越境ECで利用できる補助金は6種類!対象事業者や採択率をチェック

海外での事業展開を考えるとき、今もっとも注目されているビジネスモデルが越境ECです。越境ECなら、オンラインでさまざまな国や地域の消費者へ商品をアピールできます。 しかし、新たな事業として越境ECを始めるには、初期費用やランニングコストが課題となります。そこでぜひ活用したいのが補助金制度です。 この記事では、越境ECを始めるときに利用できる補助金について詳しく解説します。

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越境ECで利用できる補助金制度はある?

補助金制度とは、国や地方自治体、民間代替が、法人や個人による事業に対して資金の一部を給付することです。補助金の種類によって目的や趣旨が異なり、すべての事業者が手にできるわけではありません。また、補助金の支給や金額は一定の審査により決まります。

越境ECを始めるにあたって利用できる補助金はありますが、事業内容などによっては支給要件を満たさず、給付されないこともあります。

補助金の有無が越境ECの予算や規模、将来性が関わることもあるので、自社の越境ECが補助金の対象となるかどうか、具体的な内容を把握しておくことが大切です。

越境ECで利用できる補助金は6種類

越境ECで利用できる補助金は主に6種類です。それぞれの概要と支給条件、支給額などを紹介します。

IT導入補助金

「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者、自営業者などがITツールを導入する際に費用の一部を補助するものです。事業の経営強化や向上を目的とするもので、越境ECのサイト運営に必要なハードウェアやソフトウェアなども対象となります。

IT導入補助金は、通常枠のA・B類型とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)に分類されます。

デジタル化基盤導入枠は2023年10月から開始予定のインボイス制度導入に備えた内容で、受発注、決済、ECに使われるソフトウェアが対象です。ハードウェア購入費用はPCやタブレット、レジなどの導入に対する補助が出ます。

分類によって補助率や補助金の上限額(下限額)が異なります。補助額と補助率は以下のとおりです。

種類

A類型

B類型

補助額

30万~150万円未満

150万~450万円以下

補助率

1/2以内

 

種類

デジタル化基盤導入類型

補助額

5万円~350万円

内、5万円~50万円以下部分

内、50万円超~350万円部分

補助率

3/4以内

2/3以内

IT導入補助金の申請にはIT導入支援事業者との連携が必要です。

 出典:「IT導入補助金

 デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業費補助金

令和3年度の補正予算案として計上された補助金が「デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業費補助金」です。越境ECを採り入れた海外需要の掘り起こしに対する補助がコンセプトとなっており、まさに越境ECを始めたい事業者向けの補助金といえます。

支給要件には、越境ECによる海外での販路拡大、海外でビジネス展開可能な自社製品の存在などがあります。また、中小企業庁が選定した「支援パートナー」から支援サービスを受ける必要もあります。

補助額と補助率は以下のとおりです。

種類

デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業費補助金

補助額

500万円以内(下限200万円)

※複数社による共同申請の場合、最大5,000万円まで

補助率

2/3

公募申請は本年6月末まで、補助金の交付決定は8月を予定しています。

出典:「デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業(デジタルツール活用型)

ものづくり補助金

「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」は中小企業や小規模事業者を対象とした補助金で、革新的サービスの開発などの取り組みを支援するものです。

最大1,250万円を補助するデジタル枠など3つの類型のほか、一定の要件を満たした事業計画の策定・実施する中小企業であれば幅広く応募できる枠もあります。

デジタル枠の補助額と補助率は以下のとおりです。

種類

デジタル枠

従業員規模

5人以下

6人~20人

21人以上

補助額

750万円以内

1,000万円以内

1,250万円以内

補助率

2/3以内

越境ECに関わる事業で申請しやすい補助金ですが、各年度により応募スケジュールが決まっているので注意しましょう。

出典:「ものづくり補助金総合サイト

小規模事業者持続化補助金

ものづくり補助金と同じく生産性の向上推進を目的としたのが小規模事業者持続化補助金です。小規模事業者や一定要件を満たす特定非営利活動法人を対象としています。

この補助金は一般型と低感染リスク型ビジネス枠に分類されています。

低感染リスク型ビジネス枠は非接触を目的とした事業が対象でECサイト構築も含まれるため、越境EC事業で利用できる可能性があります。

それぞれの補助額と補助率は以下のとおりです。

種類

一般型

低感染リスク型ビジネス枠

補助額

上限50万円

上限100万円

補助率

2/3

3/4

申請には管轄の商工会議所が作成・発行した事業支援計画書などが必要です。

出典:「小規模事業者持続化補助金

出典:「小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>

事業再構築補助金

新型コロナウイルスの長期化により売上が減少あるいは低迷するなか、ポストコロナ・ウィズコロナ時代を見据えて始まったのが「事業再構築補助金」です。新規事業展開や事業転換といった思いきった事業再構築を行う中小企業や中堅企業を支援しています。

任意の3ヶ月の合計売上がコロナ前の同3ヶ月に比べて10%以上減少している、認定経営革新等支援機関と事業計画を策定するなど、一定の要件があります。

実店舗での売上が新型コロナウイルスの影響で減少したことをきっかけに越境ECサイトを始める場合、業態転換として補助を受けられる可能性が考えられます。

通常枠での補助額と補助率は以下のとおりです。

種類

通常枠

従業員数

20人以下

21人~50人

51人~100人

101人以上

補助額

100万円~2,000万円

100万円~4,000万円

100万円~6,000万円

100万円~8,000万円

補助率

中小企業 2/3(6,000万円を超える部分は1/2)

中堅企業 1/2(4,000万円を超える部分は1/3)

出典:「事業再構築補助金

地方自治体の補助金

地方自治体が独自に打ち出す補助金も数多く存在します。地域経済の振興を目的としており、越境ECを含むデジタル分野やIT事業を対象とする補助金は年々増加しています。

たとえば、さいたま市の「デジタル技術活用新ビジネス・新サービス開発補助金」は、最新のデジタル技術を活用した新たなビジネスモデル構築を応援する補助金です。

東京都中央区の「ECサイト活用補助金」では、ECサイト構築を対象に上限6万円を支給しています。

ほかにも全国で越境ECが対象となりうる補助金がたくさんあります。期間限定や先着順など補助金ごとに申請ルールは異なるため、常日頃からアンテナを張っておくようにしましょう。

越境ECで補助金を選ぶポイント

越境ECの運営に補助金を活用なら、できるだけ有利な補助金を選びたいところでしょう。

とはいえ、制度によって補助金額や補助率だけではなく、対象や審査にかかる期間、支給のタイミングなどが異なるため、あらゆる角度から事業計画に合致した補助金制度を選ぶことが大切です。

それでは、越境ECで補助金を選ぶときに確認しておきたいポイントを解説します。

補助金の内容

補助金制度によって、補助金の上限額や補助率、交付のタイミングは違います。

たとえば、補助される対象は同じでも、全額が補助される場合と一部が補助される場合では受け取る金額に大きな違いが出るでしょう。また補助金の支給タイミングについても、申請後すぐに支給される制度もあれば、事業の実績を受けてようやく支給に至る制度もあります。

また、他の制度との併用を不可とするものもあります。併用できたとしても、補助金の制限がかかるなど、併用のメリットを充分に受けられないケースもありえます。

補助金制度の詳細を公式サイトで確認し、不明点は電話で問い合わせておくなど、各制度の違いを事前に入念にリサーチしておくことが大切です。

申請方法や期間

補助金制度の申請には、必要書類が複数必要であったり申込み専用のID取得が必要であったりと、手間と時間がかかります。

また、補助金制度の申請期間は1~2ヶ月程度と短いことが多く、書類の準備が間に合わず、申請を断念せざるを得ないリスクもあります。

場合によっては認定機関と連携して書類を作ることもあります。申請までのスケジュール管理が難しくなるので、余裕をもって準備するようにしましょう。

採択率

補助金は申請すれば必ず支給されるわけではありません。一定の要件を満たしているか、制度の目的に適っているかなどを審査されたうえで、受け取ることができます。

制度によって、審査が厳しいもの、比較的通りやすいものがあります。利用する制度を選ぶときには、公式サイトで公表されている過去の応募数や採用数、採択率を参考にするのがおすすめです。

たとえば、ものづくり補助金の場合、令和2年4月28日に発表された採択数は1,429でした。応募数は2,287ですから、採択率は約62.5%ということになります。

越境ECに補助金を利用したいなら少しでも審査に通りやすい補助金制度を選びましょう。

出典:「採択結果|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

まとめ

補助金制度のなかには、越境ECの事業化や運営に使えるものがいくつかあります。ただし、制度によって対象や申請要件、補助金の上限額、採択率などはさまざまです。事前にリサーチを行い、申請期限に間に合うように早めに対応しましょう。

また、越境ECを効率良く運営したいなら、すでに人気のあるサイトをM&Aで入手するのも方法のひとつです。「M&A-WEB」は、個人・企業を問わず、優良なサイトとの出会いを低価格で提供しています。越境ECのスムーズな収益化についてぜひ一度ご相談ください。