Web制作外注先との契約

Web制作会社 買収 外注|フリーランス法・取適法の当てはめ手順と、外注離脱で原価が年約115万円増える仮の試算

この記事の目次
  1. この記事の結論
  2. 外注依存は、外注先ごとの「何を・どの契約で・誰が」の台帳で確かめる
  3. フリーランス法と取適法は、外注先と発注する会社の両方の属性で当てはめる
  4. 取引条件の明示は、契約書があっても8項目が揃っていなければ足りない
  5. 報酬は、60日ルール・減額・単価据え置きの3点を支払履歴で確かめる
  6. 買収後の外注切替や不更新は、6か月以上の継続取引なら30日前の予告が必要になる
  7. 外注の働き方が社員に近ければ、労働者性の確認が要る
  8. 外注先の離脱と単価改定は、年100万円超の原価増になりうる
  9. 引継ぎは「台帳→当てはめ→発注者の確定→明示のやり直し→主力の外注先」の順に進める
  10. まとめ
  11. よくある質問(FAQ)
  12. 出典

「制作の半分は、長く付き合っているフリーランスに出している」。Web制作会社の売却で、よく聞く説明です。買い手が知りたいのは、その外注先が買収後も同じ条件で動いてくれるのか、契約と支払いが法律の面で問題ない状態なのか、です。この記事は、その確認の順序と、外注が抜けたときの費用を整理します。

この記事の結論

  • 外注への依存は、割合ではなく外注先ごとの台帳で確かめます。 担当業務、契約の形、取引条件の明示、報酬の支払実績、代わりの外注先の見つけやすさを、1社ずつ並べます。
  • フリーランス法と取適法のどちらが当たるかは、外注先の属性と発注する会社の属性の両方で決まります。 株式譲渡か事業譲渡か、買収後に役員が何人になるかで、当てはめが変わることがあります。
  • 外注の離脱や単価改定は、原価に直接響きます。 仮の数字では、上位の外注先1社が抜けて代わりが20%高いと、原価は年約115万円増えます。

この記事の対象:外注比率の高いWeb制作会社の買収を検討している買い手。売り手として、買い手に何を確かめられるかを知りたい方にも使えます。

Web制作会社のM&A全体の判断材料は、Web制作会社のM&A DATAにまとめています。ハブでは、外注比率を主要KPIに挙げ、外注先との関係をDDで確かめる点までを扱いました。この記事は、そのうち外注先との契約・報酬・法令の面に絞ります。外注に書かせたコードの著作権は、Web制作会社のM&Aで著作権とソースコードは引き継げる?で扱っているため、ここでは繰り返しません。

外注依存は、外注先ごとの「何を・どの契約で・誰が」の台帳で確かめる

結論: 外注比率という1つの数字では、買収後に体制を保てるかは分かりません。外注先を1社ずつ並べた台帳で、引き継げるものと引き継げないものを分けます。

外注比率に「この水準なら安全」という公的な基準は、本記事の調べた範囲では見つかりませんでした。基準を借りるより、台帳で中身を見るほうが確実です。

台帳の列 確かめること 見る資料
外注先の区分 個人か法人か。従業員を使用しているか。法人なら代表者のほかに役員がいるか 外注先への確認の記録、契約書
担当業務 コーディング、デザイン、ライティングなど。特定の人にしかできない業務か 発注書、納品物
契約の形 基本契約があるか。個別の発注だけか。口頭の合意か 契約書、発注のメール・チャット
取引条件の明示 発注のたびに、納期、報酬、支払期日などが書面かメッセージで示されているか 直近の発注の実物
報酬と支払い 単価、支払日、遅れや減額の有無 支払履歴、単価改定の記録
代替性 同じ水準の外注先を、同じ単価で見つけられるか 売り手へのヒアリング
知的財産 成果物の権利の取扱いが契約や発注書に書かれているか 契約書、発注書
避けたい判断 こうすればOK
外注比率が低いから問題なしと見る 比率が低くても、特定の1社に任せている工程がないかを台帳で見る
長い付き合いだから契約書はなくても回ると見る 契約書がない外注先は、取引条件の明示の実物を確かめる
売り手の「外注先は残ってくれる」をそのまま前提にする 主力の外注先には、買収の前に売り手を通じて意向を聞く

フリーランス法と取適法は、外注先と発注する会社の両方の属性で当てはめる

結論: 同じ外注でも、相手が個人か、発注する会社が何人の役員や従業員を抱えているかで、課される義務が変わります。表の順に当てはめます。

フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、令和6年11月1日に施行されました。取適法(旧・下請法)は、2026年1月1日に施行されています。

当てはめの軸 条件 主な義務
外注先が特定受託事業者 従業員を使用しない個人、または代表者のほかに役員がなく従業員もいない法人 発注する側は規模を問わず、取引条件を書面か電磁的方法で明示する(3条)
発注側が特定業務委託事業者 発注する側が、個人で従業員を使用している、または法人で役員が二人以上いる、もしくは従業員を使用している 上に加えて、報酬の支払期日(受領から60日以内)、ハラスメント対策の体制整備など。1か月以上の業務委託では7つの禁止行為。6か月以上では育児介護等への配慮と、解除・不更新の事前予告
取適法の委託事業者 情報成果物作成委託で、発注側が資本金や従業員数の基準を満たし、外注先が個人または基準以下の事業者 発注内容の明示、60日以内の支払期日、遅延利息(年率14.6%)、11の禁止事項、書類の作成と2年間の保存

取適法の基準は、プログラム作成を含む委託と、それ以外(デザインやコンテンツ制作など)で分かれています。プログラム作成を含む委託は、発注側が資本金3億円超、資本金1千万円超3億円以下、または従業員300人超のいずれかです。それ以外は、資本金5千万円超、資本金1千万円超5千万円以下、または従業員100人超のいずれかです。外注先側の要件は、個人または資本金や従業員数が一定以下の事業者です。細かい表は、公正取引委員会のリーフレットで確認できます。

当てはめで押さえる点が4つあります。

  • 外注先が従業員を使用する法人なら、フリーランス法の対象ではありません。 ただし、取適法は発注側の資本金や従業員数しだいで当たりえます。
  • 両方に違反する行為は、原則としてフリーランス法が優先して適用されます。 取引条件の明示は、両法の記載事項をまとめて1通で示せます。
  • 外注先が特定受託事業者かどうかは、業務委託をする時点で見ます。 公正取引委員会は、発注時に従業員を使用していて対象外だった外注先が、その後に従業員をいなくしても、フリーランス法の対象にはならないと説明しています。
  • 従業員の数え方があります。 週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用が見込まれる労働者が従業員です。同居の親族だけを使っている場合は含みません。

買収の形でも当てはめは変わります。 本記事の整理では、株式譲渡なら外注先に発注する法人は対象会社のままで、事業譲渡なら外注先との契約を引き継ぐ法人が買い手側になります。どちらでも、買収後に発注する法人の資本金、従業員数、役員数で、上の表を当てはめ直します。たとえば、役員が1人で従業員がいなかった対象会社に、買い手から役員が加わって二人以上になれば、条文の定義上は特定業務委託事業者に当たりえます。契約上の地位を移す手続きは、Web制作会社のM&Aで著作権とソースコードは引き継げる?の契約の項で扱っています。

取引条件の明示は、契約書があっても8項目が揃っていなければ足りない

結論: 発注の合意そのものは口頭でも成り立ちますが、取引条件を口頭で伝えるだけでは明示になりません。契約書を結んでいても、明示すべき事項が欠けていれば明示としては不十分です。直近の発注の実物で確かめます。

公正取引委員会の特設サイトは、明示すべき事項を次の8つとしています。

  1. 発注事業者とフリーランスの名称
  2. 業務委託をした日
  3. 給付の内容
  4. 給付を受領する期日(役務なら提供を受ける期日)
  5. 給付を受領する場所(役務なら提供を受ける場所)
  6. 検査をする場合は、検査の完了期日
  7. 報酬の額と支払期日
  8. 金銭以外の方法で支払う場合は、その支払方法

DDでは、外注先ごとに直近の発注を1件以上取り出して、この8項目が書面かメッセージで揃っているかを見ます。件数は本記事の整理で、法令が定める数ではありません。つまずきやすい点は次のとおりです。

  • 支払期日が「翌月10日まで」のような書き方は、具体的な日を特定できず、支払期日を定めたことになりません。
  • SNSのタイムラインへの書き込みでは、明示になりません。 ダイレクトメッセージのように相手を特定して送る方法は認められます。
  • 未定の事項がある場合は、決まった後に直ちに補充の明示をします。 当初の明示との関連が分かる形にします。
  • 成果物の権利の譲渡や許諾を「給付の内容」に含めるなら、その範囲を明記し、対価を報酬に加えます。 含めないときも、範囲を明確にすることが望ましいとされています。

報酬は、60日ルール・減額・単価据え置きの3点を支払履歴で確かめる

結論: 買収後に表に出やすいのは、過去の支払いの問題です。支払履歴と単価改定の記録で、遅れ、減額、協議なしの据え置きの3点を見ます。

フリーランス法では、受領から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定め、その期日までに支払う必要があります。顧客から受けた仕事を外注先に再委託する場合は、再委託である旨、元の委託者の名称、元の委託業務の対価の支払期日を明示すれば、元の支払期日から30日以内に定められます。明示がなければ、原則どおり60日です。

公正取引委員会・厚生労働省の「考え方」と、関係省庁のガイドラインは、減額や買いたたきの例を挙げています。制作会社で起こりやすいものを選ぶと、次のとおりです。

見る点 問題になりうる例(資料の記載)
減額 単価を引き下げる合意をしたのに、合意の前に旧単価で発注した分にも新単価を遡って適用し、差額を差し引く
買いたたき 労務費などのコスト上昇について価格交渉の場で協議せず、従来どおり据え置く。外注先が引上げを求めたのに、価格転嫁をしない理由を書面やメールで回答しない
やり直し 仕様を明確にするよう求められたのに明確にせず、納品後に発注内容と異なるとしてやり直させる
経済上の利益の提供 契約に含まれていない改修や保守を、無償でさせる

取適法の側でも、価格協議の求めに応じない一方的な代金決定は禁止事項に加わっています。

法令違反があった場合の扱いも、買い手が見込む対象です。フリーランス法では、公正取引委員会は勧告のなかで、減額した報酬の支払などの措置を求めることができます。勧告に従わなければ命令が出て、公表されることがあり、命令に違反すれば50万円以下の罰金の定めがあります。取適法の遅延利息は、年率14.6%です。

簿外債務の試算(仮の数字): 外注先への本来の報酬が月160万円で、過去12か月、5%を減額して支払っていたと仮定します。減額分は月8万円、12か月で96万円です。これは、外注先への返還を求められうる額の一例で、実際の額は取引ごとに確かめます。

売り手が自社の調査で違反に気づいた場合は、公正取引委員会が受け付けている違反の自発的申出の制度があります。勧告を行わない取扱いとする制度で、使えるかどうかは個別の事情しだいです。買収前に是正するか、価格や補償で扱うかは、弁護士に確認してください。

買収後の外注切替や不更新は、6か月以上の継続取引なら30日前の予告が必要になる

結論: 買い手が買収後に外注体制を組み替えるとき、外注先への予告が必要な場合があります。6か月以上続く取引かどうかを、外注先ごとに確かめます。

フリーランス法には、期間による線が2つあります。

期間 課される規律
1か月以上 受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更ややり直しの禁止
6か月以上 育児介護等への配慮、契約の解除・更新しないことの30日前までの予告、外注先から求められたときの理由の開示

期間の数え方には注意が必要です。基本契約を結んでいれば、基本契約の期間で見ます。契約を更新して通算した期間が線を超える場合も含みます。当事者が同じで、給付の内容に一定の同一性があり、前の契約が終わった翌日から次の契約を結ぶ前日までが1か月未満であれば、更新して続いているものとして扱われます。ここでの「更新しない」は、契約満了の日から1か月以内に次の契約を結ばないことです。

予告は、書面、ファクシミリ、または記録を出力できる電子メール等で行います。災害など予告が困難な場合や、外注先の責めに帰すべき事由で直ちに解除が必要な場合などは例外です。双方の合意による終了は予告の対象外とされていますが、外注先の意思が自由なものであることが必要です。

避けたい判断 こうすればOK
買収の完了後に、来月からの発注停止をメッセージ1通で伝える 6か月以上続く取引かを確かめ、該当すれば30日前までに、残る方法で予告する
外注先に「話し合って終わりにしよう」と持ちかけ、同意を得たから不要と考える 合意の場合も、外注先が自由な意思で同意したことを記録に残す
契約書に「事前予告なく解除できる」とあるから予告は不要と考える 例外にあたる事由かを確かめる。定めがあるだけで直ちに不要にはならない

外注の働き方が社員に近ければ、労働者性の確認が要る

結論: 契約が請負や準委任でも、実態が労働者に近ければ、労働関係法令が適用されます。常駐や時間管理のある外注先は、台帳で別に印を付けます。

ガイドラインは、労働基準法上の労働者かどうかを、契約の名称ではなく個々の働き方の実態で判断するとしています。判断は主に、次の2つの軸と補強要素で行われます。

見る点 労働者性を強める例 弱める例
仕事の諾否 業務の依頼を、特別な理由がなければ断れない 受けるか受けないかを自分で決められる
業務遂行の指揮 業務の内容や進め方について具体的な指示を受ける 仕様書や指示書の交付が、通常の注文者が行う程度にとどまる
場所・時間の拘束 勤務場所と時間を指定され、管理されている 拘束が、他職種との工程調整など業務の性質によるものにとどまる
代替性 本人以外に作業させることが認められない 発注者の了解なしに補助者を使える
報酬 時間給や日給など、時間を単位として計算される 出来高など、仕事の出来に応じて決まる
補強要素 特定の発注者への専属性が高い。報酬に固定給部分がある 高価な機材を自分で用意している。報酬が同種の社員より著しく高額

台帳で見るべきは、常駐している外注先、時間単価で毎月ほぼ固定の報酬を受けている外注先、他社の仕事を受けられない外注先です。これらが多い場合、本記事の整理では、外注費として見ている原価の一部が、実態は人件費に近いかもしれないという前提で、売り手に実態を確認します。労働者にあたるかどうかは個別の事情で決まります。判断は弁護士や社会保険労務士に確認してください。

外注先の離脱と単価改定は、年100万円超の原価増になりうる

結論: 外注が抜けたときの影響は、代わりの単価で決まります。仮の数字で、3つの場面の費用を並べます。

仮の前提: 外注先は10社で、外注費は本来の報酬ベースで月160万円とします。そのうち上位2社が合計96万円(各48万円)で、全体の60%を占めると置きます。これは説明用の数字で、相場や平均ではありません。

場面 計算 増える原価
A. 外注先全社が単価の10%引上げを求め、応じる 160万円 × 10% = 16万円(月) 年192万円
B. 上位1社が離脱し、代わりの外注先が20%高い 48万円 × 20% = 9.6万円(月) 年115.2万円
C. 過去12か月、5%を減額していた分の返還 160万円 × 5% = 8万円(月)× 12か月 96万円(一度きり)

Bには、代わりの外注先を探す工数や、品質が安定するまでのやり直し、顧客への納期遅れによる影響を含めていません。これらは、案件ごとに別に見込みます。Aは、外注先からの価格協議の求めに、買収後の会社がどう応じるかの試算でもあります。協議の求めに応じず一方的に据え置くことは、前の章のとおり問題になりえます。

試算の使い方は、買い手と売り手で前提をそろえて議論することです。外注費の控除の考え方は、Web制作会社 保守契約 売却で、月額売上から外注費と社内工数を引く計算として扱っています。

引継ぎは「台帳→当てはめ→発注者の確定→明示のやり直し→主力の外注先」の順に進める

結論: 外注先との関係を保つには、先に法的な前提を固め、そのうえで主力の外注先から話します。順序を決めずに動くと、取引条件が曖昧なまま買収後の運用が始まります。

順序 やること 理由
1 外注先の台帳を作り、各社の属性(個人か、従業員の有無)と契約の形を記録する 当てはめの前提になる。確認は記録が残る方法で行う
2 買収後に発注する法人を決め、その法人の資本金・従業員数・役員数で、フリーランス法と取適法を当てはめ直す 株式譲渡と事業譲渡で、発注する法人が変わりうる
3 発注する法人の名称で、取引条件の明示をやり直す。報酬の支払日と支払方法は、当面変えない 明示事項に、業務委託事業者の名称が含まれる。支払条件の変更は、外注先が続けるかを判断する材料になる(本記事の整理)
4 発注、明示、支払いの記録を、取適法の対象となる取引では書類として2年間保存する 記録が残っていないと、後で確認できない
5 成果物の権利の範囲を、発注書か契約書で確認し、足りなければ追加で合意する 権利の範囲を明記しないまま無償で譲渡させることは、問題になりうる
6 主力の外注先に、買収後の発注方針、単価、支払条件を、売り手を通じて先に説明する 離脱の影響が大きい順に、話す順番を決める

6の順序は、本記事の整理で、法令が定めるものではありません。顧客との契約に再委託の制限がある場合は、外注先に任せている業務が契約に反していないかも、あわせて確認します。

まとめ

  • 外注依存は、外注先ごとの台帳で確かめます。個人か法人か、従業員の有無、契約の形、取引条件の明示、支払実績、代替性を並べます。
  • フリーランス法と取適法は、外注先と発注する会社の両方の属性で当てはめます。株式譲渡か事業譲渡かで、買収後に発注する法人が変わりうるため、当てはめ直します。
  • 買収後の外注切替や不更新は、6か月以上の取引なら30日前までの予告が必要になる場合があります。仮の数字では、上位1社の離脱で原価が年115.2万円増えました。

自社の場合を確認する 外注費を含む原価と利益を、自社の数字で確かめたいとき → 事業価値を確認する

よくある質問(FAQ)

Q1. 外注に頼っているWeb制作会社は、買収してもよいですか。 A. 外注の多さだけでは判断できません。外注先ごとの台帳で、担当業務、契約の形、取引条件の明示、報酬の支払実績、代わりの外注先の見つけやすさを確かめ、買収後も同じ条件で発注を続けられるかを見ます。公的な資料に「この外注比率なら安全」という基準は見当たらなかったため、本記事は基準値を示しません。

Q2. 外注先が個人のフリーランスだと、何が変わりますか。 A. 外注先が従業員を使用しない個人(または代表者のほかに役員がなく従業員もいない法人)であれば、フリーランス法の対象になります。取引条件の明示は、発注する側の規模を問わず求められます。発注側が従業員を使用している、または法人で役員が二人以上いる場合は、支払期日の設定や、1か月以上の業務委託での禁止行為などの規律も加わります。

Q3. 外注先が従業員を使用しているかどうかは、どう確認しますか。 A. 確認の方法に決まりはありません。公正取引委員会は、口頭でも可能ですが、トラブル防止の観点から、メールやメッセージ機能など記録が残る方法が望ましいと説明しています。ここでいう従業員は、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用が見込まれる労働者です。同居の親族だけを使っている場合は従業員に当たりません。

Q4. 買収後に外注先を入れ替えたいときは、事前に何が必要ですか。 A. フリーランス法の対象で、6か月以上続く業務委託であり、発注側が特定業務委託事業者に当たる場合は、契約の解除や更新しないことを、少なくとも30日前までに予告する義務があります。外注先から理由の開示を求められたときも、原則として応じる必要があります。当てはまるかは外注先ごと、契約ごとに確かめ、判断は弁護士に確認してください。

Q5. 過去の支払遅延や減額が見つかったら、どうなりますか。 A. フリーランス法では、公正取引委員会は勧告のなかで、減額した報酬の支払などの措置を求めることができ、従わない場合は命令と公表があります。命令に違反すると50万円以下の罰金の定めもあります。公正取引委員会は、発注事業者からの違反の自発的申出も受け付けています。買収前に是正するか、価格や補償でどう扱うかは、弁護士などの専門家に確認してください。

Q6. 外注先が実質的に社員のように働いている場合、何が問題になりますか。 A. 契約が請負や準委任でも、労働者かどうかは契約の名称ではなく働き方の実態で判断されます。仕事を断れるか、具体的な指揮命令を受けているか、勤務場所と時間を拘束されているか、報酬が時間に対する対価か、といった点を見ます。労働者にあたるとされれば、労働関係法令が適用されます。個別の判断は弁護士や社会保険労務士に確認してください。

出典

  • e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025
  • 公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」 https://www.jftc.go.jp/file/fl_jftcmhlwguidelines.pdf
  • 公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」 https://www.jftc.go.jp/file/fl_guidelines1.pdf
  • 公正取引委員会「2025年公正取引委員会フリーランス法特設サイト」 https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2025/
  • 内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)説明資料」 https://www.jftc.go.jp/file/2_fl_law_gaiyou.pdf
  • 公正取引委員会「2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!」(取適法リーフレットNo.01) https://www.jftc.go.jp/file/toriteki_leaflet.pdf

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