解体重機・リースの評価

解体会社 買収 重機|所有・割賦・リース・レンタルの4区分で、実質負担を仮の数字で再計算する

この記事の目次
  1. この記事の結論
  2. 重機は台数ではなく、所有・割賦・リース・レンタルの4区分に1台ずつ分けると、買い手に残る資産と債務が見える
  3. 帳簿価額は税務上の償却の結果にすぎず、売ったときの手取りや残りの稼働とは別の数字として並べる
  4. 借入・割賦・リース残債・担保は重機1台ずつに紐づけ、処分可能価額から残債を引いた額を機械ごとに出す
  5. 仮の数字で再計算すると、重機の純額は帳簿の見かけの3,300万円から1,500万円に変わる
  6. 老朽化と整備費は検査記録と稼働実績で見積もり、更新投資の見込みを価格や条件の交渉に載せる
  7. 株式譲渡は重機も債務も契約も会社に残り、事業譲渡は機械と債務と契約を1件ずつ選んで移す
  8. まとめ
  9. よくある質問(FAQ)
  10. 出典

重機を何台も持つ解体会社は、決算書の固定資産が大きくなります。売り手からは「重機が揃っている会社です」と説明されることもあります。しかし買い手が引き継ぐのは機械だけではありません。機械に紐づく借入、割賦の残り、リース料の支払い、担保も一緒に付いてきます。この記事は、重機を資産として見る部分と、債務として差し引く部分を分け、実質的な買収負担を再計算する手順を整理します。

この記事の結論

  • 台数と帳簿価額の合計では判断できません。 重機を1台ずつ、自社所有・割賦・リース・レンタルのどれかに分けます。
  • 資産は処分可能価額に置き換え、紐づく借入・割賦・リース残債を機械ごとに引きます。 決算書に載らないリースは、契約書から拾います。
  • 株式譲渡は重機も債務も契約も会社に残り、事業譲渡は1件ずつ選んで移します。 どちらでも、リースと担保は相手方の承諾や協議が要ります。

この記事の対象:重機を多数持つ解体会社の買収を検討している買い手。売り手として、買い手に何を問われるかを知りたい方にも使えます。

解体業全体の買い方・売り方は解体業のM&A DATAにまとめています。この記事は、そのうち設備資産と、借入・割賦・リースの財務面だけを深く扱います。過去工事の石綿や産業廃棄物の記録は解体業 M&A デューデリジェンス、価格の考え方は解体業M&A売却相場を参照してください。

重機は台数ではなく、所有・割賦・リース・レンタルの4区分に1台ずつ分けると、買い手に残る資産と債務が見える

結論: 同じ「保有している重機」でも、所有者と支払いの残り方が違います。区分を決めずに台数や帳簿価額を足すと、資産と債務が混ざります。

区分 所有者 決算書での見え方 請求する書類
自社所有(借入なし) 会社 固定資産に帳簿価額で載る 重機台帳、購入時の契約書・請求書
自社所有(借入・担保あり) 会社 固定資産と借入金に載る。登記された建設機械は抵当権の目的にできる(建設機械抵当法第5条) 金銭消費貸借契約書、担保設定の契約書、建設機械登記簿の写し
割賦(代金の分割払い) 完済まで売主側に所有権を留保する定めがあれば、売主側 資産と未払金として載っているかは、決算書と契約書で個別に確認する 割賦契約書、残債の一覧、所有権留保の条項
ファイナンス・リース リース会社 売買処理なら資産とリース債務。賃貸借処理なら載らず、未経過リース料の注記のみ リース契約書、リース料の支払予定表、中途解約と満了時の条件
レンタル・短期の賃借 レンタル会社 本記事の整理では、支払ったレンタル料が費用に出るだけ レンタル契約、解約の条件、直近の請求書

ファイナンス・リースは、中小企業の会計に関する指針で、契約期間の中途で解約できないリース、またはこれに準ずるリースで、借手がリース物件の経済的利益を実質的に享受し、使用に伴うコストを実質的に負担するものと定義されています。企業会計基準第13号の結論の背景は、ファイナンス・リースを、いわゆるレンタルと異なり、使用の有無にかかわらず借手がリース料の支払義務を負い、キャッシュ・フローが固定されているものと説明しています。

リースは、会計の処理が選べる点に注意が必要です。中小企業の会計に関する基本要領は、借手に「賃貸借取引又は売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う」ことを認めています。賃貸借取引に係る方法では、将来支払うべき金額が貸借対照表に計上されないため、金額的に重要性があるものは期末の未経過リース料を注記することが望ましいとされています。中小企業の会計に関する指針も、所有権移転外ファイナンス・リース取引は売買取引に準じた処理を行うとしつつ、賃貸借取引に準じた処理も認め、その場合は未経過リース料を注記するとしています。

一方、国税庁によれば、法人税法上は、所有権移転外リース取引は賃貸人から賃借人への引渡しの時に売買があったものとして扱われ、賃借人はリース期間定額法で償却します(タックスアンサー No.5702・No.5704)。会計と税務で扱いが違うため、決算書にリース債務がなくても、リース契約がないとは限りません。本記事の整理では、リース契約書の一覧と、個別注記表の未経過リース料を必ず突き合わせます。

もう一つ、時期の注意があります。企業会計基準委員会の企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」は、2027年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用され、2025年4月1日以後開始する事業年度の期首からの早期適用もできます。国税庁は、これを金融商品取引法の適用会社等に適用されるものと説明しています。売り手が中小会計指針・要領で決算書を作っているのか、別の基準で作っているのかで、同じリース契約の見え方が変わります。本記事の整理では、複数の会社や年度を比べるとき、どの処理で作られた数字かをそろえます。

帳簿価額は税務上の償却の結果にすぎず、売ったときの手取りや残りの稼働とは別の数字として並べる

結論: 帳簿価額は法定耐用年数に沿った償却の結果です。処分可能価額と、買収後も使い続ける価値は、別の列を作って確かめます。

国税庁の耐用年数表では、機械及び装置のうち「総合工事業用設備」は6年です。取扱通達は、職別工事業や設備工事業の業種用の機械及び装置も、この総合工事業用設備に含めるとしています(耐通2-8-2)。ブルドーザーのように、人や物の運搬を目的とせず作業場で作業するものは「機械及び装置」に当たり(耐通2-5-5)、どの設備区分になるかは使用状況等で判定します(耐通1-4-2)。ダンプなど運搬を目的とする車両は、別の「車両及び運搬具」の表で耐用年数が決まります。解体工事で使う機械がどの区分に当たるかは、税理士に確認してください。

大事なのは、この年数が「機械が使える期間」を決めるものではないことです。償却が終わって帳簿価額が小さくなった機械でも、現場で十分に稼働していることがあります。反対に、帳簿価額が残っていても、稼働していない機械や、買い手が使わない機械もあります。本記事の整理では、次の3つを別の数字として並べます。

数字 意味(本記事の整理) 確かめ方 注意
帳簿価額 取得価額から償却した後の、決算書上の金額 固定資産台帳 売却額や残りの稼働期間を示さない
処分可能価額 今、手放すとしたら手元に入る金額 機械ごとの書面見積り(中古建機の買取・販売を行う専門業者) 本記事では目安の金額や割合を示さない。帳簿価額より高くも低くもなる
継続使用の価値 買収後も自社で使い続けて稼げる見込み 現場別の稼働実績、検査記録、整備履歴 処分可能価額が低くても、稼働が高ければ価値はある。遊休機は保有コストだけが残る

国土交通省の建設機械等損料は、建設業者が所有する建設機械の償却費、維持修理費、管理費等を1時間当たり又は1日当たりの金額で示したもので、施工に要する標準的な機械経費を算出するためのものです。算定の基礎になる基礎価格は、請負工事機械経費積算要領で、検収後現金一括払いを条件とする標準仕様による機械の標準時価とされています。令和8年度の損料算定表改定は2026年2月27日に発表され、最新版は各地方整備局等の担当課で閲覧できます。

損料は、本記事の整理では「その機械を持つと費用がいくらかかるかを見る道具」であり、中古で売れる価格の根拠には使いません。損料算定表には、機種ごとに標準使用年数、年間標準運転日数、維持修理費率、年間管理費率などの欄があります。償却のほかに、整備と管理の費用がかかることを示しています。

避けたい判断 こうすればOK
重機の台数や帳簿価額の合計を、そのまま資産価値とする 1台ずつ区分し、帳簿価額・処分可能価額・稼働実績を別の列で見る
償却済みで帳簿価額が小さい機械を、無価値とみなす 稼働実績と検査記録を見て、継続使用の価値を判断する
損料を中古の売却価格の目安として使う 損料は保有コストを見る道具にとどめ、処分可能価額は書面見積りで確認する

借入・割賦・リース残債・担保は重機1台ずつに紐づけ、処分可能価額から残債を引いた額を機械ごとに出す

結論: 重機の価値は、機械ごとに「処分可能価額から紐づく残債を引いた額」で見ます。合計だけで見ると、担保付きの機械や簿外のリースが隠れます。

売り手に、次の列を持つ重機台帳を作ってもらうと、買い手が確かめやすくなります。

列 書く内容 突き合わせる資料
機種・メーカー・型式・年式・製造番号 機械の特定 銘板、購入時の書類
区分 自社所有・割賦・リース・レンタル 各契約書
帳簿価額 決算書上の金額 固定資産台帳
処分可能価額 手放すとしたらの見積額 専門業者の書面見積り
紐づく残債 借入残高、割賦の残り、未経過リース料 返済予定表、リース料の支払予定表
担保・名義 抵当権の有無、所有権が誰にあるか 建設機械登記簿、契約書
契約の満了日・中途解約の条件 リース・割賦・レンタルの条件 各契約書

担保は、建設機械の登記が手がかりになります。建設機械抵当法は、第三者に対抗できる所有権を持つ建設業者が、国土交通大臣の行う打刻または検認を受けたうえで申請すると、その建設機械の所有権保存の登記ができるとしています(第3条・第4条)。登記された建設機械は抵当権の目的にでき、抵当権者は債務者が占有を移さないで担保に供した機械について、他の債権者に先立って弁済を受けられます(第5条・第6条)。本記事の整理では、抵当権が付いた機械の売却代金は、まず抵当権者への弁済に回るため、買い手が見る余力は処分可能価額から抵当権付きの借入を引いた額です。

登記のない機械は、売買代金の完済まで売主が所有権を留保する契約や、譲渡担保が付いていることがあります。令和7年法律第56号「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」は、所有権留保契約を、代金の支払債務その他の金銭債務を担保するため、その全部の履行がされるまで動産の所有権を留保する旨の定めのある契約などと定義しています。法務省の案内では、この法律の施行日は、公布の日(2025年6月6日)から2年6月を超えない範囲内で政令で定める日です。施行後の効力や、機械ごとに適用があるかは、弁護士に確認してください。

借入に経営者の個人保証が付いている場合は、同じ台帳に書いておきます。中小M&Aガイドライン(第3版)は、保証の解除又は移行を実施するかどうかは最終的には金融機関等の判断によると説明しています。解除の交渉は別の論点なので、この記事では扱いません。

仮の数字で再計算すると、重機の純額は帳簿の見かけの3,300万円から1,500万円に変わる

結論: 帳簿価額を処分可能価額に置き換え、決算書に載らないリースを足すと、売り手の説明より純額が小さくなることがあります。以下は、すべて仮の数字です。

次の表は、仮の数字による重機の台帳の例です(単位:万円)。処分可能価額は、書面見積りを取った後の数字と仮定します。

区分 帳簿価額 処分可能価額 紐づく残債 差引(処分可能価額−残債)
自社所有(借入なし) 2,000 1,800 0 1,800
自社所有(借入・抵当権あり) 3,000 2,500 2,200 300
割賦(所有権留保) 1,500 1,200 1,000 200
ファイナンス・リース(賃貸借処理) 0 0 800 −800
レンタル 0 0 0 0
合計 6,500 5,500 4,000 1,500

リースは賃貸借処理で、決算書に載っておらず、残債の800万円は注記の未経過リース料から拾った仮の数字です。リース会社が所有者なので、処分可能価額は0としています。

売り手の決算書だけを見ると、次のように見えます。

  1. 重機の帳簿価額6,500万円から、決算書に載る借入と割賦の残債3,200万円(2,200万円+1,000万円)を引くと、3,300万円です。
  2. 帳簿価額を処分可能価額に置き換えます。5,500万円から3,200万円を引くと、2,300万円です。帳簿価額との差1,000万円(6,500万円−5,500万円)が減ります。
  3. 決算書に載らないリース800万円を引くと、1,500万円です。

この例では処分可能価額が帳簿価額より低くなっていますが、仮の数字です。実際には、機械によって高くも低くもなります。

ここで、二重に引かないための注意があります。価格の考え方が、解体業M&A売却相場で扱う「時価純資産に営業利益の数年分を上乗せする」見方の場合、賃貸借処理のリース料は、すでに営業利益から引かれています。この状態で未経過リース料800万円を債務として価格からも引くと、同じリース料を二重に引くことになります。本記事の整理では、次のどちらかにそろえます。

方法 営業利益の見方 リース残債の扱い
A. リース料控除後で見る リース料を費用として引いた営業利益のまま使う 債務として価格から引かない。ただし、固定費として今後も払い続けることは資金計画に入れる
B. 借入と同じに見る リース料のうち利息相当分を営業利益に戻し、リースを借入と同じ扱いにする 残債を債務として価格から引く

どちらの場合も、契約に中途解約や満了前の一括精算の定めがあるときは、価格とは別に、その金額が資金の必要額になります。契約書で確認してください。

老朽化と整備費は検査記録と稼働実績で見積もり、更新投資の見込みを価格や条件の交渉に載せる

結論: 車両系建設機械には法定の定期自主検査があります。検査記録と稼働実績を機械ごとに集め、直近で必要になる整備と入れ替えの費用を、買い手側で見積もります。

労働安全衛生規則第167条は、事業者に、車両系建設機械について1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行うことを義務付けています。ただし、1年を超える期間使用しない機械は、その期間は除き、使用を再開するときに検査します。第169条は、検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した者の氏名、補修等の措置の内容を記録し、3年間保存するよう定めています。第169条の2は、車両系建設機械の特定自主検査は第167条の自主検査とし、検査済みの機械に検査標章をはり付けることを定めています。厚生労働省によれば、特定自主検査は、厚生労働大臣の定める基準(特定自主検査基準)に従って行うこととされ、車両系建設機械の基準を定めた厚生労働省告示第320号は2026年1月1日から適用されています。

本記事の整理では、機械ごとに、最終の検査日、検査標章、検査記録、補修の内容を台帳に足します。検査記録が見当たらない機械は、買収後に検査と補修を行って使える状態にするまでの費用と期間が必要になる可能性があります。

確認する点 見る資料 価格・条件への反映(本記事の整理)
検査・整備 定期自主検査の記録、検査標章、補修の内容 直近で補修が必要な機械の見積りを買い手側で取り、価格の調整か、売り手負担の補修を協議する
稼働 現場別の稼働日数、遊休期間 稼働の少ない機械は、残すか、譲渡の対象から外すかを決める
更新 年式、損料算定表の機種ごとの標準使用年数、直近の修理履歴 入れ替えが近い機械の数と見積りを、買収後の資金計画に入れる

株式譲渡は重機も債務も契約も会社に残り、事業譲渡は機械と債務と契約を1件ずつ選んで移す

結論: 株式譲渡は引き継ぐ範囲を選べませんが、手続は簡単です。事業譲渡は重機を選べますが、リースと担保付きの借入は、相手方の承諾や協議がないと移せません。

中小M&Aガイドライン(第3版)の参考資料によれば、株式譲渡では、会社の資産、負債、従業員や社外の第三者との契約、許認可等が原則として存続します。未払残業代のような簿外債務や偶発債務もそのまま引き継ぎます。賃貸借契約などにチェンジ・オブ・コントロール条項がある場合は、契約を続けるために事前の協議や交渉が必要になることがあります。事業譲渡では、資産、負債、契約及び許認可等を個別に移し、債権者などの同意を1件ずつ取り付けて切り替えます。特定の財産だけを譲り受けられるため、簿外債務・偶発債務のリスクを遮断しやすい一方、許認可等は譲り受け側に承継されないことが多いとされています。

項目 株式譲渡 事業譲渡
重機の所有 会社が持つ資産のまま、会社ごと移る 承継対象財産として選べる。本記事の整理では、台帳で譲渡する機械を特定する
借入・割賦の債務 会社の負債として残る 引き受ける債務を選べる。売り手を免責する免責的債務引受には債権者の承諾が必要で、承諾がなければ原則として売り手と買い手の連帯債務になる
担保付きの機械 抵当権などがそのまま付いている 担保権を付けたまま譲り受けるのか、弁済して外すのかを、担保権者と契約で決める(本記事の整理)
リース 契約は会社に残る。チェンジ・オブ・コントロール条項があれば、事前の協議や交渉が必要になることがある 契約上の地位の移転になり、リース会社の承諾が必要(民法第539条の2)。承諾が得られなければ、買い手が別に調達する(本記事の整理)
レンタル 契約は会社に残る。条項の有無は契約書で確認する 契約上の地位の移転になり、相手方の承諾が必要
簿外債務・偶発債務 そのまま引き継ぐ 遮断しやすい
許認可 原則存続する 承継されないことが多い(解体工事 事業承継)

民法第539条の2は、契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合に、契約の相手方がその譲渡を承諾したときに、契約上の地位がその第三者に移転すると定めています。承諾が得られないリースは、買い手が自分の名義で新たに契約するか、機械を買い取るかを検討することになります。

重機の引き継ぎは、スキームだけで決まりません。どのスキームでも、重機台帳、各契約書、担保の状況を確認したうえで、弁護士に契約条項を確認してもらいます。

避けたい判断 こうすればOK
決算書にリース債務がないので、債務はないと考える リース契約書の一覧と、個別注記表の未経過リース料を突き合わせる
事業譲渡なら債務がすべて切れると考える 免責的債務引受には債権者の承諾が必要で、承諾がなければ連帯債務になることを前提に、債務ごとに承諾の見込みを確認する
株式譲渡なら、リース契約はそのまま続くと考える チェンジ・オブ・コントロール条項の有無を契約書で確認し、必要なら事前にリース会社と協議する

まとめ

  • 重機は台数や帳簿価額の合計で見ず、1台ずつ、自社所有・割賦・リース・レンタルに分けます。資産は処分可能価額、債務は機械に紐づく借入・割賦・リース残債で見ます。
  • 決算書に載らないリースは、契約書と注記から拾います。価格に反映するときは、営業利益がリース料控除後かどうかを確かめ、二重に引かないようにそろえます。
  • 株式譲渡は重機も債務も契約も会社に残り、事業譲渡は選べますが、リースや担保付きの借入には承諾や協議が要ります。契約と担保の効力は弁護士に、会計と税務の扱いは税理士・公認会計士に確認してください。

自社の場合を確認する 解体会社の事業価値を、自社の数字で確かめたいとき → 事業価値を確認する

よくある質問(FAQ)

Q1. 解体会社を買うとき、重機の台数や帳簿価額の合計で価格を決めてよいですか? A. 決められません。帳簿価額は税務上の耐用年数に沿った償却の結果で、売ったときの手取りや買収後の稼働を示す数字ではありません。重機は1台ずつ、自社所有・割賦・リース・レンタルに分け、処分可能価額から紐づく残債を引いた額で見ます。

Q2. 中古重機の価格や評価率は、どこで調べればよいですか? A. 本記事では、中古重機の目安価格や評価率を示しません。確認した公的資料に、中古重機の評価率を定めたものはありませんでした。国土交通省の建設機械等損料は、公共工事の積算に使う機械経費の目安で、売買価格の表ではありません。処分可能価額は、機械ごとに専門業者の書面見積りで確認し、判断は税理士や公認会計士などの専門家と詰めてください。

Q3. 決算書にリース債務が載っていません。リースはないと考えてよいですか? A. 考えられません。中小企業の会計に関する基本要領と指針は、リース取引の借手に賃貸借取引に係る方法を認めており、その場合は将来のリース料が貸借対照表に載りません。リース契約書の一覧と、個別注記表の未経過リース料を突き合わせて確認します。

Q4. 株式譲渡なら、リース中の重機をそのまま使い続けられますか? A. 中小M&Aガイドライン(第3版)の参考資料によれば、株式譲渡では会社の契約が原則として存続します。ただし、チェンジ・オブ・コントロール条項がある場合は、契約を続けるためにリース会社との事前の協議や交渉が必要になることがあります。契約書の条項を事前に確認してください。

Q5. 事業譲渡で、リース中の重機や借入を引き継ぐにはどうすればよいですか? A. リース契約は、契約上の地位の移転になるため、リース会社の承諾が必要です(民法第539条の2)。借入などの債務は、売り手を免責する免責的債務引受なら債権者の承諾が必要で、承諾がなければ原則として売り手と買い手の連帯債務になります(中小M&Aガイドライン参考資料の契約書サンプルの注)。

Q6. 割賦で買った重機や、担保に入っている重機は、売り手の資産として評価してよいですか? A. そのままは評価できません。割賦は、契約に完済まで売主側が所有権を留保する定めがあることがあります。登記された建設機械は抵当権の目的にでき、抵当権者は他の債権者に先立って弁済を受けられます(建設機械抵当法第5条・第6条)。処分可能価額から紐づく残債を引いた額で見ます。契約と担保の効力は弁護士に確認してください。

出典

  • 国土交通省「建設機械等損料」 https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/sosei_constplan_tk_000025.html
  • 国土交通省「令和8年度 建設機械等損料算定表改定の概要」 https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/content/001984438.pdf
  • 国土交通省「請負工事機械経費積算要領」(昭和49年3月15日) https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/012/74000356/74000356.html
  • 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
  • 国税庁「第三 耐用年数の適用等に関する取扱通達関係 2 耐用年数関係各論」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/081226/07.htm
  • 国税庁「第三 耐用年数の適用等に関する取扱通達関係 1 耐用年数関係総論」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/081226/06.htm
  • 国税庁「第5節 車両及び運搬具」(耐用年数の適用等に関する取扱通達) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/02/02_05.htm
  • 国税庁「No.5702 リース取引についての取扱いの概要(平成20年4月1日以後契約分)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5702.htm
  • 国税庁「No.5704 所有権移転外リース取引」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5704.htm
  • 国税庁「所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合の資産の譲渡等の時期について(経過措置)」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/12/05.htm
  • 中小企業庁「中小企業の会計に関する基本要領」 https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/youryou/about/download/0528KaikeiYouryou-1.pdf
  • 日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会「中小企業の会計に関する指針」 https://www.jcci.or.jp/file/sangyo1/202509/25shusei_shishin.pdf
  • 企業会計基準委員会「企業会計基準第34号 リースに関する会計基準」 https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards_system/details.html?topics_id=157
  • 企業会計基準委員会「企業会計基準第13号 リース取引に関する会計基準」 https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards_system/details.html?topics_id=36
  • 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」 https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/m_and_a_guideline.pdf
  • 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)参考資料(全体)」(参考資料1「中小M&Aの主な手法と特徴」、参考資料7「各種契約書サンプル」の事業譲渡契約書サンプル) https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/m_and_a_guideline_s01.pdf
  • e-Gov法令検索「建設機械抵当法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000097
  • e-Gov法令検索「民法」(第539条の2) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • e-Gov法令検索「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/507AC0000000056
  • 法務省「「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」(譲渡担保法)について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00371.html
  • e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(第167条・第169条・第169条の2) https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
  • 厚生労働省「特定自主検査制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/an-eihou/tokuji.html
  • 厚生労働省告示第320号「車両系建設機械特定自主検査基準」(令和7年12月24日) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74ac0696&dataType=0&pageNo=1

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