ECサイト構築に掛かる費用
ECサイト構築にかかる費用は、構築方法によって異なります。
ECサイト構築費用が決まるポイント
ECサイトはモール型ECと自社ECの2種類に大別できます。この両者で構築方法が異なり、費用も違ってきます。
モール型は自社でECサイトを構築するのではなく、既存のプラットフォームに出店する形態です。カスタマイズ性が低く自由度はあまり高くありませんが、費用は安く済みます。
これに対して、自社ECは自社でECサイトを構築するため、機能もデザインも自由に決められますが、モール型に比べると費用は高くなります。また、ECサイトに盛り込む機能や、依頼先によっても費用相場は異なります。
ECサイト構築後もアップデートが必要
ECサイトは構築したら終わりではありません。運営していく上で常にシステムの更新が必要になります。
モール型の場合には、モールの運営会社の方でシステム更新を行うため、自社で特に更新に関する作業を行う必要はありません。しかし、自社ECの場合には更新に関する作業も自社で行う必要があります。
更新をしないで古いバージョンのまま使用していると、セキュリティリスクに晒されることもあるため注意しましょう。また、システムそのものが古くなった場合にはパフォーマンスが落ちてしまうため、3~5年単位で新しいシステムへのリニューアルが必要になることもあります。
ECサイトを新規で構築するなら、このような更新やリニューアルなどにかかる維持費も考慮しておきましょう。
種類別ECサイトの特徴と構築費用相場
ECサイトの種類別の特徴と、それぞれにおける構築費用の相場について説明していきます。
モール型EC
モール型ECはひとつのWebサイト上に複数の店舗が出店している形態です。その中でも、テナント型とマーケットプレイス型に分けることができます。
テナント型はショッピングモール内で区画を借りて出店している店舗をイメージすると良いでしょう。「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」などが代表的な例として挙げられます。
マーケットプレイス型は、ショッピングモール内に設置されている大きな棚に複数の店舗の商品が陳列されているイメージです。「Amazon」や「ZOZOTOWN」が代表例として挙げられます。
モール型の構築費用相場は10万円以下です。テンプレートが用意されており、画像やテキストを加えるだけであるため、安価な費用で構築できます。
自社EC:ASPカート型
「ASP」というのは、アプリケーション・サービス・プロバイダの略称です。Web上でECサイトに必要な決済システムやカートシステムが提供されており、ASPカート型では、それをレンタルして使用します。
ASPの多くはECサイトを作成できるサービスを提供しており、初期費用無料など、比較的低コストで導入できるのが特徴です。ただし、カスタマイズの自由度はあまり高くありません。そのため、オリジナリティを出しにくいのが難点です。どちらかといえば、初心者向きといえるでしょう。
ASPカート型の代表的な例としては、「Shopify」・「BASE」・「STORES」などが挙げられます。構築費用の相場は10~100万円程度 です。これに加えて、月額利用料や決済手数料などの運営維持費が毎月数万円程度かかります。
自社EC:クラウドECプラットフォーム型
クラウドECプラットフォーム型では、クラウド上に設置されているプラットフォームを使用してECサイトを構築します。構築はもちろんのこと、保守や運用まですべての機能が揃っているサービスが多いです。
システムの保全やセキュリティなどに関することはクラウド側が行うため、コストがかかりません。カスタマイズしやすく、ほかの機能との連携ができるなど自由度が高いのも特徴です。
しかしその反面で、機能を盛り込んだり、カスタマイズにこだわりすぎたりすると、それだけ費用は高額になります。構築費用の相場も500万円以上で、維持費も毎月数十万円程度と高めです。
自社EC:オープンソース型
オープンソース型は無料で公開されているコードを利用してECサイトを構築する方法です。サーバーも自社で用意したものを使用します。自由度が高いのがメリットですが、専門的な知識が必要です。
また、システムに不具合があった場合でも、サポートはあまり期待できません。基本的に自社内で対応し解決する必要があります。
オープンソース型の代表的なサービスは、「E-CUBE」や「Magento」です。構築費用の相場は100万~500万円程度です。
自社EC:パッケージソフト型
パッケージソフト型は、ECサイト構築に必要なシステムが揃ったパッケージソフトを利用する方法です。オープンソース型と同様にサーバーは自社で用意したものを使用します。
ただ、オープンソース型と違って、ソフトの販売元による手厚いサポートがあることが多いのが特徴です。カスタマイズ性が高く、アクセスの多い大規模なサイトにも向いています。
「SI Web Shopping」や「ecbeing」などがパッケージソフトの代表的な例です。構築費用相場は高めで、おおむね500万円以上かかります。
自社EC:フルスクラッチ型
フルスクラッチ型は一からシステム設計やコーディングなどを行い、サイトを開発する方法です。もっともカスタマイズ性が高く、思い通りのECサイトを作ることができます。
しかし、莫大な時間と費用がかかるのがデメリットです。構築費用相場は非常に高く、数千万円程度かかります。高額な費用がかかっても、大規模で完全オリジナルのECサイトを作りたい場合には向いているでしょう。
ECサイト構築費用の内訳
ECサイトの構築費用の内訳について見ていきましょう。
プラットフォームの導入費用
プラットフォームの導入費用はシステムを導入するのにかかる費用のことです。ECサイトの構築費用のほとんどを占めています。モール型ECやASPカート型など、どの構築方法を選ぶかによってかかる費用は大幅に異なります。
サイトのデザイン費用
サイトのデザインを外部のデザイナーに依頼する場合には、デザイン費用が発生します。デザインを軽視する人もいるかもしれませんが、サイトのブランドイメージを大きく左右するため重要度は高いです。
デザインコンセプト作成に50万円程度、ページデザインに70万円程度かかります。また、コーディング(プログラムを書き、文字や画像等のデータをコードに置き換え符号化する作業)にも60万円程度必要です。
販売までの準備費用
商品ページに掲載するための写真や説明文の準備をしておかなければなりません。自社内で行うこともできますが、外注する場合には別途費用がかかります。その相場は5~20万円程度です。
写真や説明文をサイトに登録したら、実際にサイトを運用する前にテストも行う必要があります。テスト費用の相場は20万円前後です。
ECサイト構築方法の選び方
ECサイト構築の方法を選ぶポイントについて見ていきましょう。
要件に見合った機能が利用できるか
まず、自社のECサイトに必要な要件や機能を検討して洗い出してみましょう。その上で、予算的に実現可能なシステムを選びます。
ただし、価格が安いことや、機能が豊富だという点だけで選ぶと失敗してしまうこともあります。後から欲しい機能を追加できるかどうかも考慮して選ぶようにしましょう。
システム構築を始める前の段階でコンセプトを明確にし、要件定義をしっかり行うことが大切です。
予算内の費用で構築できるか
ECサイトの構築費用はシステムによって大きく異なるため、予算内で構築できるシステムを選ぶことが重要です。ただ、どうしても予算をはみ出してしまうこともあるでしょう。
そのようなときには、必要最低限の機能に絞り込むなどの工夫も必要です。大枠だけ外部の業者に依頼し、内部のページは自社内で作成するなどの方法をとるのも良いでしょう。
ECサイトを新規に構築するのではなく、すでに運用されているECサイトを購入して運用を行うサイトM&Aもひとつの方法です。初期の構築にかかるコストを抑えることができます。
M&A-WEBは、WebサイトやWebサービスの売買を行うことができるプラットフォームです。ECサイトも取り扱っており、売買価格の相場は営業利益の2~3年分です。サイトM&AでEC事業を始めたいと考えているなら、ぜひご相談ください。
まとめ
ECサイトの構築にかかる費用は、ECサイトの種類によってかなりの差があります。モール型なら10万円以下で済み、フルスクラッチ型なら数千万円程度です。まずは予算を考慮して、どのタイプで構築するのか決めるようにしましょう。
それとあわせて、デザイン費用や販売までの準備費用、構築後の運用費用なども考慮しておかなければなりません。
もし、一から構築するのが難しそうであれば、サイトM&Aも選択肢のひとつとして検討してみましょう。