売上はあがる?アパレルECの市場規模
アパレルECサイトは今後、成長が見込めるのでしょうか。アパレルのECサイトの現状とコロナ禍による変化、ファッション業界全体のECサイトの市場を紹介します。
アパレルECのこれまでの市場規模
さまざまなEC業界がありますが、そのなかでもアパレルECサイトは市場規模が大きく、今後も成長が見込まれている業界のひとつです。
アパレルECサイトの市場規模は、2019年で1兆9,100億円。2014年は1兆2,822億円と比較すると6,000億円以上増えていることから、右肩上がりで順調に成長しているといえるでしょう。
コロナ禍での市場規模の変化
コロナ禍において、アパレル業界も大きな影響を受けました。実店舗の売上げは大きく下がり、大手の国内アパレル企業が倒産したほか、外資アパレルの日本撤退、店舗の一斉閉店といった事態に追い込まれました。
その一方で、EC市場は拡大傾向にあり、EC売上高を伸ばしたブランドは多くあります。
こうした状況を受けて、アパレル各社は力を入れる分野を店舗ビジネスからECサイトにシフトするなどの対策を講じています。
ファッション業界のEC化率
2019年のファッション業界のEC化率は13.87%です。国内のEC全体は6.76%であるため、この数値を大幅に超えていることがわかります。
また、コロナ禍に悩まされた2020年において、ファッション業界のEC化はさらに加速しました。その結果、2020年のファッション業界のEC化率は19.44%と前年と比べて5.57%の増加となっています。
アパレルECが抱える売上の課題とは
アパレル業界でもEC化が進み、ECサイトで成功を収めている企業が増加するなかで、思うように売上を伸ばせない課題を抱えている事業者もあります。
アパレルECサイトの売上を上げるためには、抱える特有の課題に取り組むことが必要です。どのような課題があるのか紹介していきます。
サイズや色を手に取って確認できない
ECサイトで服を購入する際に課題となるのが、ユーザーがサイズや色合いを確かめられないことです。
普段のサイズがMサイズだったとしても、実際に試着してみると、Sサイズのほうがぴったり、もしくはLサイズのほうが似合うといったことはあります。
実店舗で買い物をする際は、試着しながら服を選べますが、ECサイトでは購入前にサイズ感を確かめることができません。
また、サイト上と実物では色の印象も異なります。ECサイトで服を購入したものの、「サイト上では落ち着いた赤だったのに、届いた商品は鮮やかな赤で思っていたのと違う」といったことはしばしばあるものです。
実店舗と違い、実物を手にとって見たり試着したりできないことで、ユーザーの購入意欲を下げてしまうのがアパレルECの抱える課題といえるでしょう。
在庫管理が難しい
在庫が少ないと販売の機会損失が起こり、在庫が多すぎると不良在庫を抱えてしまうといった課題もあります。
特にアパレルはシーズンやトレンドに左右されるため、売るタイミングを逃さないことが求められます。タイミングを逃すと、在庫の廃棄につながり、大きな損失になるだけでなく、ユーザーが抱くブランドイメージも悪くなってしまうでしょう。
とくに複数のチャネルで販売すると在庫管理が難しくなります。自社ECサイトと実店舗など、複数のチャネルで販売すると在庫の連携がしづらくなり、在庫ロスや販売の機会損失につながります。
アパレル市場全体の売上が低迷している
ファッション・アパレル市場は1990年代以降衰退を続けています。その理由は経済の低迷、そして消費者の意識の変化にあると考えられます。
1990年代後半のファストファッションの台頭により、ハイブランドにこだわらなくても低価格で高品質な服やトレンドが入手可能となりました。そのため、消費者の多くがファッションには多くのお金をかけず、低予算で済ませる傾向にあります。
ECモールへの依存度が高い
アパレルECの課題として、ZOZOTOWNやAmazon、楽天などのECモールに依存している点も挙げられます。
これらのECモールは知名度が高く、消費者の信頼も得ているので、集客力が高いのがメリットです。しかし、競合が多く、価格競争に巻き込まれやすいといったデメリットもあります。
アパレルECで成功するための4つの方法!
アパレルECの課題を踏まえたうえで、アパレルECで成功するためには何が必要なのでしょうか。成功に欠かせない4つの点を紹介します。
1.サイズや着用感を分かりやすくする
サイズや色合い、素材や着用感がわからないのが、アパレルECサイトのデメリットです。そのデメリットを補うために、消費者がイメージしやすいようなサイト作りを行いましょう。
たとえば、サイズをS・M・Lなどと記すだけでなく、寸法を細かく記すことができます。実際にスタッフなどに着用してもらい、「普段はMサイズだけど、この商品はゆったりしているのでSでぴったりでした」などの感想を書いてもらうのもいいでしょう。
スマホひとつで体の採寸ができるテクノロジーも登場しているので、そうしたものを導入するのもおすすめです。
また、色についても、赤・黒・ピンク・青といった表記以外に、消費者に細かな色合いが伝わるような工夫をすることができます。
生地の透け感や伸縮性などについても詳しく記載すると、消費者がよりイメージしやすくなるので、イメージと実物との間に大きなギャップが生じるのを避けられるでしょう。
2.在庫管理を適正化する
在庫管理が難しいといった課題を解決するために、在庫情報を可視化し、不明瞭な在庫をなくしましょう。
とくに複数のチャネルで販売している場合、自社サイトでは売り切れのアイテムが、ECモールでは販売されているという状況が生じることがあります。
そうすると、自社サイトを訪れた人は商品を購入できず、ECモールでは同じアイテムが売れ残ってしまうといった事態を招くことになるでしょう。
それぞれの在庫の情報を共有、管理方法を整備することで、在庫ロスなどや販売機会の損失などといった問題を防ぐことができます。
3.複数の集客手段を使う
アパレルECはサイト数が多く、集客が難しいといった課題があります。他社と差別化を図り、より多くの消費者に自社サイトを知ってもらうために、広告、コンテンツSEO、動画など複数の集客手段を使うことが大切です。
また、SNSのインフルエンサーを使って集客するのも1つの手です。
特定の集客手段のみに依存するのではなく、複数の集客手段を使うことで、幅広い層にアプローチすることができるでしょう。
4.自社のECサイトを立ち上げる
集客は見込めるものの、価格競争が激しいECモールへの依存から脱却するために、自社のECサイトを立ち上げるのもおすすめです。
自社サイトの大きなメリットは、商品やブランドにマッチした世界観を演出しやすいことです。ターゲットに刺さるサイトデザインにすることで、ファンを獲得し、売上アップを目指せます。
自社サイトのデメリットとしては、集客が難しく、安定した収益を得られるようになるまでに時間がかかるといった点が挙げられます。しかし、先述のような複数の集客手段を活用して集客に成功すれば、長期的に見ればメリットのほうが大きいといえるでしょう。
また、すでに集客力のあるサイトを購入すると、集客にかける労力を軽減することも可能です。
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まとめ
今後も拡大が見込まれるアパレルECですが、競合も多く、ファッション市場全体の売上が低迷しているといった課題があります。
売上を伸ばすためには、アパレルECが抱える課題を理解すること、そしてそれに沿った対策を講じることが欠かせません。本記事で紹介した成功のための4つの方法を参考に、できることから始めてみてください。