ」事業者が多数を占めるとも言えます。

この事実は、個人事業主にとって示唆的です。事業を続ける体力や意欲に関わらず、年齢や家族・後継者の事情で廃業を選ばざるを得ない局面が、誰にでも訪れうるからです。

黒字でも廃業する事業者が増えている

休廃業企業の約半数は黒字。それでも市場から退出しています。

業績不振だから廃業する、というイメージは半分しか正しくありません。直近のデータは、もう一つの現実を映しています。

東京商工リサーチによれば、2024年の休廃業企業の損益状況は次のとおりです。出典は東京商工リサーチ「2024年『休廃業・解散企業』動向調査」(2025年公表)です。

  • 黒字率:51.5%(休廃業企業のうち直前期が黒字)
  • 赤字率:48.5%(調査開始以降で最も高い)

帝国データバンクの集計によると、損益・資産の状況は次のように整理されます。出典は帝国データバンク「2024年 休廃業・解散動向調査」(2025年公表)です。

  • 直前期黒字:51.1%
  • 資産超過:65.1%
  • 「黒字かつ資産超過」での休廃業:全体の16.2%

「黒字なのに廃業する」とは、事業の見えない価値が消えてしまうことを意味します。具体的には収益力や顧客基盤・取引先関係などです。廃業(清算)の手続きを取った時点で、これらの価値はゼロになります。一方、第三者へ事業を譲渡する選択肢もあります。その場合は、価値の一部を譲渡対価として手元に残せる可能性が出てきます。手取りや税負担の比較は廃業 vs 譲渡の手取り・税負担・手続きで詳しく解説しています。

ここで「譲渡なら必ず得」と断言することはできません。事業の規模、業種、需要、譲渡先の条件などにより、譲渡対価は大きく変動するためです。重要なのは、「廃業」と決める前に、譲渡という選択肢が自分の事業にあるかを一度確かめる姿勢です。

黒字での廃業は、もったいない選択になることがあります。あなたの事業が譲渡でいくら手元に残せそうか、まずは無料相談で試算してみませんか。無料相談で譲渡の可能性を試算する(売り手・完全無料)

業種別に見る廃業率の違い

業種ごとに廃業の出方は大きく異なります。件数と率を混同しないことが鍵です。

廃業率や休廃業件数は、業種によって明確な傾向差があります。自分の業種がどの位置にあるかを知ることは、過度な不安を避け、冷静な判断材料を得るうえで役立ちます。

ここで一つ注意点があります。中小企業白書系の「廃業率」は事業所ベースの率(%)で、TSR・TDBの「休廃業・解散件数」は実数(件)です。両者を直接比較するのは正確ではありません。それぞれの指標が「何を」測っているのかを意識して読みます。

東京商工リサーチによると、2024年の業種別休廃業・解散件数は次のような順序でした。出典は東京商工リサーチ「2024年『休廃業・解散企業』動向調査」(2025年公表)です。

  • サービス業他:約20,111件(構成比 約32.1%、最多)
  • 建設業:次点
  • 小売業:その次

帝国データバンクの集計では、業種別の件数で建設業が最多となっています。出典は帝国データバンク「2024年 休廃業・解散動向調査」(2025年公表)です。

  • 建設業:8,162件(業種別最多)
  • サービス業:7,634件(前年比 8.8%増、増加率が高い)
  • 小売業:4,056件

業種別の「率」については、小規模企業白書2021年版が参考になります。基礎は2019年度データです。同白書では「宿泊業・飲食サービス業」が開業率・廃業率ともに高い水準にあります。「製造業」「運輸業」は相対的に低いと整理されています。出典は中小企業庁「2021年版小規模企業白書」(2021年公表)です。

業種別の傾向は、参入障壁、固定費構造、需要変動、人材確保のしやすさなどによって決まります。自分の業種が「率」「件数」ともに高めの場合でも、それ自体が直ちに廃業を意味するわけではありません。「同業の中で自分の事業はどう違うのか」を考える出発点として、業種データを使うのが正しい読み方です。

廃業の主因と「廃業以外の選択肢」

主因は資金繰り・需要減・後継者不在・健康問題。それぞれに「予防策」と「譲渡という出口」があります。

廃業率の数字を見たあと、多くの方が気にされるのは「自分の事業が廃業を回避できるか」という点です。完全に廃業を防ぐ方法は存在しません。しかし、主な要因ごとに予防策と代替策(譲渡)を整理しておくことで、選択肢が広がります。

代表的な主因は次の4類型です。出典は東京商工リサーチと帝国データバンクの2024年休廃業・解散調査(ともに2025年公表)に基づく類型整理です。

第一に資金繰りです。売上の波と固定費のミスマッチから資金ショートに至るケースが見られます。予防策としては、月次の資金繰り表の整備、複数の取引先との関係構築、運転資金の事前確保が挙げられます。それでも継続が難しい局面では、清算ではなく事業譲渡で負債と資産を整理する道が残る場合があります。

第二に受注減・需要減です。市場の構造変化や競合増加で売上が回復しないケースです。予防策はサービス領域の見直し、顧客層の拡大、デジタル化対応など。それでも単独での回復が難しい場合、同業者や隣接業種への譲渡が選択肢に入ります。

第三に後継者不在です。前述のとおり休廃業時の経営者は平均70代前半で、後継者難が大きな要因です。予防策としては、家族内承継の早期検討と、第三者への譲渡(スモール M&A)の選択肢を並行して持つことが挙げられます。

第四に健康問題です。個人事業主は経営者自身が稼働の中心であることが多く、健康状態が事業継続に直結します。予防策は健康管理に加えて、業務の標準化・属人化解消、いざというときの譲渡先候補との関係構築です。

「絶対に廃業しない方法」は存在しません。一方で、廃業(清算)を選ぶ前に「譲渡(第三者承継)」を検討する余地があるケースは、想像以上に多いのが実態です。廃業手続きそのものの流れは、廃業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の書き方で確認できます。

廃業の主因が見えてきたら、譲渡という選択肢があるかを早めに確かめておくのが安心です。匿名・無料の相談から始められます。匿名・無料で譲渡の可能性を相談する(売り手・完全無料)

廃業率の数字をどう読むか|「廃業」だけが選択肢ではない

廃業率の数字は、自分ごととして読み解いてこそ意味があります。

ここまで見てきた要点を整理します。

第一に、廃業率は事業所ベースで集計され、個人事業単独の確定値は公的統計に存在しません。第二に、生存率の代表的数値は原則として法人ベースであり、個人事業へそのまま当てはめるのは正確ではありません。第三に、実数では休廃業・解散が2024年に過去最多水準となりました。経営者の高齢化と後継者難、そして「黒字なのに廃業」という現実が進行しています。

これらの数字は、「廃業率が高い=あなたの事業も終わり」という意味ではありません。むしろ、黒字・資産超過なのに廃業を選ぶ事業者が多いのが現状です。廃業で消えてしまう事業価値を、譲渡なら引き継げる場合があると示唆しています。

第三者への譲渡(スモール M&A)は現実的な選択肢になりつつあります。特に検討に値するのは次のような方です。後継者難で悩む高齢事業者、健康面に不安を感じ始めた方、業績は悪くないが続ける気力が落ちてきた方などです。譲渡対価がいくらになるか、譲渡先が見つかるかは、業種・規模・収益性などの条件次第です。それでも、「廃業を決める前に、譲渡の可能性を確かめておく」ことのコストは限定的です。

廃業と譲渡で何がどう違うのか、税負担や手取りはどう変わるのか。手続きはどちらが面倒か。具体的な比較は関連記事で詳しく解説しています。なお、税務の個別判断は税理士、債務整理など法律の個別判断は弁護士、廃業届などの手続代行は行政書士へご相談ください。

「廃業しかないと思っていたが、譲渡という選択肢があるかもしれない」と感じた方は、無料相談で可能性を確認できます。無料相談で譲渡の可能性を確認する(売り手・完全無料)

FAQ(よくある質問)

廃業率にまつわる代表的な疑問に、出典つきで簡潔に回答します。

個人事業主の廃業率はどれくらいですか

事業所ベースの廃業率は2023年度で3.9%です。出典は中小企業庁「2025年版中小企業白書 第8節」(厚労省雇用保険事業年報ベース)です。ただし「個人事業だけ」を切り出した確定値は公的統計には存在しません。複数指標を組み合わせて読む必要があります。

個人事業主の10年後の生存率はどれくらいですか

中小企業白書が示す生存率(5年で約8割)は原則として法人を対象とした数値です。個人事業の長期生存率を公的データから直接示すことは困難です。出典は中小企業庁「2017年版中小企業白書」「2023年版中小企業白書」です。ネット上の「10年で1割生存」等の通説は公的裏付けが乏しい点に留意してください。

廃業率はなぜ上がっているのですか

近年の主因は経営者の高齢化と後継者不在、物価高や人手不足の影響などの複合要因です。2024年は休廃業・解散件数が過去最多水準となりました。出典は東京商工リサーチ・帝国データバンクの2024年調査(2025年公表)です。

廃業率(休廃業件数)が高い業種は何ですか

2024年の休廃業・解散件数では、東京商工リサーチでサービス業他が最多です。帝国データバンクでは建設業が最多と公表されています(出典:両社2024年調査)。率では小規模企業白書2021年版で宿泊業・飲食サービス業が高めと整理されています。出典は中小企業庁「2021年版小規模企業白書」(2019年度データ)です。

黒字でも廃業する個人事業主はいますか

2024年の休廃業企業のうち、直前期が黒字だった割合は約半数です。具体的にはTSR 51.5%、TDB 51.1%です(両社2024年調査、2025年公表)。黒字・資産超過のまま廃業(清算)を選ぶより、譲渡で事業価値を引き継いでもらえる場合があります。

まとめ

個人事業主の廃業率は、「個人事業だけ」を切り出した公的な確定値が存在しません。複数の統計を出典・年度・対象とともに読み解く必要があります。事業所ベースの廃業率は直近で3.9%(2023年度・雇用保険事業年報)です。起業後の生存率は法人ベースで5年約8割(中小企業白書)が代表値です。

一方、実数では休廃業・解散が2024年に過去最多となりました。経営者の高齢化と後継者難、そして「黒字なのに廃業」という現実が進んでいます。

ここで見落としてはならない点があります。廃業(清算)すれば消えてしまう事業価値も、譲渡(第三者承継)なら引き継げる場合があるという事実です。

「廃業率が高いから仕方ない」と決める前に、まずは自分の事業に譲渡の選択肢があるかを確かめてみてください。廃業 vs 譲渡の具体的比較は関連記事で、譲渡可能性の診断は無料相談でご確認いただけます。

あなたの事業に譲渡の選択肢があるか、無料で相談する。無料相談で譲渡の可能性を確認する(売り手・完全無料)

参考文献

  • 中小企業庁「2025年版中小企業白書 第8節 開業、倒産・休廃業」(2025年公表):https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b1_1_8.html
  • 中小企業庁「2025年版中小企業白書 13表 会社開廃業率の推移」(2025年公表):https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/f13.html
  • 中小企業庁「2024年版中小企業白書 第5節 開廃業」(2024年公表):https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/b1_3_5.html
  • 中小企業庁「2023年版中小企業白書 第2部第2章」(2023年公表):https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2023/chusho/b2_2_2.html
  • 中小企業庁「2021年版小規模企業白書 開廃業の状況」(2021年公表):https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/shokibo/b1_2_3.html
  • 中小企業庁「2017年版中小企業白書 第2部 中小企業のライフサイクル」(2017年公表):https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap1_web.pdf
  • 総務省統計局「経済センサス総合ガイド」:https://www.stat.go.jp/data/e-census/guide/basic/result/analysis.htm
  • 総務省統計局「個人企業経済調査」:https://www.stat.go.jp/data/kojinke/index.html
  • 東京商工リサーチ「2024年『休廃業・解散企業』動向調査」(2025年公表):https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200854_1527.html
  • 帝国データバンク「全国企業『休廃業・解散』動向調査(2024年)」(2025年公表):https://www.tdb.co.jp/report/economic/kyuhaigyo_kaisan2024/