カフェ業界の最新動向2026|倒産・後継者不在・M&A市場の今
「カフェ業界は今どうなっているのか」——倒産が増えている、コーヒー豆が高い、後継者がいない、M&Aが増えている……断片的な見出しは目にしても、出典付きで整理された全体像はなかなか見当たりません。本記事は、カフェ業界の“今”を①市場の捉え方 ②足元の経営環境(倒産・原価高) ③担い手と後継者 ④M&A・事業承継という4つの定点観測項目で、公的統計・調査会社データをもとに中立に整理します。「だから将来どうなるか/今が売り時か」という解釈や中長期の見通しは断定せず、その判断はカフェ経営の将来性をはじめ各専門記事へご案内します。まずは事実を一望し、自分の関心に応じて次に読むべき記事への地図を手に入れてください。
この記事の結論(先に「今の事実」だけ)
本記事は「業界の今=直近マクロ動向」を中立に定点観測するものです。将来性の解釈・中長期見通し・売り時/買い時の判断は将来性ハブへ。
- 市場規模:「カフェ/喫茶の市場規模」は何を母数にするかで数字が変わります。外食産業市場規模は約24兆1,512億円、そのうち喫茶店市場規模は約1兆1,892億円(いずれもJF・2023年)[C-02][C-02b]。事業所数(経済センサス)・営業許可施設数(衛生行政報告例)は別の集計単位で、混同しないことが出発点です。
- 経営環境:飲食店の倒産は2024年(暦年)894件=過去最多(TDB)、飲食業は2024年度907件=初の900件台(TSR・集計期間が違うため併記)[C-05]。喫茶店(カフェ)の倒産も2024年度に2月時点で66件と過去最多の可能性(TDB)で、背景に国内アラビカ種コーヒー豆1kg900円超=前年度比1.4倍の高騰があります[C-05b]。
- 担い手・後継者:後継者不在率は全国50.1%(2025・TDB)(最も高いのは建設業57.3%・飲食単独値は要確認)[C-06]。FLコスト(食材費+人件費=売上の約6割)による低利益も重なり、出口を意識するオーナーが増えています[C-04]。
- M&A・事業承継:外食業界のM&Aは2024年 約70件=過去最高(前年の約2倍/レコフDB)[C-07]。「畳む」以外に第三者承継(M&A)という出口が広がり、営業許可も事業譲渡なら2023年12月13日施行の地位承継届で引き継げます[C-11]。

図解F1:カフェ業界の“今”の定点観測ダッシュボード。市場規模は外食産業全体と喫茶店単独で母数が異なる(混同しない)。倒産は飲食店2024年暦年894件/喫茶店も2024年度2月時点66件で過去最多の可能性。将来性の解釈は別記事へ。
§1 カフェ業界の市場規模と事業者数 — 「どの“市場規模”を見るか」で数字は変わる
まず「カフェ・喫茶の市場規模は何兆円か」という問いから入りましょう。ただし、ここには最初に押さえておくべき注意点があります。「○兆円」と一口に言っても、何を母数にするかで数字は大きく変わります。何が分かって何が分からないかを、正直に確認します。
カフェ(喫茶店)とは、コーヒー・紅茶などの飲料や軽食を主に店内で提供する飲食業態です。日本標準産業分類では「飲食店」のうち「喫茶店」等に分類され、外食産業の一部を構成します[C-09]。営業には飲食店営業許可が必要な許認可ビジネスである点も、後述するM&A・承継の論点につながる基本です[C-09]。
「カフェ市場○兆円」は母数で数字が変わる
結論から言えば、「カフェ/喫茶の市場規模」には複数の母数があり、どれを見るかで数字がまったく変わります。代表的なものを並べると次の4つです。
- (A) 外食産業市場規模=約24兆1,512億円(JF/食の安全・安心財団・2023年・前年比20.2%増)[C-02]。これは飲食店・喫茶店・居酒屋などを合わせた外食産業全体の金額で、カフェだけの数字ではありません。
- (B) 喫茶店市場規模=約1兆1,892億円(JF・2023年)[C-02b]。これは上記(A)24兆円の「内数」であって、喫茶業態に絞った金額です。(A)と(B)は桁が違うため、混同すると20倍ほどの誤解が生じます。
- (C) 事業所数(総務省・経済センサス)。飲食店・喫茶店の「店舗の数」であって、金額ではありません[C-02b]。
- (D) 営業許可施設数(厚労省・衛生行政報告例)。飲食店営業許可を受けた施設の数で、これも金額とは別の集計単位です[C-09]。
つまり、(A)外食産業全体・(B)喫茶店単独・(C)事業所数・(D)許可施設数は集計単位がまったく別です。「カフェ市場○兆円」と断定する記事を見かけたら、その金額がどの母数に基づくのかを確かめたほうがよい、というのが中立な見方です。本記事は、金額として接地できる(A)(B)のみを年・出典付きで示し、(C)(D)は「別の母数として存在する」という事実の確認に留めます。
注:(B)喫茶店市場 約1兆1,892億円は2023年で前年比約20%増ですが、これはコロナ禍からの回復過程の数字で、コロナ前の水準を上回ったわけではありません。「増えている/減っている」という評価は、後述の倒産動向や将来見通しと合わせて読む必要があり、その解釈はカフェ経営の将来性で扱います。
直近の需要トレンド — 「回復」と「淘汰」が併存している
需要の方向としては、外食全体の2024年売上は前年比108.4%(3年連続で前年超)、喫茶業態は前年比109.0%と回復しています(JF)[C-10]。一方で、後述(§2)のとおり小規模カフェの倒産は過去最多水準にあります。「売上の回復」と「小規模店の淘汰」が同時に起きている——これが今のカフェ業界の事実です。
この「併存」をどう意味づけるか(二極化として読むのか、喫茶縮小予想をどう評価するのか)という解釈は、本記事では行いません。需要見通し・将来性の見立てはカフェ経営の将来性へ、いくらで売れるかという相場感はカフェの売却相場へご案内します。
なお、ビジネスモデルとしてのカフェは、参入障壁が比較的低い一方で、FLコスト(食材費+人件費)が重く利益が薄くなりやすい構造を持ちます[C-04]。この点は§2で事実として触れますが、利益率の深掘りはカフェの年収・利益率が正本です。
§2 足元の経営環境 — 倒産は過去最多水準・コーヒー豆高騰・FLコストの低利益
売上が回復している一方で、足元の経営環境は楽観できません。倒産・原価高・利益率の3点を、集計期間(暦年/年度)と対象(飲食店/喫茶店)を混同しないように、事実として並べます。
倒産は過去最多水準(集計期間・対象を併記)
まず飲食店全体です。帝国データバンク(TDB)によれば、飲食店の倒産は2024年(暦年)894件で過去最多となりました(前年768件比+16.4%・2020年の780件を上回って更新・1億円未満の小規模が784件=87.7%)[C-05]。一方、東京商工リサーチ(TSR)によれば、飲食業の倒産は2024年度(4〜2月累計)907件で、同期間として初めて900件台に乗りました(資本金1千万円未満が812件=約89.5%)[C-05]。
注:TDBは「暦年」(1〜12月)・TSRは「年度」(4〜翌3月)で集計期間が異なります。894件と907件は対象期間も発行元も違うため、単純比較はできません。本記事はそのつど発行元と集計期間を明記しています。いずれも「小規模・零細が9割近く」という点で共通しており、追い込まれているのは小さな店だという方向は一致しています。
次にカフェに特化した数字です。TDBの喫茶店動向調査によれば、喫茶店(カフェ)の倒産は2024年度に2月時点で66件発生し、年度通年では2018年度(73件)を上回って過去最多となる可能性があります[C-05b]。
注:ここで挙げた喫茶店66件は「年度・2月時点」の数字で、飲食店全体の894件(暦年・TDB)とは対象も集計期間も別です。「飲食店倒産894件」と「喫茶店倒産66件」を混同しないことが、カフェ業界の動向を正しく読む出発点になります。
コーヒー豆・原材料の高騰(カフェ固有)
喫茶店の倒産が増えている背景の一つが、原材料の高騰です。国内アラビカ種コーヒー豆は2024年度平均で1kg900円を超え、前年度から1.4倍、コロナ禍(2020年度)と比べると2.5倍に急騰しました(TDB・円安1ドル150円台が背景)[C-05b]。これに人件費(最低賃金の上昇)や光熱費の上昇が重なり、さらに安価なコンビニコーヒーや大型チェーンとの競合が、小規模カフェの収益を構造的に圧迫しているとされます。
注:原材料のうち、本記事で具体的な数値として接地できるのはコーヒー豆(1kg900円超・前年比1.4倍)だけです。それ以外の品目別の上昇率は一次的に特定が難しいため、本記事では「上昇基調・収益を圧迫する方向」という方向性に留め、数値を断定しません。
利益率は構造的に薄い(FLコスト)
カフェは、なぜ売上が回復しても倒産が増えるのか。背景には利益率の薄さがあります。標準的な飲食店のFL比率(食材費+人件費)は売上の約60%が目安とされます(独立行政法人中小企業基盤整備機構)[C-04]。ここから家賃・光熱費・その他経費を差し引くと、営業利益率は一桁台にとどまり、赤字も珍しくないというのが業態の一般的な姿です[C-04]。
注:カフェ単独の営業利益率を示す公的な財務統計は、財務区分が「宿泊業,飲食サービス業」の中分類までしか整理されていないため存在しません。本記事ではFL比率(中小機構・約60%)で構造を示し、営業利益率は「一桁台〜赤字も珍しくない」という定性的な表現に留めています。なお、FL比率(原価+人件費の割合)と営業利益率はまったく別物であり、両者を混同しないよう注意が必要です。
「黒字だから安泰」「薄利だから先がない」という解釈はここではしません。利益率・年収の深掘りはカフェの年収・利益率、倒産が増えるなかでの「畳むか譲るか」の損得はカフェは廃業と売却どっちが得かへご案内します。
§3 担い手と後継者の動向 — 高齢化・後継者不在と「畳むか譲るか」
経営環境に続いて、担い手=人の動向を見ます。誰が店を続けるのか、続けられないとき何が起きるのか。
後継者不在率は全国50.1%(飲食単独は要確認)
帝国データバンクによれば、全国(全業種)の後継者不在率は2025年で50.1%(前年比▲2.0pt・改善傾向)です[C-06]。最も高いのは建設業の57.3%、最も低いのは製造業の42.4%で、8業種すべてで不在率が60%を下回りました[C-06]。
注:この調査では飲食業単独の後継者不在率は公表テキストに明示が見当たりません。本記事は全国値(50.1%)で接地し、「飲食単独は要確認」と注記します。最も高い建設業の57.3%を、カフェ(飲食)の後継者不在率として使うのは誤りです。
個人経営・属人性の高さが「畳むか譲るか」を意識させる
カフェ・喫茶は個人事業や一人オーナーの店が多く、味づくりやオペレーションがオーナーに属人化しやすい業態です。オーナーの高齢化に後継者不在が重なると、店の出口は「廃業(畳む)」か「第三者承継(譲る)」かの二択に近づきます。低利益・原価高という§2の事実も、この出口意識を後押しします。
ただし、「畳む」場合の論点と「譲る」場合の論点は、それぞれ別の記事が正本です。本記事では「論点があること」だけを中立に示します——畳むか売るかの損得は廃業と売却どっちが得か、営業許可の引き継ぎはカフェの許認可承継、誰がどう売れたかはカフェの売却・第三者承継事例へ。属人性が承継・買収でどう効くかという解釈も、これらの専門記事へご案内します。
§3.5 原材料・人件費の原価環境 — コーヒー豆1.4倍という逆風
§2の倒産・利益率を、原価と競争環境の側面から補足します。サブキーワードの一角「カフェ 業界 現状」に応えて、小規模カフェの収益を圧迫する要因を事実として整理します。
カフェの収益を外から押し下げているのは、大きく次の要因です。
- コーヒー豆の高騰:前述のとおり国内アラビカ種は2024年度平均で1kg900円超=前年度比1.4倍・コロナ前2.5倍[C-05b]。主原料が1.4倍になれば、原価の高いカフェほど打撃が大きくなります。
- 人件費の上昇:最低賃金の継続的な引き上げにより、FLコストの「L(人件費)」側が上昇基調にあります(方向性のみ。具体率は本記事では断定しません)。
- 競合・代替の脅威:安価なコンビニコーヒーや大型チェーンとの価格競争が、小規模カフェの単価転嫁を難しくしています(5フォースでいう代替品・競合の脅威)。
注:ここで挙げたのは「小規模カフェの収益を圧迫する方向の事実」までです。「だから淘汰される」「付加価値で生き残る」「二極化する」といった意味づけ・打ち手の評価は本記事では行わず、カフェ経営の将来性へご案内します。
§4【M&A・投資視点】動向としてのM&A・事業承継 — 外食M&A過去最高と第三者承継の“今”
倒産や後継者不在は「畳む」話に見えますが、もう一つの動きがあります——会社や店を「譲る」M&A・第三者承継の広がりです。最後に、ここまでの動向がM&A・事業承継の側面でどう現れているかを、事実に絞って見ます。相場・評価・誰が買うか・売り時/買い時といった解釈は扱わず、各専門記事へご案内します。
外食M&Aは2024年に過去最高
外食業界のM&A件数は2024年で約70件=過去最高(前年の約2倍)となりました(レコフM&Aデータベース集計・日本M&Aセンター)[C-07]。後継者不在・倒産増という「畳む」側の動向の裏側で、第三者承継(M&A)が出口として現実的に広がっている、ということが動向の事実として読み取れます。
注:この約70件は外食業界全体の件数で、カフェ単独の内訳ではありません(レコフDBの集計に帰属する数字です)。本記事では「外食・第三者承継が動向として増えている」という事実までを扱い、カフェの相場・倍率・誰が買うかは各専門記事へ送ります。
買い手・売り手の論点(軽く・詳細は各スポークへ)
動向の裏側にある論点を、ごく軽く整理します(答えは各専門記事が正本です)。
- 買い手の論点:居抜きで立地・常連・造作(内装/厨房)・営業許可を「店ごと」取得できる一方、味やオペが属人的だと営業権は乗りにくい——という点が起点になります。新規開業と買収の比較は新規開業vs居抜き買収、買収後にいくら残るかはカフェの年収・利益率へ。
- 売り手の論点:畳む(スケルトン原状回復で持ち出し)か、譲る(造作譲渡料が入る)かで手元に残る額が非対称になります。いくらで売れるかはカフェの売却相場、畳むか売るかの損得は廃業と売却どっちが得かへ。

図解F2:カフェ業界の“今”の併存マップ。外食売上の回復と小規模カフェの倒産増・原価高が併存し、後継者不在を背景に外食M&A・第三者承継が増加(動向の事実)。市場規模は母数併記・倒産は集計期間/対象併記。二極化/売り時の判断は将来性ハブへ。
営業許可の地位承継(年号に注意)
「営業許可は引き継げないから廃業しかない」という誤解がありますが、現在は譲り方によって引き継げます。
- 株式譲渡なら法人格が変わらないため、営業許可は会社に残り、原則として手続きは不要です(一般法理・個別は管轄保健所に確認)[C-12]。
- 事業譲渡でも、2023年12月13日(令和5年改正)施行の地位承継届により引き継げます(手数料無料・営業の全部譲渡が条件・譲渡契約書の添付が必要)[C-11]。
- 相続・合併・分割による地位承継は、これより前の2021年6月1日(令和3年改正)施行です[C-11]。
注:「2021年改正で事業譲渡の地位承継が可能になった」というのは誤りです。事業譲渡は2023年12月13日施行、相続・合併・分割は2021年6月1日施行で、年号が異なります。なお深夜0時以降の酒類提供は「許可」ではなく「届出」です。営業許可の地位承継の手続きの詳細・自治体ごとの運用差はカフェの許認可承継、飲食店M&A・事業承継の汎用実務は飲食店M&Aの全体像が正本です。
居抜き売却や廃業と譲渡の一般論は居抜き売却の基本・廃業と譲渡どちらを選ぶかも参考になります。掲載中の案件は掲載中の飲食・カフェ関連のM&A案件一覧からご覧いただけます。
編集部より:動向の数字を、読みすぎない
「カフェ業界の動向は?」と尋ねられると、つい倒産過去最多・コーヒー豆1.4倍・後継者不在・低利益といった数字を並べたくなります。ですが飲食・カフェ領域のM&Aの現場で痛感するのは、こうしたマクロの動向は“畳む前に居抜きで店ごと譲りたい”という相談増として現れる一方、ある店が高く売れるか・続けられるか・買う価値があるかは、業界の動向ではなく、その店の立地・常連・営業許可・造作(内装/厨房)の状態・オーナーの属人性(味やオペが属人的だと営業権は乗りにくい)で決まる、という点です。「業界が薄利だから/倒産が増えているから自店も先がない」と早合点するのも、「外食は回復しているから安泰」と楽観するのも、同じくらい危うい。動向は“地ならし”として正しく押さえ、最後の判断は個社の状態と、将来性・相場・承継・廃業損得といった専門の物差しで——というのが現場の順序です。(※本コラムは当社の飲食・カフェ領域におけるM&A実務での一般的な所感です)
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§5 よくある質問(FAQ)
Q1. カフェ業界の今の動向はどうなっていますか? A. 要点は4つです。①市場規模は母数で数字が変わり、外食産業全体は約24兆1,512億円・そのうち喫茶店単独は約1兆1,892億円(いずれもJF・2023年)で、事業所数や許可施設数とも集計単位が別です[C-02][C-02b] ②飲食店の倒産は2024年暦年894件=過去最多(TDB)/飲食業は2024年度907件=初の900件台(TSR)で、喫茶店(カフェ)も2024年度に2月時点66件で過去最多の可能性(TDB)、背景にコーヒー豆1kg900円超=前年比1.4倍の高騰があります[C-05][C-05b] ③後継者不在は全国50.1%(飲食単独は要確認)・FLコスト約60%で低利益[C-06][C-04] ④外食M&Aは2024年約70件=過去最高(前年の約2倍・レコフDB)[C-07]。将来性の解釈はカフェ経営の将来性へ。
Q2. カフェ・喫茶店の市場規模はどのくらいですか? A. 「カフェ市場○兆円」は何を母数にするかで変わります。外食産業市場規模(飲食店・喫茶店・居酒屋などの合計)は約24兆1,512億円(JF・2023年)[C-02]、そのうち喫茶店市場規模は約1兆1,892億円(JF・2023年)[C-02b]で、両者は桁が異なります。さらに事業所数(経済センサス)・営業許可施設数(衛生行政報告例)は「店舗・施設の数」であって金額とは別の集計単位です[C-09]。本記事は金額として接地できる外食全体・喫茶店単独のみを出典付きで示し、「カフェ市場○兆円」という母数を混同した断定は避けています。
Q3. カフェ・喫茶店で倒産は増えていますか? A. 増加傾向です。飲食店の倒産は2024年(暦年)894件で過去最多(前年比+16.4%・小規模87.7%/TDB)、飲食業の倒産は2024年度(4〜2月)907件で初の900件台(小零細89.5%/TSR)です[C-05]。カフェに特化すると、喫茶店の倒産は2024年度に2月時点で66件発生し、年度通年では2018年度(73件)を上回って過去最多となる可能性があります(TDB)[C-05b]。TDBは暦年・TSRは年度で集計期間が異なり、「飲食店倒産894件」と「喫茶店倒産66件」は対象も別なので混同しないことが大切です。畳むか売るかの損得は廃業と売却どっちが得かへ。
Q4. カフェ業界で後継者不在・事業承継は増えていますか? A. 全国の後継者不在率は2025年で50.1%(前年比▲2.0pt/TDB)です[C-06]。最も高いのは建設業の57.3%、最も低いのは製造業の42.4%で、飲食業単独の値はこの調査の公表テキストには明示が見当たらないため「要確認」です(建設の57.3%をカフェの値として使うのは誤りです)。カフェ・喫茶は個人経営・属人性が高く、オーナーの高齢化と重なって「畳むか譲るか」の出口を意識する場面が増えています。承継の手続きはカフェの許認可承継、誰がどう売れたかは売却・第三者承継事例へ。
Q5. カフェ・外食業界のM&Aは増えていますか? A. 動向としては増えています。外食業界のM&A件数は2024年で約70件=過去最高(前年の約2倍)と、レコフM&Aデータベースの集計で報告されています(日本M&Aセンター)[C-07]。これは外食業界全体の件数で、カフェ単独の内訳ではありません。後継者不在・倒産増という「畳む」側の動向の裏で、第三者承継(M&A)という出口が広がっている、というところまでが動向の事実です。相場・評価・売り時/買い時の判断はカフェの売却相場・カフェ経営の将来性へ。
Q6. カフェの営業許可は引き継げますか? A. 譲り方によって引き継げます。株式譲渡なら法人格が変わらないため許可は会社に残り、原則手続きは不要です(個別は管轄保健所に確認)[C-12]。事業譲渡でも、2023年12月13日(令和5年改正)施行の地位承継届により引き継げます(手数料無料・営業の全部譲渡が条件・譲渡契約書の添付)[C-11]。相続・合併・分割の地位承継は2021年6月1日(令和3年改正)施行で、年号が異なります(「2021年改正で事業譲渡の地位承継」は誤り)。手続きの詳細・自治体の運用差はカフェの許認可承継が正本です。
Q7. カフェ業界はこの先どうなりますか/今が売り時ですか? A. 本記事は「業界の今」の事実の定点観測に徹しており、将来予測や売り時/買い時の判断は意図的に扱っていません。需要見通し・二極化の見方・喫茶縮小予想や付加価値(スペシャルティ等)の評価・「今が売り時か」の検討はカフェ経営の将来性、売却の相場感はカフェの売却相場で扱っています。
§6 まとめ — “今の事実”を踏まえ、次にどこを読むか
カフェ業界の“今”を4つの定点観測項目で整理しました。要点は次の3つです。
1. 市場規模は母数で数字が変わる——外食産業全体は約24兆1,512億円、そのうち喫茶店単独は約1兆1,892億円(いずれもJF・2023年)で、事業所数・許可施設数とも集計単位が別[C-02][C-02b]。外食売上は回復(2024年 前年比108.4%・喫茶109.0%)している[C-10]。 2. 倒産は過去最多水準——飲食店2024年暦年894件(TDB)/飲食業2024年度907件(TSR)で、喫茶店(カフェ)も2024年度2月時点66件で過去最多の可能性(TDB)。背景にコーヒー豆1kg900円超=前年比1.4倍の高騰があり、FLコスト(約6割)で利益率は構造的に薄い[C-05][C-05b][C-04]。 3. 後継者不在と事業承継が動いている——後継者不在は全国50.1%(飲食単独は要確認)、外食M&Aは2024年約70件=過去最高(前年の約2倍・レコフDB)で、「畳む」以外に第三者承継(M&A)という出口が広がっている。営業許可も事業譲渡なら2023年12月13日施行の地位承継届で引き継げる[C-06][C-07][C-11]。
本記事は、これらを「だから将来こうなる」「今が売り時だ」と解釈することは意図的に避けました。その判断は店ごとに異なり、別の記事の役割だからです。自分の関心に応じて、次の専門記事へ進んでください。

図解F3:本記事=中立の定点観測を起点にした関心別の交通整理マップ。事実の定点観測はここまで、解釈・判断は各専門記事へ(最重要は将来性ハブ)。カフェクラスター8本のハブ&スポーク双方向化の起点。
- 業界の今後・将来性の見立て(二極化・付加価値・喫茶縮小予想の評価) → カフェ経営の将来性
- 売却の相場・価格の目安(造作譲渡・年買法) → カフェの売却相場
- 畳むか売るかの損得(手取り比較) → 廃業と売却どっちが得か
- 営業許可の地位承継の手続き → カフェの許認可承継
- 利益率・オーナーの年収の実態 → カフェの年収・利益率
- 参入するなら新規開業か居抜き買収か → 新規開業vs居抜き買収
- 誰が・どう売れたのか → カフェの売却・第三者承継事例
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免責
本記事はカフェ業界の動向に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の将来予測・査定額・成約・売却を保証するものではありません。①「カフェ/喫茶の市場規模」は母数(外食産業全体/喫茶店単独/事業所数/営業許可施設数)によって数字が異なり、本記事は金額として接地できる外食全体・喫茶店単独のみを出典付きで示しています ②カフェ単独の営業利益率は公的財務統計が存在しないため、FL比率(中小機構・約60%)で構造を示し営業利益率は定性表現に留めています(FL比率と営業利益率は別物です) ③倒産の件数は発行元(TDB/TSR)・集計期間(暦年/年度)・対象(飲食店/喫茶店)によって異なります ④後継者不在率は全国値であり、飲食業単独の値は要確認です ⑤外食M&A約70件は外食業界全体の件数(レコフDB集計)であり、カフェ単独の内訳ではありません ⑥コーヒー豆以外の原材料・人件費・光熱費は方向性(上昇基調)の記載であり具体的な上昇率を断定するものではありません ⑦将来性・二極化・売り時/買い時の評価は各専門記事および専門家へご相談ください。許認可の承継可否は管轄保健所・行政書士、税務の取り扱いは税理士、契約・法務に関する事項は弁護士へご相談ください。本記事には当社サービス(無料相談)へのご案内を含みます。
出典
- [C-02] 外食産業市場規模は2023年で約24兆1,512億円(前年比20.2%増・2019年比94.9%まで回復/業態別=飲食店141,313億円・喫茶店11,892億円・居酒屋等9,152億円・料亭バー等17,675億円。広義〔料理品小売業を加える〕は31兆7,828億円)— 一般社団法人日本フードサービス協会(JF)/食の安全・安心財団 外食産業市場規模推計(2023年実績)(T2): https://www.foodwatch.jp/marketsizefs2023 /(原本・公開前に最新版を再確認)http://anan-zaidan.or.jp/data/2024-1-1.pdf
- [C-02b] 喫茶店市場規模は2023年で約1兆1,892億円(JF・外食産業24.15兆の内数で別の母数)。事業所数(経済センサス)・営業許可施設数(衛生行政報告例)は「店舗・施設の数」で金額とは別の集計単位 — 日本フードサービス協会/食の安全・安心財団(業態別内訳)・日本経済新聞(市場動向)(T2): https://www.foodwatch.jp/marketsizefs2023 / https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP685890_X20C25A1000000/
- [C-04] 標準的な飲食店のFL比率(食材費+人件費)は売上の約60%が目安/家賃・光熱費等を引くと営業利益率は一桁台〜赤字も珍しくない(FL比率と営業利益率は別物・カフェ単独の営業利益率T1統計は存在しない)。※建設業のCIIC指標(設備工事業0.35%等)は飲食に無関係で用いない — 独立行政法人中小企業基盤整備機構(FL比率・T2)/業態解説(営業利益率=attributed・定性): https://www.smrj.go.jp/
- [C-05] 飲食店倒産は2024年(暦年)894件=過去最多(前年768件比+16.4%・2020年780件超で更新・1億円未満の小規模784件=87.7%)/飲食業倒産は2024年度(4〜2月)907件=同期間で初の900件台(資本金1千万円未満812件=約89.5%)。※TDBは暦年・TSRは年度で集計期間が異なり単純比較不可 — 帝国データバンク(暦年894件・T2): https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250114-insyokutousan/ / 東京商工リサーチ(年度907件・T2): https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201142_1527.html
- [C-05b] 喫茶店(カフェ)倒産は2024年度に2月時点で66件、年度通年で2018年度(73件)を上回り過去最多の可能性/国内アラビカ種コーヒー豆は2024年度平均で1kg900円超=前年度比1.4倍・コロナ禍(2020年度)比2.5倍に急騰(円安1ドル150円台が背景)。※飲食店倒産〔暦年894件〕とは対象・集計期間が別 — 帝国データバンク「『喫茶店(カフェ)』の倒産動向(2024年度)」(T2): https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250305_coffee/
- [C-06] 後継者不在率は全国(全業種)50.1%(2025・前年比▲2.0pt)/最も高いのは建設業57.3%・最も低いのは製造業42.4%・8業種すべて60%未満。飲食業単独の値はこの調査公表テキストに明示が見当たらない(建設57.3%をカフェの値として用いない)— 帝国データバンク「後継者不在率動向調査2025」(T2): https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251121-successor25y/
- [C-07] 外食業界のM&A件数は2024年 約70件=過去最高(前年の約2倍)。レコフM&Aデータベース集計(外食業界全体の件数でカフェ単独の内訳ではない)— 日本M&Aセンター(レコフM&Aデータベース引用)(T2): https://www.nihon-ma.co.jp/columns/2025/x20250205-3/
- [C-09] カフェ(喫茶店)はコーヒー・紅茶等の飲料・軽食を主に店内提供する飲食業態で、日本標準産業分類では「飲食店」のうち「喫茶店」等に分類され外食産業の一部を構成する飲食店営業許可(食品衛生法)が必要な許認可ビジネス — 総務省 日本標準産業分類(飲食店>喫茶店)/厚生労働省 食品衛生法 飲食店営業許可・衛生行政報告例(T1): https://www.e-stat.go.jp/
- [C-10] 外食産業の2024年売上は前年比108.4%(3年連続で前年超)・客単価103.9%・喫茶業態は前年比109.0%=売上は回復(小規模カフェの倒産増との「併存」の意味づけ・二極化の解釈は本記事では行わず将来性記事へ)— 日本フードサービス協会 外食産業市場動向調査2024(日経)(T2): https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP685890_X20C25A1000000/
- [C-11] 営業許可の地位承継:事業譲渡=2023年12月13日(令和5年改正)施行で届出により承継可(手数料無料・営業の全部譲渡が条件・譲渡契約書添付)/相続・合併・分割=2021年6月1日(令和3年改正)施行。「2021年改正で事業譲渡の地位承継」は誤り(年号厳守)— 東京都保健医療局「営業者の地位の承継」/川崎市「営業者の地位の承継について」/厚生労働省 食品衛生法改正リーフレット(T1相当): https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/jigyojoto.html / https://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000130206.html / https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/000739154.pdf
- [C-12] 株式譲渡なら法人格が変わらないため営業許可は会社に残り原則手続き不要(一般法理・個別は管轄保健所確認)/個人事業は事業譲渡(造作譲渡)が中心/深夜0時以降の酒類提供は「許可」ではなく「届出」— 川崎市「営業者の地位の承継について」ほか(T1相当): https://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000130206.html