ニッチ戦略とブルーオーシャン戦略|違いやメリット・デメリット

ニッチ戦略とブルーオーシャン戦略は、ターゲットにする市場や効果的な戦略の立て方が異なるなど、似ているようで違う市場開拓方法です。マーケティングを成功させるには、両者のポイントを押さえて使い分ける必要があります。 今回は、両戦略の具体的な違いやメリット・デメリットなど、使い分けに欠かせない基礎知識を紹介します。

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何が違う?ニッチ戦略とブルーオーシャン戦略

ニッチ戦略とブルーオーシャン戦略は、どちらも新規市場を開拓する手法という点では同じですが、ターゲットや目的が違います。

それぞれの戦略の概要と、具体的な違いを解説します。

ニッチ戦略とは

ニッチ戦略とは、既存の市場の中でも競合の少ない小さな分野をターゲットに絞って、ニーズの独占を目指す戦略のことです。ニッチとは隙間を意味し、隙間戦略ともいわれます。

あえて手つかずの領域を狙うことで、競合がいることによる価格競争などを避け、利益を確保しやすいのが、ニッチ戦略の強みです。オリジナリティーを確立し、ブランド力の強化や知名度の確保をすることもできます。

ブルーオーシャン戦略とは

ブルーオーシャン戦略とは、これまでになかった市場を開拓し、高価値なサービスを低価格で提供することで、利潤の拡大を狙う戦略です。競合相手がほとんどだれもいない市場のことを、平和で穏やかな青い海に例えています。

一方で、参入企業の多い市場のことを「レッドオーシャン」といいます。鮫が多くいて血に染まった海を市場に例えた呼び方です。

ブルーオーシャン戦略では、中小企業でも戦える可能性はあるものの、後から大手企業が参入した場合に利益を維持するのが難しいケースがあります。

ニッチ戦略とブルーオーシャン戦略の違い

ニッチ戦略とブルーオーシャン戦略の主な違いは、次のとおりです。

 

ニッチ戦略

ブルーオーシャン戦略

ターゲットとする市場

既存市場で競合が少ない分野

まだ誰も事業展開していない市場

注意点

需要や収益性はあるのか見極める必要がある

後続企業にシェアを奪われないようにする必要がある

両者は混同しがちですが、競争せずに事業を展開したいと考える場合、違いを把握していないと効果的なマーケティングができなくなるので注意しましょう。

ニッチ戦略導入のメリット・デメリット

ニッチ戦略導入の主なメリット・デメリットを紹介します。

メリット

ニッチ戦略の代表的なメリットは、以下のの3つです。

競争が避けられる

ニッチ戦略では、既存市場の中でもさまざまな理由から競合相手が進出していない分野をあえて狙って事業展開するため、競争を避けることができます。

顧客の奪い合いを避けることで、価格を無理に抑えたり、広告宣伝活動に大きな労力をかけたりしなくてよくなる点が強みです。

高い利益率が見込める

ニッチ戦略を導入すると、高い利益率を見込むことができます。ライバルがいないので、過度な価格競争に巻き込まれることがないからです。

営業活動費などのコストも抑えながら適正価格で売り上げを伸ばせるので、高い利益率を維持しやすいでしょう。

ブランド化しやすい

参入した分野でのトップ企業として、ブランド化しやすいのもメリットです。

ニッチ戦略では、競合他社が参入していない分野を狙うので、その分野でのシェアを独占できれば知名度を高めやすくなります。また、独自性を出した商品・サービス展開ができるので、固定客をつかみやすいのも強みです。

デメリット

ニッチ戦略の代表的なデメリットには、以下のふたつが挙げられます。

思い通りに成長しない可能性がある

ニッチ戦略で狙うターゲットは、競合他社があえて参入していない分野だけに、進出しても初期投資に見合う十分な収益が得られない可能性があることに注意が必要です。

「需要が思いのほか少なかった」「その分野の顧客のニーズに合うものを作れなかった」などの場合は、損失が出るリスクがあることを念頭に置いておきましょう。

成長しても競合が増える可能性がある

ニッチ戦略で成功を納めたとしても、後から競合他社が参入してくるリスクがあることもデメリットといえます。ニッチな市場も、市場が成長すれば他社が興味を示すからです。独占的なシェアを維持し続けるには、独自性を保つ戦略やマーケティングを、継続的に行う必要があります。

ブルーオーシャン戦略導入のメリット・デメリット

続いて、ブルーオーシャン戦略を導入する主なメリット・デメリットを紹介します。

メリット

ブルーオーシャン戦略の代表的なメリットは、以下のふたつです。

低コストで差別化したサービスの提供ができる

ブルーオーシャン戦略では、他社とは差別化した商品・サービスを低コストで提供することができます。

新しい市場を自社でつくることで他社との競争がなく、余計な広告費をかけずに、最低限のコストで顧客のニーズを満たせるサービスづくりに専念できます。

シェアの独占が目指せる

ブルーオーシャン戦略では、市場のシェア独占を目指すことができます。

誰も開拓していない新しい市場をターゲットにするブルーオーシャン戦略では、その市場の第一人者になることができます。競合が現れる前に自社製品を浸透させてしまえば、シェア独占も狙えるでしょう。

デメリット

ブルーオーシャン戦略のデメリットとして気を付けたいのが、以下の点です。

高いマーケティングスキルが必要になる

今までにない商品・サービスを販売することになるブルーオーシャン戦略では、顧客を獲得するために、高いマーケティングスキルが必要です。

自社がつくった新しい商品・サービスの価値を広く認知し評価してもらうには、価値を定着させるための高いスキルと営業努力が求められます。

模倣リスクがある

ブルーオーシャン戦略でせっかく新しい市場を開拓して成功しても、他社に模倣されるリスクがあることに注意が必要です。

新しい市場も一度成功者が出てしまえば、他社がビジネスモデルを真似て参入し、これまではいなかった競合他社が急増することにもなりかねません。

ブルーオーシャン戦略で成功したら、すぐに戦略を切り替えて、競合への対策を検討するようにしましょう。

ニッチ戦略とブルーオーシャン戦略の成功事例

ニッチ戦略とブルーオーシャン戦略は、実際にどのような成果につながるのでしょうか。ここでは、ふたつの戦略の成功事例を紹介します。戦略導入イメージをつかむ参考にしてください。

ニッチ戦略の成功事例

スポーツカーやレーシングカーに特化した自動車製造会社フェラーリは、ニッチ戦略によって、ハイクラスなブランド化に成功した事例です。

年間生産台数は約8,000台と他の自動車メーカーに比べると少ないものの、一台当たりの営業利益率が1,200万円ほどと非常に高額になっています。

取り扱い車種を限定しこだわって生産することで、確固たる地位と安定した売り上げを出すことに成功した事例といえるでしょう。

ブルーオーシャン戦略の成功事例

国内で展開しているヘアカット専門店QBハウスは、低価格・短時間で利用でき、メニューはカットのみという、従来のヘアサロンにはない特徴を前面に押し出したブルーオーシャン戦略で成功した事例です。

ヘアカット以外のメニューは提供しない代わりに、価格も時間も抑えられるという新しい価値が、多くの顧客に支持された事例といえます。

まとめ

ニッチ戦略とブルーオーシャン戦略は、どちらも参入時の競争を避ける点では同じですが、狙う市場などが異なります。目標に合った戦略を使いこなすことで、スムーズに新規開拓を進められるでしょう。これからビジネスを始める方は、ぜひ参考にしてみてください。