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アフィリエイトサイト 買収 注意点|ASPの提携は引き継げない前提で見る、成果報酬の4段階と広告主集中の確認

この記事の目次
  1. この記事の結論
  2. 過去の成果報酬は、買収後の収益を約束しない
  3. ASPのアカウントは引き継げない前提で、買い手が提携を取り直す
  4. 単価・提携・成果条件は、買収後に広告主とASPの都合で変わる
  5. 発生・承認・確定・入金を分けて、売り手の数字がどの段階かを確かめる
  6. 売上が特定の広告主に集中しているなら、取り直せない場合の利益を先に出す
  7. PR表記の状況は、買収後の責任と読者の信頼の両方に関わる
  8. リンクの切り替えと売上の検証は、買収後の最初の月に手順を決めて行う
  9. まとめ
  10. よくある質問(FAQ)
  11. 出典

「月の成果報酬が60万円」。たとえば、売り手からこう説明されることがあります。買い手が知りたいのは、その数字を買収後に再現できるかです。ASPのアカウントは売り手のもので、提携や単価の条件は広告主とASPが握っています。この記事は、何が引き継げて何が引き継げないか、売り手の数字をどの段階で読むか、価格と契約にどう織り込むかを整理します。

この記事の結論

  • ASPのアカウントと提携は、引き継げない前提で見ます。 買い手が新規に登録し、広告主ごとに提携を取り直します。承認されるかは広告主しだいです。
  • 売り手の「成果報酬」は、発生・承認・確定・入金のどの段階の数字かを確かめます。 A8.netのように月末締め・翌々月払いのASPでは、譲渡の時点で未確定・未払いの報酬が残ります。
  • 広告主への集中とPR表記の状況を、価格と契約条件に織り込みます。 提携を取り直せなかった場合の収益を、先に仮の数字で試算します。

この記事の対象:記事を主な収益源にするアフィリエイトサイトの買収を検討している方。売り手として、買い手に何を聞かれるかを知りたい方にも使えます。

Webメディア全体のDDの論点はWebメディアのM&A DATAにまとめています。検索順位の変動リスクはWebメディア 買収 SEOリスクで扱いました。この記事は、そのうち収益の側、つまりASPと広告主との関係だけを深く扱います。

過去の成果報酬は、買収後の収益を約束しない

結論: 売り手の実績は、売り手のアカウントが売り手の条件で得た数字です。買い手が同じ条件を得られるとは限りません。

A8.net の規約では、成果報酬は広告主に発生した成果につき、メディアに支払う広告配信の対価と定められています。そのうえで、メディアが了承する事項として、成果報酬の単価は ASP または広告主の裁量で決まり変更されることがあること、広告主・ASP の裁量で支払条件が変わることがあること、提携は広告主・ASP により事前の通知や根拠の説明なしに解除されることがあることが挙げられています。ASPごとに規約は違いますが、買い手が見る点は共通です。

避けたい判断 こうすればOK
直近12か月の成果報酬の平均を、そのまま買収後の年間収益として価格を決める 広告主ごとに、買い手が同じ条件で提携できるかを分けて見る
売り手が言う「単価が高い」を、サイトの力だと受け取る その単価が通常単価か特別単価かを確かめ、特別単価は買い手が再交渉する前提で見る
提携済みの広告主が多いことを、収益の安定と見る 提携が解除される条件と、直近に解除や単価変更がなかったかを確かめる

ASPのアカウントは引き継げない前提で、買い手が提携を取り直す

結論: A8.net のヘルプはアカウント自体の譲渡を受け付けていません。買い手は新規に登録し、提携審査を通す必要があります。

A8.net のヘルプ「サイトを譲渡する予定ですが何をすればいいですか?」は、サイト譲渡の手順を次のように案内しています。

順番 手続き 担当
1 譲渡先が新規にメディアアカウントを開設する(アカウント自体の譲渡は受け付けていない) 買い手
2 譲渡するサイトから、譲渡元のアカウントに紐づくすべての広告リンクを取り外す 売り手
3 譲渡元のアカウントの登録サイトから、当該サイトの情報を削除する 売り手
4 譲渡先のアカウントでサイトを新規登録する 買い手
5 譲渡先のアカウントで必要なプログラムと提携し、広告を掲載する 買い手

同じヘルプは、メディアアカウント間でプログラムの提携状態や特別単価を引き継ぐことはできず、提携審査や特別単価の調整が譲渡先で改めて必要になること、提携が確約されるわけではないことを明記しています。譲渡先から問い合わせれば提携や特別単価を引き継げるケースが多いが、広告主の予算の都合で希望に沿えない場合もある、とも書かれています。

A8.net の共通規約には、契約上の地位や権利義務を相手方の書面による事前の同意なく第三者に譲渡できない、という定めがあります。また、同一人が複数のメディア登録をすることは、ASP の事前の承諾がない限り禁止行為とされています。売り手のアカウントのまま買い手が運営する方法や、ID・パスワードを渡す方法は、ASP が認めているかを確かめない限り選べません。DMM アフィリエイトのヘルプも、サイト譲渡では譲渡するサイトを自分のサイト登録から削除し、サイトからアフィリエイトIDをすべて削除するよう求めています。

ここまでは A8.net と DMM アフィリエイトで確認できた内容です。他のASPの扱いは、それぞれの規約とヘルプで確かめる必要があります。株式譲渡でアカウントの名義人である会社ごと引き継ぐ場合に、ASP側の手続きが要るか、規約に抵触しないかも、ASPごとに個別の確認が必要です。

単価・提携・成果条件は、買収後に広告主とASPの都合で変わる

結論: 提携を取り直せても、条件は売り手の時と同じとは限りません。買い手は、取り直せなかった場合と条件が下がった場合の収益を先に出します。

売り手のリンクが外れてから、買い手の提携が承認されて広告を掲載し直すまでの間は、収益が出ません。A8.net の規約は、契約終了後や広告主との提携解除後も広告素材やアフィリエイトリンクを掲載する行為を禁止行為としています。移行期間に、旧リンクを残したまま運営を続けることは避けます。

買い手が売り手に求める資料は次の表のとおりです。

資料 確かめること
広告主別・プログラム別の成果報酬の月次内訳 どの広告主にどれだけ依存しているか
各プログラムの成果条件と単価(通常単価か特別単価か) 買い手が同じ単価を得られるか
提携の開始日と、解除・単価変更の履歴 提携の安定性
プログラムごとの否認・キャンセルの履歴 発生した成果が確定する割合
ASPからの通知メールと規約違反の指摘の有無 退会処分や報酬の没収を受けるおそれ

最後の行は見落とされがちです。A8.net の規約では、禁止行為があったメディアに対して、未払いの成果報酬の没収と、支払い済みの報酬の返還請求ができるとされています。売り手のアカウントに規約違反の指摘や報酬の保留がないかを確認し、あれば未払い分の見込みから外します。

発生・承認・確定・入金を分けて、売り手の数字がどの段階かを確かめる

結論: 「売上」と呼ばれている数字は、サイトが得た成果の発生額であることも、ASPが確定した額であることも、口座に入った額であることもあります。譲渡の時点で、どの段階の数字が何か月分残るかを確かめます。

A8.net の規約では、成果承認は成果を承認・確定または否認・キャンセルすることで成果発生の有無を確定させることとされています。成果報酬の支払いは毎月末締めの翌々月15日払いです。また、広告主・代理店による支払遅延またはそのおそれが生じた場合は、その支払いがあるまで ASP は支払義務を猶予されることが、規約に定められています。広告主の事情で承認が左右される場合があることも書かれています。

段階 意味(本記事の整理) 買い手が確かめること
発生 管理画面に成果が計上された 売り手の月次報告がこの数字か
承認・確定 広告主とASPが成果を認めた、または否認・キャンセルした 発生から確定までの日数と、否認の割合
入金 ASPから売り手の口座に支払われた 月末締め・翌々月払いなどの支払サイトの間にある未払い分

仮の数字で考えます(実在のメディアを示すものではありません)。月の発生額が60万円で、ASPの支払いが月末締めの翌々月15日払いのとき、譲渡日の時点で売り手の口座に入っていない確定分や、まだ確定していない発生分が、おおむね数か月分残ります。このお金が売り手のものか、買い手のものか、否認されたら誰が負担するかは、規約からは決まらない部分があります。アカウントは買い手に移らないため、未払い分は売り手のアカウントに残ります。

避けたい判断 こうすればOK
売り手の説明した月次の数字を、確定額として受け取る 発生額と確定額と入金額を分けた資料を求める
未払い・未確定の報酬の扱いを決めないまま譲渡日を迎える 譲渡日以前の発生分の帰属と、否認時の負担を契約で決める(書き方は弁護士に確認する)
売り手のアカウントに残る未払い分を、買い手が受け取れると考える アカウントは移らないため、受け取るのは売り手。買い手との精算の方法を決める

売上が特定の広告主に集中しているなら、取り直せない場合の利益を先に出す

結論: 集中していること自体は問題ではありません。その広告主との提携を買い手が取り直せなかった場合に、利益がどう動くかを先に試算します。

次は仮の数字です。月の発生額60万円のうち、広告主Aが30万円、広告主Bが15万円、その他の複数社が合計15万円とします。費用は月10万円で、収益が減っても変わらないと置きます。

シナリオ 月の収益 月の利益 現在との差
現状(売り手の実績) 60万円 50万円 -
Aの単価が20%下がって提携 54万円(Aが24万円) 44万円 12%減
Aの提携が承認されない 30万円(Aの30万円がゼロ) 20万円 60%減
AもBも承認されない 15万円 5万円 90%減

この前提では、収益が半分になると利益は6割減ります。費用が変わらないためです。売り手の収益の多くが少数の広告主に集まっているほど、提携を取り直せるかどうかが価格に直結します。

買い手がとれる対応は、売買契約の前に広告主との提携の可否を確かめられる範囲で確かめること、移行後の一定期間の収益に応じて価格の一部を支払う形にすることなどです。A8.net のヘルプでは、譲渡先から問い合わせれば提携や特別単価を引き継げるケースが多いとされていますが、これはASPの案内であり、確約ではありません。どの条件を契約に入れるかは、弁護士・税理士などの専門家に確認してください。

PR表記の状況は、買収後の責任と読者の信頼の両方に関わる

結論: サイトの表示が事業者の広告だと読者に分かるかは、買収の前後で確認が必要です。規制の対象は広告主ですが、ASPの規約はメディアにPR表記を求めています。

消費者庁によると、令和5年(2023年)10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法違反となっています。規制の対象は、商品・サービスを供給する事業者(広告主)で、企業から依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはならないと説明されています。消費者庁の「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q1も、広告主から依頼を受けて表示を行うインフルエンサーやアフィリエイターは規制の対象外とする一方、インフルエンサー等が広告主と共同して商品等を供給しているという例外的な場合には規制の対象となる、としています。

だからといって、アフィリエイトサイトの運営者が表示を気にしなくてよいわけではありません。理由は次の2つです。

  • ASPの規約が求めています。 A8.net の規約は、メディアの義務として、広告配信に際してメディアサイト内に「PR」等の表記をすること(ユーザーが広告と認識できるよう、分かりやすい位置に)を挙げています。
  • 消費者庁のQ&Aが、表示の明瞭さを見ると説明しています。 アフィリエイトサイトの冒頭に「このサイトはアフィリエイト広告を利用しています。」と書いてあっても、文字の大きさや色を含め、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっている必要がある、とされています。

買い手は、売り手のサイトでPR表記がどこに、どう出ているかを確かめます。表記が十分でなければ、買収後に直す工数と、ASPから是正を求められたり提携を解除されたりするリスクを見込みます。表示内容そのものが景品表示法の観点から問題ないかは、個別の判断が必要で、専門家に確認してください。

リンクの切り替えと売上の検証は、買収後の最初の月に手順を決めて行う

結論: 売り手のリンクが外れ、買い手の提携が承認されるまでの順番を、先に決めておきます。切り替えた直後の数か月は、売り手の実績との差を月ごとに記録します。

A8.net の手順では、売り手が広告リンクを外してサイト情報を削除し、そのあと買い手が新規登録して提携します。DMM アフィリエイトも、サイト登録の削除とアフィリエイトIDの削除を求めています。買い手が先にサイトを登録しようとしても、売り手の登録が残っていると進めないおそれがあるため、順番は ASP の案内に合わせます。

本記事の整理では、移行は次の順で進めると、収益の空白と説明のつかない減少を減らせます。

時期 やること
譲渡の前 買い手がASPに新規アカウントを開設する(サイトの登録と提携の申込みは、売り手がサイト登録を削除した後。A8.netの手順)。売り手の広告主別の資料を受け取る
譲渡の日 売り手がリンクを外してサイト登録を削除する。買い手がサイトを登録して広告を掲載する。ASPごとの手順に従う
譲渡後1〜3か月 広告主別の発生額を、売り手の実績の同じ月と並べて記録する。差の原因(提携・単価・順位)を分ける
未払い分の精算 売り手のアカウントに残る確定分と、否認されたときの負担を、契約で決めた方法で精算する

順位による減少と、提携や単価による減少は、原因が違います。順位の見方はWebメディア 買収 SEOリスクを参照してください。

まとめ

  • ASPのアカウントと提携は引き継げない前提で、買い手が新規登録と提携の取り直しをします。条件が同じになる保証はありません。
  • 売り手の成果報酬は、発生・承認・確定・入金の段階を分けて確かめ、未払い・未確定分の帰属を契約で決めます。
  • 広告主への集中とPR表記の状況を確かめ、提携を取り直せなかった場合の利益を先に試算します。

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よくある質問(FAQ)

Q1. アフィリエイトサイトを買ったら、売り手のASPアカウントも引き継げますか? A. A8.net のヘルプは、アカウント自体の譲渡は受け付けておらず、譲渡先が新規にメディアアカウントを開設するよう案内しています。提携状態や特別単価もアカウント間では引き継げず、譲渡先で提携審査と単価の調整をやり直します。他のASPも同じとは限らないため、使っているASPごとに規約とヘルプで確かめます。

Q2. 売り手の過去の成果報酬は、買収後も同じ水準で続きますか? A. 続くとは言えません。A8.net の規約では、成果報酬の単価は ASP または広告主の裁量で決まり変更されることがあり、提携も広告主・ASP の側から解除されることがあるとされています。過去の実績は、誰がどの条件で得た数字かを分けて読み、買い手が同じ条件で提携できるかを確かめます。

Q3. 買収の直前に発生した成果報酬は、買い手と売り手のどちらのものになりますか? A. 本記事の整理では、規約だけでは決まらない論点です。A8.net の規約では、成果報酬の支払いは月末締めの翌々月15日払いで、成果は承認・確定または否認・キャンセルを経て確定します。譲渡の時点では未確定や未払いの報酬が残るため、誰に帰属し、否認されたときに誰が負担するかを、売買契約で決めておきます。契約の書き方は弁護士に確認してください。

Q4. 特定の広告主に売上が集中しているサイトは、避けたほうがよいですか? A. 一概には言えません。本記事の整理では、集中していること自体より、その広告主との提携を買い手が取り直せるか、取り直せなかったときに利益がどうなるかで判断します。広告主別の月次の成果と、その提携の条件を売り手に出してもらい、取り直せない場合の利益を仮の数字で試算します。

Q5. アフィリエイトサイトの「PR」表記は、買収後に買い手が直す必要がありますか? A. 表示が事業者の広告であることが一般の読者に分かるかは、買収の前後を問わず確認が必要です。消費者庁のQ&Aは、サイトの冒頭に「プロモーションを含みます」などと書いてあっても、文字の大きさや色を含めて明瞭かどうかが重要としています。A8.net の規約もPR表記を求めています。買収後に表記を点検する前提で、売り手には現在の表記の状況を確認します。

Q6. 買収後、ASPのリンクはどの順番で切り替えますか? A. ASPごとの手順に従います。A8.net のヘルプでは、売り手が譲渡するサイトから自分のアカウントの広告リンクをすべて外してサイト登録を削除し、そのあと譲渡先が新規アカウントでサイトを登録して提携・掲載します。DMM アフィリエイトのヘルプも、サイト登録の削除とアフィリエイトIDの削除を求めています。本記事の整理では、この手順上、リンクが外れている期間と提携審査を待つ期間は収益が出ない前提で見ます。

出典

  • A8.net「サイトを譲渡する予定ですが何をすればいいですか?」 https://support.a8.net/a8/as/faq/2024/post_2205.html
  • A8.net「メディア会員利用規約」(共通規約・メディア向け利用規約) https://www.a8.net/compliance/media-userpolicy.php
  • ファンコミュニケーションズ「メディア向け利用規約」 https://www.fancs.com/media_terms/
  • DMM アフィリエイト ヘルプ「登録サイトを譲渡したい」 https://support.dmm.com/affiliate/article/47520
  • 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing
  • 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/stealth_marketing

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