介護のM&A・事業承継ガイド|介護事業の指定承継・処遇改善加算の引継ぎとロールアップ公開事例
介護のM&A・事業承継ガイド|介護事業の指定承継・処遇改善加算の引継ぎとロールアップ公開事例
介護のM&Aでは、株式譲渡なら事業所の指定はそのまま有効、事業譲渡では指定を新規に取り直す(売り手の廃止届+買い手の新規申請を同時進行)必要があります。 同じ介護事業の承継でも、選ぶスキームによって事業所指定・介護報酬の連続性・実績の通算・処遇改善加算の扱いが変わります。本記事はM&A仲介プラットフォームM&A-WEBの編集視点から、介護事業のM&A・事業承継で売り手・買い手が直面する「指定は引き継げるのか」「処遇改善加算はどうなるのか」を公的出典に基づいて整理し、2025年の公開M&A事例(ロールアップ型を含む)で文脈化します。
休廃業・倒産が過去最多水準で推移し再編が加速する介護業界では、指定・加算・実績の連続性を確保するためのスケジューリングが承継成否を左右します。M&A売却の全体像をまず押さえたい方は、ハブ記事M&A売却(事業売却・会社売却)完全ガイドを併せてご覧ください。なお本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の譲渡価額・税額計算・契約書条項の作成は税理士・弁護士・M&A仲介の専門領域です。
介護のM&Aとは何か — 結論先出しと本記事のスコープ
介護のM&Aとは、介護保険サービスを提供する事業所・法人の経営権または事業を、株式譲渡・事業譲渡・合併等のスキームで第三者に承継する取引の総称です。 訪問介護・通所介護・特定施設・グループホーム・障害福祉サービスなど、介護保険法・障害者総合支援法に基づく「指定」を前提とする事業を扱う点が、一般の中小企業M&Aと異なる最大の特徴です。
結論を先に示します。介護のM&Aでは次の3点が判断軸になります。第一に、スキームによって事業所の指定が「そのまま有効」か「新規に取り直し」かが変わり、実績や売上の連続性に影響します。第二に、処遇改善加算(現在の介護職員等処遇改善加算)は他の加算と手続きが異なり、M&A時に特に注意が必要です。第三に、運営指導の指摘事項・返還リスク・雇用条件をデューデリジェンスで確認しないと、改善責任が承継先に移ります。
本記事のスコープは、介護保険・障害福祉サービス事業者の売り手と買い手です。売り手は経営者の高齢化・後継者不在・人材不足で事業継続が難しくなった事業者、買い手は地域拡大やサービスラインの補完を狙う同業者・異業種参入の事業会社を想定します。範囲外として、個別案件の譲渡価額の試算・個別の税額計算・節税設計・契約書条項の作成代行は扱いません。これらは税理士・弁護士・M&A仲介の専門領域であり、最終判断は各専門家への相談に委ねる構成です。
なぜ今、介護のM&Aと事業承継が加速しているのか
介護業界でM&Aが選択肢として広がる背景には、休廃業・倒産の増加と再編需要の高まりがあります。市場が拡大する一方で、個々の事業者は経営継続の壁に直面しているという構造的なねじれが、承継ニーズを押し上げています。
休廃業・倒産が過去最多水準
介護事業者の経営環境は厳しさを増しています。各種の業界調査では、介護事業者の休廃業・解散件数が4年連続で過去最多水準(年間600件台)で推移し、倒産件数も過去最多水準(年間170件台)に達したと報じられています。これらは物価高・人件費上昇・人材確保難・介護報酬改定の影響が重なった結果とされ、介護・福祉業界全体でM&A・事業承継の相談が増えている状況です(出典:日本M&Aセンター「介護・福祉業界のM&A動向」)。
「閉店」「廃業」を選ぶ前に「譲渡」という選択肢があることを知らないまま、サービス利用者・従業員の受け皿を確保できずに事業を畳むケースは少なくありません。利用者の生活を支える介護事業では、事業の連続性そのものが社会的価値を持つため、第三者承継の意義は他業種以上に大きいと言えます。
人材不足・経営者高齢化・市場拡大の3要因
介護M&Aを後押しする要因は3つに整理できます。第一に、深刻な人材不足です。介護人材の確保競争が激化し、単独の小規模事業者では採用・定着が難しくなっています。規模を持つ事業者の傘下に入ることで、採用力・教育体制・キャリアパスを確保しやすくなります。
第二に、経営者の高齢化と後継者不在です。創業から年数が経った事業者では経営者が引退時期を迎え、親族や社内に後継者がいないケースが目立ちます。後継者不在のまま代表者が高齢化すれば、黒字でも廃業に至りかねません。後継者不在を入口とした承継の考え方は後継者がいない会社を買う・引き継ぐ完全ガイドでも扱っています。
第三に、市場拡大に伴う異業種参入と再編です。高齢化で介護需要は中長期的に拡大が見込まれ、医療・不動産・人材・他のヘルスケア企業が参入や規模拡大を進めています。買い手側の旺盛なニーズが、売り手にとっての譲渡先の選択肢を広げています。
介護のM&Aで事業所の指定は引き継げますか — 株式譲渡 vs 事業譲渡
介護のM&Aで事業所の指定が引き継げるかは、スキームで変わります。株式譲渡なら法人格が存続するため指定はそのまま有効、事業譲渡では指定は自動承継されず買い手が新規に取り直します。 この違いが、介護M&Aで最初に押さえるべき判断軸です。
株式譲渡 — 法人格が存続し指定はそのまま有効
株式譲渡は、事業を運営する法人の株式(持分)を買い手に譲渡するスキームです。譲渡後も法人格はそのまま存続するため、その法人が受けている訪問介護・通所介護などの事業所指定は継続して有効です。指定が途切れないため、介護報酬の請求も中断しません。
そのため株式譲渡は、指定や実績の連続性を重視する介護M&Aで選ばれやすいスキームです。一方で、株式譲渡では法人を丸ごと引き継ぐため、過去の運営指導の指摘事項・返還リスク・簿外債務・未払い残業代といった「負の遺産」も承継します。後述するデューデリジェンスでの確認が欠かせません。
事業譲渡 — 指定は新規に取り直し(廃止届+新規申請を同時進行)
事業譲渡は、法人格はそのままに、特定の事業(一部の事業所や部門)だけを切り出して買い手に譲渡するスキームです。この場合、事業所の指定は買い手に自動承継されません。買い手は事業を引き継ぐにあたり、自社(または新設法人)で改めて指定を受け直す必要があります。
実務では、売り手側が当該事業所の「廃止届」を提出し、買い手側が「新規指定申請」を行います。指定権者(都道府県・市区町村)への申請には審査期間があり、サービス提供に空白期間が生じないよう、廃止と新規指定のタイミングを合わせるスケジューリングが要となります。開設者の変更は原則として新規指定の扱いとなる点に注意が必要です(出典:埼玉県「変更・廃止・休止・再開・指定辞退の届出」)。
実績リセットのリスク
事業譲渡で指定を取り直すと、新規指定は「実績ゼロ」からのスタート扱いとなり、一時的に売上や評価の前提が下がる可能性があります。たとえば一部の加算は過去の実績要件や届出を前提とするため、新規指定では同じ条件をすぐに満たせない場合があります。承継後の収支計画には、この実績リセットの影響を織り込んでおくことが重要です。
指定承継の比較表
スキームごとの違いを表に整理します。
| 比較軸 | 株式譲渡 | 事業譲渡 |
|---|---|---|
| 事業所の指定の帰趨 | 法人格が存続し指定はそのまま有効 | 自動承継されず買い手が新規に取り直し |
| 介護報酬の連続性 | 途切れない(請求継続) | 廃止届と新規指定の間に空白が生じないよう調整が必要 |
| 実績の通算 | 法人として継続するため実績も継続 | 新規指定で実績がリセットされる可能性 |
| 処遇改善加算 | 法人継続だが計画書の単位変更に注意 | 新規指定扱いとなり区分・要件を改めて確認 |
| 雇用契約 | 法人と従業員の契約が原則そのまま継続 | 買い手と従業員が改めて雇用契約を結び直し |
| 主な手続き | 株式の譲渡+必要に応じた変更届 | 売り手の廃止届+買い手の新規指定申請を同時進行 |
| 負の遺産の承継 | 過去の指摘・債務も承継 | 譲渡対象の範囲に限定しやすい |
※本表は一般的な整理であり、サービス種別・指定権者の運用・案件の事情により異なります。個別の手続きは指定権者および専門家に確認してください。
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介護事業の合併・事業譲渡で手続きは簡素化されますか — 厚労省の事務簡素化
介護保険法等は合併に特有の手続きを定めておらず、原則として「指定の新規申請」を求めますが、近年の規制改革により実質的に継続運営される場合の手続き簡素化が進められています。 制度の原則と最新の簡素化の方向性を分けて理解することが重要です。
原則 — 合併・事業譲渡には新規指定が必要
介護・障害福祉サービスの指定は事業者ごとに付与されるため、合併や事業譲渡で運営主体(指定を受ける者)が変わる場合、原則として新たに指定を受け直す必要があります。介護保険法等には合併・事業譲渡に特化した「指定の包括承継」の規定が一般には設けられていないため、形式上は新規申請が求められるのが基本構造です。
規制改革による簡素化の方向
この原則に対し、実態として事業が継続する承継でも一律に新規申請を求めるのは過重だとの指摘があり、規制改革の場で簡素化が議論されてきました。令和6年(2024年)の規制改革実施計画に基づき、合併・事業譲渡等で実質的に継続して運営される場合には、変更があった部分のみの届出で足りるようにする、添付書類を合理化する、といった事務簡素化の方向が示されています。法人格以外に実質的な変更がない場合は、登記事項証明書等で確認できる範囲に書類を絞るといった運用も検討対象とされています(出典:内閣府 規制改革推進会議 ワーキング・グループ資料(介護・福祉サービス事業者の合併・事業譲渡時の手続))。
ただし、簡素化の具体的な運用は指定権者ごとに進度や取扱いが異なる場合があります。承継スキームを確定する前に、所管の都道府県・市区町村に最新の取扱いを確認することが実務上の鉄則です。
処遇改善加算はM&Aで引き継げますか — 引継ぎの注意点
処遇改善加算(現:介護職員等処遇改善加算)は他の加算と手続きが異なり、M&A・事業承継時には通常の加算届出書では手続きできない場合があるため、特に注意が必要です。 介護M&Aの差別化論点として、加算の連続性を早期に確認することが欠かせません。
通常の加算とは手続きが異なる
介護職員等処遇改善加算は、介護職員の賃金改善を目的とした加算で、計画書の提出・実績報告など固有の手続きが定められています。事業所の指定や運営に変更がある場合、通常の加算の届出とは別の対応が必要になることがあり、計画書の作成単位が変わる・事業所に増減があるといったケースでは改めて申請が求められます(出典:埼玉県「介護職員等処遇改善加算(令和8年度)の手続」)。
新規指定扱いになると区分・要件に影響しうる
事業譲渡などで指定を取り直し「新規指定」扱いとなる場合、処遇改善加算の区分や要件を改めて満たす必要が生じることがあります。加算区分はキャリアパス要件・職場環境等要件などの充足状況で決まるため、承継後に同じ区分を継続できるかを事前に確認しておくことが重要です。
一方で、介護報酬の運用上、勤続年数要件など一部の要素については承継前の実績の通算が認められる場合があるとされます。何が通算でき何がリセットされるかは加算・要件ごとに異なるため、個別に切り分けて確認する姿勢が求められます。
2026年度(令和8年度)に向けた最新確認が必須
処遇改善加算は、報酬改定や運用見直しのたびに様式・通知が更新されます。2026年度(令和8年度)に向けても様式や手続きの更新が行われるため、承継のタイミングでは必ず指定権者の最新通知を確認してください。古い様式や旧区分の前提で計画を立てると、承継後に加算を取り損なうリスクがあります。
介護のロールアップ戦略とは何ですか
介護のロールアップ戦略とは、小規模事業者が分散する介護業界で、複数の事業者を連続して買収し、規模の経済を発揮する成長戦略のことです。 介護は地域密着の小規模事業者が多い分散型業界であり、ロールアップが機能しやすい構造を持ちます。
水平統合と垂直統合
介護のロールアップには大きく2つの方向があります。水平統合は、同じサービス種別の事業者を地域内で買い集め、特定エリアでの密度(地域ドミナント)を高める動きです。訪問介護のように移動効率が収益を左右するサービスでは、地域内の密度を高める「密度の経済」が効きやすく、ロールアップの効果が出やすい領域です。
垂直統合は、在宅サービス・施設サービス・医療など、利用者の状態変化に応じた一連のサービスを揃える動きです。在宅から施設、さらに医療連携までをグループ内で完結させることで、利用者を切れ目なく支えながら、グループ全体での利用者の囲い込みと安定経営を狙います。
規模拡大のメリットと留意点
ロールアップで規模を拡大するメリットは、採用力の強化・教育研修の標準化・本部機能の集約による間接費の効率化です。規模が大きくなれば求人での認知度が上がり、キャリアパスを示しやすくなるため、人材確保・定着の面でも有利になりやすいと考えられます。
ただし規模拡大は万能ではありません。買収した事業者ごとに運営品質・コンプライアンス水準・企業文化が異なるため、統合後の運営標準化(PMI)を丁寧に進めないと、サービス品質のばらつきや離職を招くリスクがあります。買収のスピードと統合の質のバランスが、ロールアップ成功の分かれ目です。
最近の介護M&Aにはどんな事例がありますか — 2025年の公開事例
2025年には、訪問介護・通所介護・施設運営の各分野で公開M&Aが相次ぎ、株式譲渡・事業譲受・株式交換・資本業務提携など多様なスキームが用いられています。 ここでは各社が公表した事実に基づき、スキームと狙いの軸で整理します。なお、個別の取引価額には踏み込まず、公表されている内容のみを記載します。
公開事例の整理(公表事実のみ)
| 公表時期 | 当事者(買い手→対象) | スキーム | 狙い・シナジー |
|---|---|---|---|
| 2025年5月 | セントケア・ホールディング → 愛らいふサービス | 全株式取得(株式譲渡) | 在宅介護分野の事業基盤・地域カバレッジの強化 |
| 2025年4月 | ケア21 → あさひ(訪問介護事業) | 事業譲受(ロールアップ型) | 訪問介護の地域密度・規模拡大 |
| 2025年2月 | ウェルディッシュ → グランドルーフ | 簡易株式交換 | グループ内でのサービス・運営基盤の補完 |
| 公表ベース | AHCグループ → パパゲーノ | 資本業務提携 | 事業連携・サービスラインの拡充 |
各事例は、当事者が公表したリリース等に基づく整理です。詳細な取引条件・金額は各社の公表資料をご確認ください。市場動向・事例の出典は日本M&Aセンター「介護・福祉業界のM&A動向」を参照しています。
事例から読み取れる潮流
公開事例から見える潮流は3点です。第一に、訪問介護を中心とした事業譲受(ロールアップ型)で地域密度を高める動きが目立ちます。第二に、株式譲渡で法人ごと取得し指定・実績を一体で承継するケースが、施設・在宅の双方で見られます。第三に、株式交換や資本業務提携など、現金以外のスキームや段階的な連携を選ぶ事例もあり、当事者の事情に応じてスキームが使い分けられています。
スキームの選択は、指定承継・加算・実績・税務・資金の論点が絡み合う総合判断です。自社の状況にどのスキームが適するかは、専門家を交えた検討が現実的です。指定承継の実務的な補足は業界メディアの解説(例:M&A総合研究所「介護事業の事業譲渡」)も参考になります。
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介護M&Aの進め方とデューデリジェンスの注意点
介護M&Aは、目的整理から引継ぎまでを段階的に進めます。一般的な中小M&Aと共通する流れに、介護特有の確認項目が加わる点が特徴です。
標準的な進め方
進め方は概ね次の順序です。まず目的を整理し(売り手は承継・退職、買い手は地域拡大・サービス補完など)、相手探し(M&A仲介・マッチングを活用)に入ります。基本合意で大枠の条件を固めた後、デューデリジェンス(DD)で対象事業を精査し、指定申請・契約締結・クロージング・引継ぎへと進みます。事業譲渡の場合は、指定の廃止届と新規申請のタイミングを合わせる調整がこの過程に組み込まれます。DDの全体像はデューデリジェンス(DD)とは|目的・種類・流れで詳しく解説しています。
介護M&A特有のDD確認項目
介護M&AのDDでは、一般的な財務・税務・法務の確認に加え、次の項目が重要です。第一に、運営指導(旧:実地指導)の指摘事項と、その改善状況です。未改善の指摘や不正請求があると、介護報酬の返還リスクや改善責任が承継先に移る可能性があります。第二に、加算の算定要件を継続して満たせるかの確認です。処遇改善加算をはじめ、各加算の要件充足状況を精査します。
第三に、雇用と人員基準の確認です。介護サービスには人員基準(職員配置基準)があるため、承継後も基準を満たす人員を確保できるか、従業員の雇用契約・処遇・競業避止の論点を整理します。事業譲渡では従業員と買い手が雇用契約を結び直すため、処遇維持と引継ぎ同意の取り付けが円滑な承継の鍵です。
なお、契約書の具体的な雛形・条項文例の作成や、個別の譲渡価額・税額の算定は、弁護士・税理士・M&A仲介の専門領域です。 本記事は仕組みと論点の整理に限定し、個別判断は各専門家への相談を推奨します。
介護M&Aの料金・相談先 — まず無料相談から
介護M&Aの相談先には、M&A仲介・事業承継引継ぎ支援センター・業界特化のマッチングサービスなどがあります。売り手はまず、自社の事業がどのスキームに適するか、指定・加算の連続性をどう確保するかを整理することから始めるのが現実的です。
M&A-WEBでは、売り手向けの相談を売主完全無料で受け付けています(売り手の相談・着手金が無料という意味で、報酬は買い手側の成約時報酬による料金体系です。デューデリジェンス等の専門家費用は別途発生する場合があり、最終的な料金体系は依頼先により異なります)。具体的な譲渡額の試算は、事業所の状況・財務資料・指定や加算の充足状況・買い手候補のニーズを踏まえた個別の検討が必要です。一般論としての相場感の整理は本記事で扱いますが、個別の査定額は専門家による個別評価に委ねる構成です。買い手として参入・拡大を検討する場合も、指定承継・加算・人員基準・運営指導リスクの確認を早期に行うことで、承継後のつまずきを防げます。
介護M&Aの売却・買収について無料相談したい方へ → M&A-WEBの無料相談(売主完全無料)
よくある質問
介護のM&Aで事業所の指定は引き継げますか
スキームによって変わります。株式譲渡では法人格が存続するため事業所の指定はそのまま有効で、介護報酬の請求も途切れません。事業譲渡では指定は自動承継されず、買い手が新規に指定を取り直します。事業譲渡の場合は、売り手の廃止届と買い手の新規指定申請を同時進行で進め、サービス提供に空白期間が生じないようスケジューリングすることが実務上の要です。
株式譲渡と事業譲渡で介護の指定はどう変わりますか
株式譲渡は法人を丸ごと引き継ぐため、指定・実績・雇用契約が原則そのまま継続しますが、過去の運営指導の指摘や債務などの負の遺産も承継します。事業譲渡は特定の事業だけを切り出すため、指定は新規に取り直しとなり、譲渡対象の範囲を限定しやすい一方、新規指定で実績がリセットされる可能性があります。どちらが適するかは、指定・加算・実績・税務・雇用の論点を総合して判断します。
事業譲渡で介護の指定を取り直すと実績はどうなりますか
事業譲渡で指定を取り直すと「新規指定」扱いとなり、実績がゼロからのスタートとなる可能性があります。過去の実績要件や届出を前提とする加算は、新規指定では同じ条件をすぐに満たせない場合があり、一時的に売上や評価の前提が下がることがあります。承継後の収支計画には実績リセットの影響を織り込み、どの加算が継続でき何がリセットされるかを指定権者に事前確認することが重要です。
処遇改善加算はM&Aで引き継げますか
処遇改善加算(介護職員等処遇改善加算)は他の加算と手続きが異なり、M&A時には通常の加算届出書では手続きできない場合があります。計画書の作成単位が変わる・事業所に増減があるといったケースでは改めて申請が必要です。事業譲渡で新規指定扱いになると加算区分や要件を改めて確認する必要があります。様式・通知は2026年度(令和8年度)に向けても更新されるため、必ず指定権者の最新通知を確認してください。
介護事業の合併・事業譲渡で手続きは簡素化されますか
介護保険法等は合併に特有の手続きを定めておらず、原則として運営主体が変わる場合は新規に指定を受け直す構造です。一方で、令和6年(2024年)の規制改革実施計画に基づき、実質的に継続して運営される場合は変更があった部分のみの届出で足りるようにする、添付書類を合理化するといった事務簡素化の方向が示されています。簡素化の具体的な運用は指定権者ごとに異なる場合があるため、所管の自治体に最新の取扱いを確認してください。
介護のロールアップ戦略とは何ですか
介護のロールアップ戦略とは、小規模事業者が分散する介護業界で複数の事業者を連続して買収し、規模の経済を発揮する成長戦略です。同じサービス種別を地域内で買い集める水平統合(地域ドミナント)と、在宅・施設・医療を揃える垂直統合があります。訪問介護のように移動効率が収益を左右するサービスでは密度の経済が効きやすく、規模拡大による採用力強化・教育の標準化が見込めます。一方で買収後の運営標準化(PMI)を丁寧に進めることが成功の条件です。
最近の介護M&Aにはどんな事例がありますか
2025年には、セントケア・ホールディングによる愛らいふサービスの全株式取得(株式譲渡)、ケア21によるあさひの訪問介護事業の事業譲受(ロールアップ型)、ウェルディッシュとグランドルーフの簡易株式交換、AHCグループとパパゲーノの資本業務提携などが公表されています。訪問介護を中心とした事業譲受で地域密度を高める動きと、株式譲渡で法人ごと取得し指定・実績を一体で承継する動きが見られます。個別の取引価額は各社の公表資料をご確認ください。
まとめ — 介護M&Aを成功させる3原則
介護のM&A・事業承継を進めるうえで押さえるべき原則を3点に整理します。
第一に、スキームで指定・実績・加算の連続性が変わります。 株式譲渡なら指定はそのまま有効、事業譲渡では指定を新規に取り直し、新規指定では実績がリセットされる可能性があります。事業譲渡では廃止届と新規申請のスケジューリングが要となります。
第二に、処遇改善加算は別手続きであることに注意します。 通常の加算届出書では手続きできない場合があり、計画書の作成単位の変更や事業所の増減で改めて申請が必要です。2026年度(令和8年度)の様式・通知更新を必ず確認してください。
第三に、デューデリジェンスで運営指導の指摘・返還リスク・人員基準・雇用を確認します。 未改善の指摘を承継すると改善責任・返還リスクが承継先に移るため、早期の精査が欠かせません。
介護M&Aは、指定・加算・実績・税務・雇用が絡み合う総合判断です。スキーム選択やスケジューリングを誤ると、サービスの空白や加算の取り損ねにつながります。まずは自社の状況を整理し、専門家を交えて検討することが現実的です。
関連記事として、M&A売却の全体像はハブ記事M&A売却(事業売却・会社売却)完全ガイド、精査の進め方はデューデリジェンス(DD)とは|目的・種類・流れ、医療・福祉系の業種別では調剤薬局M&Aガイド、許認可を伴う業種別では建設業M&Aガイド・運送業M&Aガイドを併せてご覧ください。
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