居抜き売却の完全ガイド|流れ・必要書類・賃貸人承諾・造作譲渡契約の進め方
居抜き売却の完全ガイド|流れ・必要書類・賃貸人承諾・造作譲渡契約の進め方
居抜き売却とは、店舗の内装造作・厨房設備・什器を残したまま次の借主へ造作譲渡する売却方法のことです。 スケルトン(内装を撤去した状態)に戻さず、いまの設備をそのまま引き継ぐため、売り手は原状回復費を抑えつつ造作を現金化でき、買い手は初期投資を抑えて開業できます。
本記事はM&A仲介プラットフォームM&A-WEBの編集視点から、居抜き売却を「何を・どの順で・どんな書類で進めるか」の手続きを一気通貫で整理します。対象は、店舗の閉店・移転・業態転換にあたり居抜きでの売却を検討している飲食店・小売店・サロン系のオーナーです。
結論先出し:居抜き売却は「①賃貸人(大家)の承諾取得 → ②譲渡対象のリスト化 → ③価格査定・買い手マッチング → ④造作譲渡契約の締結 → ⑤引き渡し・検品」の5ステップで進みます。最大の関門は賃貸人の書面承諾で、賃貸借契約に定められた原状回復義務との関係整理が手続きの肝になります。承諾を得ずに造作を譲渡すると契約違反となるリスクがあるため、退店意思の表明と同時に承諾交渉を始めるのが実務上の鉄則です。
居抜き/事業譲渡/株式譲渡のどのスキームを選ぶかという判断は、親記事飲食店M&Aの相場と進め方ガイドで扱っています。本記事はその子記事として、「居抜きを選んだ後にどう進めるか」=流れ・必要書類・賃貸人承諾・造作譲渡契約の中身に集中します。なお本記事は手続きの一般的な解説であり、契約書の作成や個別の法的判断は弁護士・行政書士、税務の取扱いは税理士へご相談ください。
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居抜き売却とは何か — スケルトン返しとの違い
居抜き売却とは、店舗の内装造作・厨房設備・什器・備品を残したまま、次に入る借主(買い手)へ造作を譲渡する売却方法です。テーブル・椅子・厨房機器・空調・看板・カウンターといった「造作物」をそのまま引き継ぐため、買い手はゼロから内装工事を発注する必要がなく、開業までの期間と初期費用を圧縮できます。
これと対になる選択がスケルトン返し(原状回復)です。スケルトンとは、内装・設備をすべて撤去し、コンクリート躯体がむき出しの状態を指します。賃貸借契約の多くは退去時に「原状回復=スケルトン返し」を求めており、この場合は解体・撤去工事の費用が売り手(借主)の負担になります。
両者の違いを整理すると次の通りです。居抜き売却は造作を資産として残し、買い手に有償で引き継ぐ取引です。一方スケルトン返しは造作を費用をかけて撤去する手続きで、現金化はできません。同じ「店をたたむ」場面でも、居抜きで譲渡できれば原状回復費を回避しつつ造作の対価を受け取れる可能性があります。
ただし、居抜き売却が常に成立するわけではありません。賃貸人が「次の借主は自分で選びたい」「契約上は原状回復が条件」と考えている場合、居抜きでの引き継ぎには賃貸人の承諾が必要です。この承諾取得が、後述する5ステップの最初の関門になります。居抜き物件専門サービスの解説でも、賃貸人(オーナー)の承諾が居抜き取引の前提として位置づけられています(居抜き情報.com)。
なお、居抜き売却で受け取る造作の対価(譲渡価格)の相場は、立地・造作の新しさ・厨房設備の状態によって大きく変動します。業態別・造作別の相場の詳細は飲食店の居抜き売却相場ガイドで扱うため、本記事では概観にとどめ、個別の造作価額は専門家の査定に委ねます。
居抜き売却の5ステップ手順
居抜き売却は、次の5ステップで進めるのが標準的な流れです。各ステップで「ここでつまずく典型」を1行で示します。
Step 1:賃貸人への退店意思表示と居抜き(造作譲渡)の承諾取得
最初に、賃貸人(大家・管理会社)へ退店の意思を伝え、居抜きで次の借主へ造作を引き継ぐことの承諾を取得します。賃貸借契約の解約予告期間は契約により「3か月前」「6か月前」と定められていることが多く、この予告と並行して居抜きの承諾交渉を進めます。承諾は口頭ではなく書面(承諾書)で残すのが鉄則です。
つまずく典型:承諾を得る前に買い手探しを始めてしまい、賃貸人が「原状回復が条件」と回答して話が振り出しに戻る。
Step 2:譲渡対象の造作物リスト化
次に、買い手へ譲渡する造作物を一覧化します。内装・厨房機器・空調・什器・看板などを「譲渡対象」と「対象外」に仕分けし、リスト(譲渡項目書)にまとめます。このときリース品・レンタル品は所有権が売り手にないため譲渡対象から除外します。リース品を誤って譲渡対象に含めると、後で残債処理のトラブルになります。
つまずく典型:リース契約中の厨房機器を自分の所有物と思い込み、譲渡リストに入れてしまう。
Step 3:価格査定・買い手候補とのマッチング
譲渡対象が固まったら、造作の価格を査定し、買い手候補を探します。査定は造作・設備の残存価値(簿価または時価)と立地・需要を踏まえて行われ、居抜き物件のマッチングサービスやM&A仲介を通じて買い手とつなぐのが一般的です。個別の造作価額は専門家の査定に委ねます。
つまずく典型:希望価格を相場から離して高く設定し、買い手が見つからないまま解約予告期間が過ぎる。
Step 4:造作譲渡契約の締結
買い手が決まったら、造作譲渡契約を締結します。造作譲渡契約は賃貸借契約とは別の契約で、売り手(旧借主)と買い手(新借主)の間で結びます。買い手は通常、この造作譲渡契約に加えて、賃貸人と新たな賃貸借契約も結ぶため、買い手は売り手・賃貸人の両者と契約する形になります。
つまずく典型:造作譲渡契約だけ結び、賃貸人との新賃貸借契約の調整が後手になって引き渡しが遅れる。
Step 5:物件・設備の引き渡しと検品
最後に、物件・設備を買い手へ引き渡し、検品を行います。譲渡項目書(リスト)と現物を照合し、厨房機器の動作確認を済ませてから引き渡すことで、引き渡し後の「動かない」「リストにない」といったトラブルを防ぎます。鍵の引き渡しと賃貸借契約の名義切替のタイミングも、賃貸人を交えて調整します。
つまずく典型:動作確認をせず引き渡し、後から「冷蔵庫が故障していた」と契約不適合責任を問われる。
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居抜き売却の必要書類チェックリスト
居抜き売却では、賃貸借・造作譲渡・設備・リースの各書類をそろえる必要があります。最低限そろえたい書類を一覧にまとめます。
| 書類名 | 用意する側 | 用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 賃貸借契約書 | 売り手 | 譲渡禁止条項・原状回復義務・解約予告期間の確認 | 「造作譲渡不可」「原状回復」の有無を最初に確認 |
| 賃貸人の承諾書 | 賃貸人(売り手が取得) | 居抜き(造作譲渡)に賃貸人が同意した事実の証明 | 口頭ではなく書面で取得する |
| 造作譲渡契約書 | 売り手・買い手 | 譲渡範囲・価格・期日・責任の取り決め | ひな形配布はせず、専門家確認を前提に作成 |
| 譲渡項目書(造作物リスト) | 売り手 | 譲渡対象の造作・設備・什器の特定 | リース品・レンタル品は除外して記載 |
| 厨房設備・什器一覧 | 売り手 | 設備の型番・状態・耐用年数の共有 | 動作状態・点検履歴を併記すると検品が円滑 |
| リース契約書 | 売り手 | リース品の残債・中途解約条件の確認 | 残債一括か引き取りかを早期に確認 |
| 設備の点検記録 | 売り手 | 厨房機器の動作・故障履歴の証明 | 引き渡し前の検品の根拠資料になる |
このうち最初に確認すべきは賃貸借契約書です。契約に「造作譲渡不可」「退去時は原状回復」と記載されている場合、居抜き売却には賃貸人との交渉が必要になります。書類が不足したまま買い手と話を進めると、契約段階で条件のすり合わせがやり直しになりやすいため、Step 1の承諾交渉と並行して書類をそろえておくと手続きが滞りません。
なお、これらの書類は税務上、買い手にとっては取得した造作を固定資産として計上し減価償却する際の基準資料になり、売り手にとっては譲渡対価の計上根拠になります。具体的な計上区分・税額の計算は税理士へご確認ください。
造作譲渡契約書に記載する項目
造作譲渡契約書とは、居抜きで譲渡する造作物の範囲・価格・引き渡し条件・責任の所在を売り手と買い手の間で取り決める契約書です。一般的に記載される項目を解説します。なお本記事では契約書のひな形・条項文例は提示せず、記載項目の一般的な解説にとどめます。実際の作成は当事者と専門家(弁護士・行政書士)で進めてください。
一般的に造作譲渡契約書に盛り込まれる主な項目は次の通りです。
- 譲渡範囲・譲渡項目:どの造作・設備・什器を譲渡するかを、譲渡項目書(リスト)で特定します。リース品・レンタル品を除外する旨も明確にします。
- 譲渡価格:造作一式の対価。支払時期・支払方法を併記するのが一般的です。
- 譲渡期日(引き渡し日):造作・物件を引き渡す日。賃貸借契約の名義切替日と整合させます。
- 賃貸人が造作譲渡を承諾している旨:賃貸人の承諾を得ていることを契約上も明示します。承諾書を別添する形が実務で見られます。
- 原状回復義務の所在:退去時の原状回復義務を、売り手・買い手のどちらが負うかを取り決めます。居抜きで引き継ぐ場合、原状回復義務も買い手へ移転する設計が一般的ですが、賃貸人を交えた合意が前提です。
- 契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任):引き渡した設備に不具合があった場合の責任範囲・期間。検品済みであることや、現状有姿での引き渡しかどうかを明確にします。
造作譲渡契約と原状回復義務の関係については、契約実務の解説でも「造作譲渡にあたり原状回復義務を誰が負うかを契約上明確にすること」が論点として挙げられています(LegalOn Cloud)。原状回復義務の所在を曖昧にしたまま引き渡すと、後で売り手・買い手・賃貸人の三者で費用負担を巡る争いになりやすいため、契約段階で明文化しておくことが重要です。
これらの記載項目は一般的な解説であり、個別の取引では事情に応じた条項調整が必要になります。契約書の最終的な内容確認は、弁護士・行政書士など専門家に依頼することを前提にしてください。
賃貸人(大家)の承諾と原状回復の関係
居抜き売却で最大の関門になるのが、賃貸人(大家)の承諾取得です。賃貸借契約は原則として、退去時に借主が「原状回復=スケルトン返し」を行う義務を負っており、また賃借権や造作の譲渡には賃貸人の承諾が必要とされるのが一般的です。承諾を得ずに造作を譲渡したり、賃借権を勝手に移したりすると、契約違反として解約事由になるリスクがあります。
そのため、退店の意思を固めた段階で、早めに賃貸人へ居抜き譲渡の意向を伝え、書面で承諾を得る交渉を始めることが重要です。承諾交渉では、次の借主(買い手)の業態・信用・賃料支払い能力が賃貸人の判断材料になります。賃貸人にとっても、空室期間が短くなり原状回復を経ずに次の借主が決まるメリットがあるため、条件次第で承諾を得られる可能性があります。
賃貸借契約書に「造作譲渡不可」「退去時は原状回復」と明記されている場合でも、交渉の余地が完全になくなるわけではありません。賃貸人と協議し、新借主との新たな賃貸借契約を前提に原状回復義務を新借主へ引き継ぐ形にできれば、居抜きでの譲渡が成立する場合があります。店舗売却の専門サービスの解説でも、契約上に原状回復の定めがあるケースでの賃貸人との調整が論点として扱われています(店舗買取.net)。交渉で承諾を得られるかは個別の契約内容・賃貸人の方針によるため、断定はできません。
承諾を得る際の実務的な注意点は次の3つです。第一に、承諾は必ず書面(承諾書)で残すこと。口頭の合意は後で「言った・言わない」の争いになります。第二に、新借主との賃貸借契約・敷金の扱い・名義切替のタイミングを賃貸人を交えて整理すること。第三に、原状回復義務を誰が負うかを承諾の段階で確認し、造作譲渡契約にも反映することです。これら3点を押さえることで、引き渡し後のトラブルを大きく減らせます。
廃業してスケルトン返しを選ぶ場合と、居抜き(造作譲渡)で引き継ぐ場合の手取りの違いについては、廃業 vs 譲渡|後悔しない選択の比較ガイドで整理しています。
造作譲渡 vs スケルトン返し コスト比較
居抜き(造作譲渡)とスケルトン返し(原状回復)では、退店時の手元に残る金額が大きく変わります。両者のコスト構造を比較します。
居抜き(造作譲渡)の場合、売り手は原状回復費を回避でき、さらに造作を現金化できます。一方スケルトン返しの場合、売り手は原状回復費を支払う必要があり、契約によっては解約損害金(残期間賃料の一部)も発生します。原状回復費の相場は、店舗の規模・業態にもよりますが坪あたり3〜10万円程度が目安とされ、設備の多い飲食店ほど高くなる傾向があります。
| 比較軸 | 居抜き(造作譲渡) | スケルトン返し(原状回復) |
|---|---|---|
| 原状回復費 | 回避できる可能性がある | 売り手負担(坪3〜10万円が目安) |
| 造作の現金化 | 譲渡対価として受け取れる | できない(撤去して廃棄) |
| 解約損害金 | 契約による | 契約により発生する場合がある |
| 退店までの期間 | 買い手探し・承諾交渉に時間を要する | 工事完了まで(買い手不要) |
| 賃貸人の承諾 | 必要 | 不要(原状回復が原則) |
ここで、20坪の店舗を例に手元に残る金額のイメージを試算します。あくまで構造を示すための一般化した例で、実際の金額は造作の状態・立地・契約条件で変動します。
| 項目 | 居抜き(造作譲渡) | スケルトン返し |
|---|---|---|
| 造作譲渡対価 | +100万円 | 0円 |
| 原状回復費(20坪 × 5万円) | 0円 | -100万円 |
| 廃棄物処理費 | 0円 | -20万円 |
| 手元に残る目安 | +100万円 | -120万円 |
この試算では、居抜きで譲渡できればプラス、スケルトン返しではマイナスとなり、その差は200万円規模になり得ます。原状回復費を回避できる点と造作を現金化できる点の両方が効くため、居抜きが成立する条件が揃っているなら、退店コストを大きく改善できる可能性があります。
なお、この比較はあくまで造作譲渡 vs 原状回復という店舗の退店オペレーション費用に限定したものです。営業権・在庫を含めた事業全体の手取り比較や、居抜き/事業譲渡/株式譲渡のスキーム別の手取り試算は、親記事飲食店M&Aの相場と進め方ガイドで扱っています。
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リース品・残債の処理
居抜き売却で見落とされやすいのが、リース品・レンタル品の扱いです。リース契約中の厨房機器・POSレジ・空調などは、所有権がリース会社にあり売り手にはないため、原則として造作譲渡の対象に含められません。自分の所有物と思い込んでリストに入れてしまうと、引き渡し後にリース会社との間でトラブルになります。
リース品が店舗内にある場合の選択肢は、主に次の2つです。第一に、売り手がリースを中途解約し、残債を一括精算して機器を引き取る方法。第二に、買い手がリース契約を引き継ぐ(再リース・契約名義変更)方法です。後者はリース会社の審査・同意が前提となるため、買い手の信用状況によっては引き継げない場合があります。
いずれの場合も、まずリース契約書を確認し、残債と中途解約条件を把握することが出発点です。中途解約には残リース料相当の違約金がかかることが多く、この負担を売り手・買い手のどちらが持つかを造作譲渡契約の交渉に含めておく必要があります。リース品の扱いを曖昧にしたまま引き渡すと、後から残債を巡る精算問題が発生するため、Step 2のリスト化の段階で必ず仕分けしておきます。
よくある質問(FAQ)
居抜き売却とは何ですか?
居抜き売却とは、店舗の内装造作・厨房設備・什器を撤去せず残したまま、次の借主へ造作を譲渡する売却方法です。スケルトン返し(原状回復)と違い、売り手は原状回復費を抑えつつ造作を現金化でき、買い手は初期投資を抑えて開業できます。成立には賃貸人の承諾が前提になります。
居抜き売却の流れはどうなりますか?
居抜き売却は「①賃貸人への退店意思表示と居抜き承諾の取得 → ②譲渡対象の造作物リスト化 → ③価格査定・買い手マッチング → ④造作譲渡契約の締結 → ⑤物件・設備の引き渡しと検品」の5ステップで進みます。最初の賃貸人の承諾取得が手続きの関門になります。
居抜き売却に必要な書類は何ですか?
主に、賃貸借契約書、賃貸人の承諾書、造作譲渡契約書、譲渡項目書(造作物リスト)、厨房設備・什器一覧、リース契約書、設備の点検記録です。最初に賃貸借契約書で「造作譲渡不可」「原状回復」の有無を確認し、不足書類をStep 1の承諾交渉と並行してそろえると手続きが滞りません。
居抜き売却に大家(賃貸人)の承諾は必要ですか?
必要です。賃貸借契約では退去時の原状回復が原則とされ、賃借権や造作の譲渡には賃貸人の承諾が求められるのが一般的です。承諾を得ずに造作を譲渡すると契約違反のリスクがあります。承諾は口頭ではなく書面(承諾書)で取得することが実務上の鉄則です。
造作譲渡契約書には何を書きますか?
一般的には、譲渡範囲・譲渡項目(リスト)、譲渡価格、譲渡期日、賃貸人が造作譲渡を承諾している旨、原状回復義務の所在、契約不適合責任などを記載します。ひな形や条項文例はここでは示しません。実際の作成は当事者と弁護士・行政書士など専門家で進めてください。
居抜き売却とスケルトン返しはどちらが得ですか?
条件次第で変わります。居抜き売却が成立すれば原状回復費を回避でき、造作を現金化できるため手元にプラスが残る可能性があります。スケルトン返しでは原状回復費(坪3〜10万円が目安)や廃棄物処理費が売り手負担となり、手元がマイナスになるケースもあります。賃貸人の承諾と買い手が得られるかが分かれ目です。
リース品が含まれる場合はどうなりますか?
リース品は所有権がリース会社にあり売り手にはないため、原則として造作譲渡の対象に含められません。選択肢は、売り手が中途解約して残債を精算し引き取る方法か、買い手がリース契約を引き継ぐ方法です。まずリース契約書で残債と中途解約条件を確認し、負担を造作譲渡契約の交渉に含めておきます。
まとめ:居抜き売却は「承諾→リスト→査定→契約→引き渡し」を順に進める
居抜き売却の手続きの要点を3つに整理します。
第一に、手順は5ステップで、最初の賃貸人の承諾取得が最大の関門です。「①賃貸人の承諾取得 → ②譲渡対象のリスト化 → ③価格査定・買い手マッチング → ④造作譲渡契約 → ⑤引き渡し・検品」の順で進めます。承諾を得る前に買い手探しを始めると、賃貸人が原状回復を求めて話が振り出しに戻るリスクがあるため、退店意思の表明と同時に書面承諾の交渉を始めるのが実務の鉄則です。
第二に、書類と契約項目を事前にそろえることが手続きを滞らせない鍵です。賃貸借契約書で「造作譲渡不可」「原状回復」の有無を最初に確認し、賃貸人の承諾書・造作譲渡契約書・譲渡項目書・リース契約書をそろえます。造作譲渡契約には、譲渡範囲・価格・期日・賃貸人の承諾・原状回復義務の所在・契約不適合責任を盛り込みます。リース品は所有権が売り手にないため譲渡対象から除外します。
第三に、居抜きが成立すれば退店コストを大きく改善できる可能性があります。スケルトン返しでは原状回復費や解約損害金が売り手負担となり手元がマイナスになり得る一方、居抜きで譲渡できれば原状回復費を回避しつつ造作を現金化でき、手元にプラスが残る可能性があります。ただし成立は賃貸人の承諾と買い手の有無次第のため、断定はできません。
本記事の親記事飲食店M&Aの相場と進め方ガイドでスキーム選択の全体像を整理しています。廃業(スケルトン返し)と譲渡の手取り比較は廃業 vs 譲渡|後悔しない選択の比較ガイド、造作・業態別の相場詳細は飲食店の居抜き売却相場ガイドで扱います。契約書の作成・最終確認は弁護士・行政書士、税務の取扱いは税理士への相談を前提に、本記事は居抜き売却の手続きを把握するための一次情報として位置づけてください。
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