サイト購入で生じる失敗とは。失敗を回避する対策を紹介

本業での収入に満足していない人の中には、副業としてWebサイトの運営を検討している人もいるでしょう。しかし、一からサイトを制作するのは非常に大変です。サイトを制作してから軌道に乗るまで時間がかかりますし、なによりWebサイトの更新・管理、ディレクション、マーケティング、売上管理などのシステム構築を行うための費用が膨大にかかります。 Webサイト運営をすぐに始めたい人であれば、すでに収益化されているサイトを購入するという考え方もあります。初期費用は高くなりますが、サイト制作の手間が省けて、最初から安定した収入が見込める方法です。 しかし、サイト購入において失敗してしまう人も多いため注意が必要です。今回はサイト購入時の失敗例や、それを回避するための対策について解説していきます。

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「知識・確認不足」にまつわる失敗

サイト購入は、サイト運営に関してある程度の知識がないと難しく、知識がないゆえに失敗してしまうこともあります。また、購入対象のサイトに関しての確認を怠ったことによる失敗も少なくありません。ここでは知識不足や確認不足などによる失敗例について見ていきます。

運営費用に収益が圧迫される

Webサイトを運営していくためには、新しい記事を定期的に追加していかなければなりません。自分で記事の執筆や投稿を続けることが難しければ、外注することになるでしょう。外注費用がかさむことで、予想以上の運営費がかかってしまうこともあります。

サイト購入時に想定していた以上に費用がかかるのは、売主が運営に充てていた労力を運用費用に含めないまま、サイトの販売を行ったことが原因と考えられます。

サイト売買においては、あらかじめ運用費用は提示されるものの、サーバー代、ドメイン代、SEO費用、広告費といったランニングコストしか明示されておらず、人件費、保守管理費、更新費などは含まれていない場合がほとんどです。

サイト運営を専業で行っている売主なら、外注せずに自分で記事やコンテンツを作っていることもあるため、自身の労力を費用と認識していないケースも考えられます。

このような失敗を防止するためには、費用の内訳などをあらかじめ確認するのが望ましいといえます。収益だけに目が行きがちですが、費用に関する認識も徹底しましょう。

サイトが手動ペナルティを受けている

対象のWebサイトがGoogleから手動のペナルティを受けていて、それに気づかず購入してしまう例も見られます。

手動のペナルティは主に不自然な被リンクが多い場合に発動されます。売主が不正なことを行っていたケースも考えられますが、実際にはそうとも限りません。売主が中古のドメインを使用していることでペナルティを受けている場合もあります。

売主の前にそのドメインを使っていた人が、手動ペナルティを受けて、それがまだ続いている状態にあるということです。売主もそのことを認識していない可能性があります。

手動ペナルティを受けているかどうかは、Ahrefs(エイチレフス)などのリンクチェックツールを活用して確認できるため、購入を決める際には必ず確認するようにしましょう。あわせて、売主に中古ドメインを使用しているかどうかを確認することも大切です。

ブラックハットSEOのサイトを購入してしまった

GoogleではSEOに関してガイドラインを策定しています。検索上位を目指すのであれば、そのガイドラインに沿った運営を行わなければなりません。

そして、このガイドラインを無視したSEOが、ブラックハットSEOと呼ばれる手法になります。たとえば、自作自演の被リンクを大量に作ったり、低品質なコンテンツを量産してページ数を増やしたりすることなどが該当します。

Googleは独自のアルゴリズムを用いて、ブラックハットSEOを行っているサイトを検知するようにできています。ブラックハットSEOを行っていると認識されたサイトは、検索から除外されます。

その場合、検索からの流入がなくなるため、売上が大幅に減ってしまうでしょう。ブラックハットSEOを改めれば、再び検索に表示されますが、上位表示は難しくなります。

サイトを購入する際にはコンテンツの内容を確認することが大事です。独自性がない、誰にでも書けるような内容の場合は、量産的に作られた低品質なコンテンツである可能性があります。

量産型のコンテンツは、ブラックハットSEOの疑いがあるだけでなく、ブラックハットSEOでなかった場合も、長期的に成果が見込めるものではありません。ブラックハットSEOの疑いがある場合は、購入しないのが無難でしょう。

ただし、ブラックハットSEOを行っているサイトは相場よりも安く購入できるため、リスクを承知の上であれば、それもサイト購入の方法のひとつといえます。

サイトの譲渡・移転に失敗した

サイト購入後は譲渡や移転の手続きを行います。この手続きがスムーズにいかない場合、サイトが一時的に非公開になってしまうおそれがあります。ユーザーがサイトを訪問してもアクセスできないため、売上を逃してしまうことになるでしょう。

あまり長く非公開の状態が続くと、サイト自体の価値が低下したり、データの消失などが起こったりするおそれもあるため、十分に注意が必要です。

サイトの移転や譲渡に関するトラブルは、個人間でサイトを売買する際に多く発生します。自分で移転作業を行えば費用を節約できますが、十分な知識がない場合には、仲介業者などに依頼するほうが無難でしょう。

サイト運営に関する資産の譲渡漏れがあった

Webサイトによっては、公式のSNSアカウントやYouTubeチャンネルなどを開設しているところもあるでしょう。運営サイトの利益は、そのようなSNSから生み出されていることがあります。サイトを運営する上で、SNSアカウントといった付属品の重要度は高いです。

また、ECサイトにおいては、仕入先の情報なども重要です。仕入先が分からなければ、現在と同じ条件で商品を販売することはできなくなるかもしれません。サイトが生み出す利益にも大きく影響します。

そのため、譲渡対象資産はあらかじめ確認しておきましょう。契約を終えたあとに付属品を求めても譲渡されない場合がほとんどです。

サイト運営に影響を及ぼすような資産の場合には、表明保護違反として扱われることもありますが、トラブルを避ける意味でも、資産の譲渡漏れがないか確認しましょう。

「不測の事態」にまつわる失敗

特に大きな問題が発生することなく、Webサイト売買が完了したとしても、決して油断はできません。サイト購入後に不測の事態が起こり、サイト運営が失敗してしまうこともあります。Webサイトを購入する場合、そのようなリスクも認識しておかなければなりません。

たとえば、次のような不測の事態が起こることもあります。

広告案件の停止により収益が減少した

広告収入で利益を出すアフィリエイトサイトの場合には、ASPという業者が広告案件を提供しています。ただし、現在提供されている広告案件が、今後もずっと提供され続けるとは限らず、取り扱いが停止となる広告もあります。

あるいは、現在張られている広告案件の一部がサイト購入後に停止となることもあるでしょう。これにより、サイトの売上が減少するおそれがあります。

広告が停止される理由はさまざまですが、広告主の戦略変更によるところが大きいといえます。たとえば、アフィリエイト広告ではなく、ディスプレイ広告やリスティング広告に切り替えた場合、予算の都合で広告を削減することになったなどです。

また、売主の運営状況が原因で、ASPや広告主からペナルティを受けて広告が停止されることもあります。

いずれの場合も、サイトの売上がひとつの商材に集中していると、影響が大きくなります。複数の商材に分散していれば、そのうちひとつが停止されても、影響を小さく抑えられるのです。

そのため、サイトを購入する前に、売上の内訳を確認しておく必要があります。ペナルティに関してはASPに直接確認すると良いでしょう。

検索順位・検索流入数が低下した

Googleのアルゴリズムは定期的に見直しが行われ、その影響で検索順位が変動することがあります。これまで上位表示されていたサイトでも、検索順位が大きく下がってしまい、売上が減少してしまうことがあります。

ブラックハットSEOをやっていなければ大丈夫だと考える人もいますが、アルゴリズム変動による検索順位の下落はペナルティとは異なります。ルールに則って運営しているサイトでも影響を受けることがあり、正確に予測するのは難しい状況です。

ただし、サイトやコンテンツのジャンルによってはアルゴリズム変動の影響を受けやすいものと、そうでないものがあります。たとえば、YMYLに該当するジャンルは、アルゴリズム変動の影響を大きく受けます。YMYLというのは「Your Money or Your Life」を略したもので、幸福・健康・財産に関わるジャンルです。

サイト購入の際には、ジャンル選びを慎重に行うことが、ひとつの対策といえるでしょう。

「トラブル」にまつわる失敗

Webサイトの売買では売主の故意や過失などによるトラブルに見舞われることもあります。よくあるトラブルについて見ていきましょう。

売上・PV数が実際の数値と異なる

Webサイトの購入を判断する上で、売上やPV数は非常に重要な要素になります。しかし、これらの数値が事前に説明されていたものと比べて、極端に少ないことが購入後に判明してトラブルになるケースがあります。

計測しても売上やPV数が少ない場合、交渉時に提示された数字自体が虚偽の可能性があります。表明保護違反として契約を無効にできますが、すでに代金の支払いやサイトの譲渡が済んでから虚偽に気づいた場合、売主がそのまま逃亡し、代金が戻ってこないおそれもあります。

また、年間の平均収益のように見せかけて、これまでで最高額だった月の収益を提示しているケースもあります。

このようなトラブルに遭わないためには、アナリティクスの閲覧権限をもらい、自分の目で確認することが一番有効な対策方法です。画面共有やスクリーンショットなどで、アナリティクスを見せてもらうのも良いでしょう。

売主が同様のサイトを運営し不利益を被った

購入したサイトと同ジャンルのサイトを売主が運営していたケースも、失敗事例として挙げられます。

最初からどちらかのサイトを売ることを見越して、似たサイトをふたつ運営していたというケースです。売上やPVが少ない方を売却するため、どうしても買主にとっては不利な状況となり、十分な収益を上げることができません。

そのような事態に備えて、契約書に競業避止条項を定めておきましょう。売主が似たサイトを運営していることが発覚した場合、その差し止めを請求することができます。損害が発生していることを証明できれば、損害賠償請求も可能です。

また、売主本人の名義ではなく、関連会社名義で似たサイトを運営している場合もあります。そのため、競業避止条項には関連会社を通じてサイト運営を行うことはできない旨の記載を盛り込んでおくと良いでしょう。

売主と音信不通になってしまった

代金を支払ったものの、サイトの譲渡手続きが行われていないなど、購入したサイトに何らかの不備や過失があった場合、売主に連絡して確認を求めることになります。しかし、メールを送信しても返信が来なかったり、そもそもメールが通じなくなったりと、購入後に売主と連絡がつかなくなることがあります。

連絡がつかなければ、対応依頼や説明を求めることもできません。

このような事態を回避するためには、売主の個人情報を確認しておく必要があります。メールアドレスだけでなく、電話番号や住所などを把握しておくことで、連絡が取れなくなるリスクを抑えることができます。

また、費用は余分にかかりますが、仲介業者を利用するのも対策方法のひとつです。

仲介業者の多くはエスクローサービスを行っています。これは代金を買主からいったん預かっておき、サイトの譲渡が完了した報告を受けて売主に代金が支払われるというサービスです。売主と音信不通となり、サイトが譲渡されない場合には買主に返金されます。

契約時には売主の負担にならない範囲内でサポート対応期間を設けてもらうと良いでしょう。1ヶ月程度のサポートであれば、対応してもらえる場合がほとんどです。

【初めての方】サイト購入を成功に導くための方法

初めてのWebサイト購入を成功に導くポイントについて見ていきます。

サイト運営に関する知識・スキルを身につける

軌道に乗っているWebサイトを購入しても、楽に収益を得られるわけではありません。安易にサイトを購入したものの、まともに運営できず収益を上げられないケースもあります。

これまでサイトを運営した経験がない人にとっては、たとえ軌道に乗っているサイトだとしても、運営していくのは難しいかもしれません。

Webサイトを運営していくには、それなりのスキルが必要です。たとえば、サイトのデザインを変更したり調整したりする際には、HTMLやCSSなどのプログラミングスキルが必要になります。また、コンテンツとなる記事を書くためにはライティングスキルも必要になるでしょう。

アクセス状況を把握したり、収益の見通しを立てたりしなければなりません。そのためには、Googleアナリティクスなどのツールを活用したアクセス解析スキルも必要になります。

サイトを購入する場合、サイト運営に関する知識やスキルをある程度身につけておくと良いでしょう。

サポート体制を徹底している仲介業者に相談する

Webサイトの売買では、交渉や契約時に不備があると、トラブルに発展する場合があります。逆にいえば、不備をなくすことでトラブル発生のリスクを抑えられるということです。

トラブル発生のリスクを抑えるために、仲介業者へ相談することをおすすめします。Webサイト売買における知識や経験のある仲介業者へ相談をすれば、トラブルを防止した上で、スムーズにサイト購入が行えるようサポートしてくれます。

個人間売買においては、知識不足や確認不足がトラブルの原因になることも多いため、どういったことがトラブルに発展する可能性があるのか理解している仲介業者へ相談するほうが安心して取引できるでしょう。

安心してWebサイトの購入を進めたいとお考えの方は、M&A-WEBへおまかせください。

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まとめ

Webサイトの購入においては知識不足や確認不足による失敗が目立ちます。運営費やGoogleによるペナルティの有無など、事前によく確認しておきましょう。

また、不測の事態やトラブルへの対策も講じておきましょう。個人間でサイトを売買する際には、どうしてもリスクがつきまといます。安全にサイトを購入したいなら、仲介業者を利用すると良いでしょう。