Web制作 事業承継 将来性 業界動向

Web制作会社の将来性2026|AIで淘汰される会社と残る会社の分かれ目

更新: 2026年8月4日

「Web制作はAIでなくなるのでは」「この先この商売で食えるのか」——生成AIがコーディングも素材制作も担い始めた2026年、続けるか畳むか迷う制作会社の代表も、これから参入や買収を考えている人も、まず気になるのはこの一点でしょう。本記事は、中小企業のDX需要とIT人材不足という追い風と、「作るだけ」の案件の価格下落圧力・後継者不在・会社の退出増という逆風を、公的統計と業界一次データで束ね、Web制作会社の将来性を「ある/ない」の二択ではなく「Web制作会社は“なくなる”のではなく、『作る会社』と『任される会社』に二極化して残る」と整理します。そのうえで、続けるべきか・磨くべきか・売るべきか・畳むべきかという個社の出口判断まで一気に橋渡しします。相場の算定や廃業との損得比較、契約・ソースコードの引継ぎ実務といった深掘りは、それぞれの専門記事へご案内します。

本記事が扱うのは「Web制作会社という“法人”」の将来性・業界研究です。 運営中のWebサイト・メディア・ECサイトを1個だけ譲渡したい方は、サイト売買とはサイトM&Aとはをご覧ください。対象が違います(会社まるごと ⇔ アセット1個)。

この記事の結論(先に要点だけ)

結論:Web制作会社は「なくなる」のではなく、『作る会社』と『任される会社』に二極化して残ります。

  • AIが削っているのは“作業”であって“売上”ではありません——IPAの調査では、AI導入で効果があったと答えた企業のうち、その効果として「業務が効率化したり迅速化した」を挙げた企業が91.6%に達する一方、「売上や利益が向上した」は3.9%、「顧客満足度が向上した」は4.5%にとどまります[C-S07]。AIは工数(内向き)を削りますが、顧客との関係や売上(外向き)はまだ作っていません。
  • 業界そのものは縮んでいません——情報サービス産業の売上高は、令和8年(2026年)5月分(速報)で前年同月比4.3%増、50か月連続の増加です[C-S10]。生成AIの普及も進行中で、業務で活用している企業は34.5%(業種別最高は『サービス』47.8%)[C-S01]、日本の個人の生成AI利用経験率は58.8%(前年度26.7%)[C-S02b]。
  • なのに「会社」は最も多く市場から退出しています——2025年の市場退出率(倒産+休廃業・解散)は情報通信業4.98%が全産業で最も高く、東京商工リサーチは要因として「ソフトウェア開発やホームページ制作などの『情報サービス業』の退出法人数が特に増加」した点を挙げています[C-H13]。売上は伸びているのに、会社は最も多く消えている——これが二極化の実像です。
  • 人は足りず、後継者もいません——2030年のIT人材の需給ギャップは、需要が高位で伸びる条件の試算で約78.7万人(中位44.9万人/低位16.4万人)[C-07]。情報通信業の後継者不在率は77.06%で産業別最高(東京商工リサーチ調べ・全産業62.60%/帝国データバンクの全業種値は50.1%で集計口径が異なります)[C-06]。
  • だから“出口”があります——Web制作会社には店舗も設備も、そして法定の事業許可もありません。価値の全量が①エンジニア/デザイナー(人)②顧客契約・月額保守契約・受注残 ③ソースコード/Gitリポジトリ/ドメイン等の知的財産に載っています。これらは“束ねてある間だけ”値が付きます。畳めば技術者は各自転職し(会社には1円も入りません)、顧客は他社へ流れ、コードとドメインは死蔵・失効します。同じ資産が、分散すれば全部ゼロ、束ねたまま渡せば値が付く——この非対称が最大の分かれ目です。
  • 次の一手:自社が二極化のどちら側かを点検する/募集中のWeb制作・システムのM&A案件を見る → 各セクションのご案内へ。

※本記事は「Web制作の単価は下がったのか」について断定しません。生成AIの普及により「Web制作の単価が一律に下落した」と示す一次統計は、本稿の調査時点(2026年8月)では確認できていないためです[C-S04]。上振れ要因(DX需要・AI導入支援・人材不足によるM&A需要・M&A市場の拡大)と下振れ要因(作業の価格下落圧力・退出増・後継者不在・属人化)の両方を併記し、「大きく伸びる/先細る」といった断定はしません。なお短期の市況・倒産速報・補助金・AI新製品といった直近トピックは、別途Web制作業界の最新動向2026で扱っており、本記事は中長期の構造的な将来性と意思決定に集約しています。

Web制作会社の二極化マップ:横軸=収益構造(スポット受託⇔月額保守ストック)、縦軸=提供価値(工数を売る⇔責任を任される)。右上=『任される会社』=月額保守/運用のストック・特定業種のドメイン知見・AIを使う側の生産性・チームで回る体制/左下=『作る会社』=スポットの受託制作中心・元請依存・代表がエース・工数を売る

図解F1:収益構造 × 提供価値で見る二極化マップ。自社がどの象限にいるかが、将来性とM&A評価の両方を分けます。


§1 Web制作会社とは — 「許認可ゼロ・設備ゼロ、価値の全量が人・契約・コードに載る」ビジネスモデル

まず、Web制作会社がどういうビジネスなのかを押さえます。建設業の許可も、飲食店の営業許可も、居抜きで売れる設備もない——この「持たなさ」が、後の将来性とM&A価値の伏線になります。

Web制作会社とは、企業や個人事業主から委託を受けてWebサイト・LP・ECサイト等の企画・デザイン・実装・運用保守を担う事業者を指します。建設業許可や飲食店営業許可のような法定の事業許可は原則として不要で、参入障壁が低い一方、価値の大半が人材・顧客契約・知的財産という無形資産に依存します。

なお、本記事が扱うのは「Web制作会社という法人」の将来性です。運営中のWebサイト1個の譲渡(アセットM&A)は対象が別で、手順・相場・アカウント移管・ドメイン移管といった実務はサイト売買とはサイトM&Aとはで扱っています。

業界の売上は縮んでいない — まずこの前提から

「AIで業界が沈む」という語り口はよく見かけますが、一次データはそれと合いません。情報サービス産業の売上高は、令和8年(2026年)5月分(速報)で前年同月比4.3%増となり、50か月連続の増加を記録しています(情報サービス産業協会が総務省統計局「サービス産業動態統計」等をもとに掲載)[C-S10]。4年以上にわたって前年を割っていない、という事実がまずあります。

事業者の規模感も見ておきます。令和6年経済センサス‐基礎調査の確報集計(2025年12月24日公表)によれば、情報通信業(産業大分類)の企業等数は65,603(全産業254万9,827の2.6%)、事業所数は85,992、従業者数は216万9,025人、1事業所当たり従業者数は25.2人、売上高(2023年)は88兆4,550億円(全産業の4.5%)です[C-S06]。

注(母数定義):ここで挙げた数字は産業大分類「情報通信業」(電気通信・放送・映像音声文字情報制作・情報サービス・インターネット附随サービスを含む)の値であり、中分類「情報サービス業」単独の値でも、Web制作会社の社数でもありません。統計を読むときは、(A) 情報サービス業(情報サービス産業協会の調査母体)、(B) 情報通信業(経済センサス・調査会社の産業大分類)、(C) M&A件数の業種区分(レコフM&Aデータベースの「ソフト・情報」)が別物であることに注意が必要です。本記事では、同じ「IT」というラベルで異なる母数の数字を並べないよう、出典ごとに区分名を明記しています。

「Web制作市場◯兆円」という数字は本記事では使いません

ネット上には「Web制作市場は約◯兆円」「国内のWeb制作事業者は約◯万社」といった数字が流通していますが、原典レポートを直接確認できない二次的な合成値が多く、出典として挙げられている調査の対象範囲を確認すると、Web制作会社を含まない母集団であることも珍しくありません。本記事では、原典を直接確認できない市場規模の数値は載せない方針を採ります[C-S03]。数字がないと不便ではありますが、根拠のない規模感で経営判断をするほうが危険です。

収益構造は「フロー」と「ストック」の二層 — ここが将来性の分水嶺

Web制作会社の売上は、大きく二層に分かれます。

  • フロー(受託制作):サイト構築・リニューアル・LP制作など、案件ごとに区切られる売上。工数(人月・人日)が値付けの根拠になりやすい層です。
  • ストック(月額保守・運用契約):更新代行、改善提案、監視、セキュリティ対応、サーバ・ドメイン管理など、継続課金される売上。「責任を引き受けていること」が値付けの根拠になる層です。

この二層のどちらに重心があるかが、本記事の結論を左右します。ストック比率が高いほど、制作工数の縮減の影響を受けにくく、企業価値評価でも上振れしやすい——理由は§2.5と§4で詳述します。

利益率も見ておきます。情報サービス産業協会(JISA)「情報サービス産業 基本統計調査」2025年版(2024年度実績)によれば、売上高営業利益率は平均10.79%/中央値6.79%(加重平均の母数=有効回答286社)です[C-01]。平均と中央値が4ポイント以上離れている点が重要で、一部の高収益企業が平均を押し上げ、分布は下方に厚いことを示します。なお2026年版は本稿の調査時点では未公表で、2025年版が最新です[C-S11]。

注(指標の混同に注意):上の数字は営業利益率であり、粗利率(売上総利益率)ではありません。JISAの基本統計調査に粗利率の項目はなく、「情報サービス業の粗利率は◯%」とこの調査に帰属させることはできません。受託中心か自社プロダクト中心かで粗利の構造は大きく変わるため、一括りにしないことをおすすめします。利益率と年収の深掘り(加重平均と中央値の乖離、1人当たり営業利益、社長年収の推し方)はWeb制作会社の利益率と社長年収で扱っています。

マクロ環境(PEST)の素描

  • 政治・法(P):下請法は2026年1月1日施行の改正で「取適法(中小受託取引適正化法)」へ改称され、規制対象と禁止行為が拡大しました[C-S09]。加えて著作権法(成果物の権利帰属)・個人情報保護法(顧客データの取扱い)が常時効いてきます。一方で、事業を営むための許認可は原則として存在しません。
  • 経済(E):中小企業のDX投資・IT予算が需要の源泉。業界売上は50か月連続増[C-S10]。
  • 社会(S):IT人材不足[C-07]、後継者不在率77.06%(産業別最高)[C-06]、多重下請け構造。
  • 技術(T):生成AI・ノーコードの普及。企業の34.5%が生成AIを業務活用[C-S01]、日本企業の86.4%が何らかの業務で生成AIを利用[C-S02c]。

この4つが、次章の「追い風と逆風」の材料になります。


§2 2026年とその先のWeb制作会社の将来性 — DX需要・人材不足の追い風と、単価下落圧力・後継者不在の逆風

将来性の核心は、需要の量より「どんな会社が残るか」です。ここでは中長期の構造的なドライバーだけを、追い風と逆風に分けて見ます。それぞれの末尾に「→ 個社にとっては」という一行を置き、業界の話を自社の判断に翻訳します。

追い風①:中小企業のDX需要とAI導入支援という新しい受け皿

IPA「DX動向2026」(2026年7月30日発行・有効回答1,799社)によれば、何らかの形でDXに取組んでいる企業は全体で75.7%に達しました。しかし従業員規模別に見ると、1,001人以上では98.7%である一方、100人以下では41.6%にとどまり、企業規模による二極化が続いています[C-S07]。

さらに重要なのは、その理由です。100人以下の企業がDXに取組んでいない理由の最多は「自社がDXに取組むメリットがわからない」で54.0%[C-S07]。「やり方が分からない」ではなく「意味が分からない」層が過半を占めています。

生成AIについても構図は同じです。帝国データバンクの調査(2026年3月・全国2万3,349社対象/有効回答1万312社)では、生成AIを業務で活用している企業は34.5%(「非常に活用している」4.4%+「やや活用している」30.2%)で、業種別最高は『サービス』の47.8%。活用企業の86.7%が「効果あり」と答える一方、課題は「情報の正確性」50.4%、「専門人材・ノウハウ不足」41.3%が上位に並びます[C-S01]。

つまり、「AIやデジタルをどう業務に入れればいいか分からない中小企業」が大量に残っている。そしてWeb制作会社は、多くの中小企業にとって既に「ITの相談窓口」として信頼関係を持つ数少ない相手です。

→ 個社にとっては:「作る人」から「相談される人」へ移れるかが分かれ目になります。サイトを作って納品して終わりではなく、AI導入・業務のデジタル化まで含めて相談される立場に回れる会社には、この需要が向かいます。

注(調査の性質):帝国データバンクの調査の業種区分は『サービス』であり、情報サービス業の単独値ではありません。「サービス業47.8%」をWeb制作会社の数値として読み替えないようご注意ください。

追い風②:IT人材不足=「会社ごと買う」需要の構造化

経済産業省の委託調査(2019年公表)の試算では、2030年時点のIT人材の需給ギャップは、IT需要の伸びが「高位」の条件で約78.7万人、「中位」で約44.9万人、「低位」で約16.4万人とされています[C-07]。よく引用される「2030年に最大約79万人不足」は、このうち高位シナリオの数値です。生成AIの普及前に置かれた前提に基づく試算であり、AIによる生産性向上が織り込まれていない点は割り引いて読む必要があります。

ただし、人材の逼迫は足元のデータでも続いています。IPAの調査では、DXを推進する人材の「質」が「やや不足している」+「大幅に不足している」の合計は88.8%(前年度86.1%)と、むしろ悪化しています[C-S07]。

採用市場で技術者を1人ずつ集めるより、チームごと・会社ごと買うほうが早い——この買い手の合理は、当面続くと見るのが自然です。参考までに、当社が運営する案件掲載面(/malist)に掲載中のIT/Web系の売り案件は92件で、飲食系25件の約3.7倍、建設系13件の約7倍にあたります(当社調べ・2026年8月3日にWP RESTで実計数)[C-08]。

注(自社データの限界と数え方):この92件は掲載中の売り案件(重複を除いた実数)であって成約件数ではなく、掲載上の希望額は成約額ではありません。買い手側の「買いニーズ」掲載(IT/Web系25件)は別集計で、上の件数には含めていません。また内訳は「Webサイト・ECサイト・システム等のアセット譲渡」が大半で、Web制作会社(法人)の株式譲渡の件数ではありません。IT・Web領域の売買が活発であることの傍証としてのみ扱い、法人M&Aの需要の根拠には[C-04]・[C-07]を用いています。

→ 個社にとっては:技術者が定着しているうちが、最も高く評価されるタイミングです。人が抜けてから売ろうとしても、買い手が評価する対象そのものが失われています。

追い風③:M&A市場そのものの拡大

2025年(暦年)の日本企業のM&Aは5,115件(前年比+8.8%)で、初めて5,000件を超え、2年連続で過去最多を更新しました(レコフデータ/MARR集計)[C-04]。

IT領域に絞った公表値としては、日本M&AセンターがレコフM&Aデータベースをもとに集計した「IT・情報サービス業」の件数が、2024年に377件(前年342件/経営権の移転を伴うものに限る)とされています[C-04]。

注(集計方法の限界と業種区分):この377件は、買い手が開示義務を負う上場企業等の公表ベースの集計であり、非上場同士の取引は多くが含まれません(出典自身も、非上場同士を含めればITだけでより多くなると推測しています)。また業種区分は「マール40分類」の「ソフト・情報」に基づく「IT・情報サービス業」であり、[C-05]・[C-06]で用いる「情報通信業」(調査会社・総務省の産業大分類)とは母数の定義が違います。同じラベルで並べて比較できる数字ではありません。

→ 個社にとっては:「買い手がいるのか」という不安に対しては、出口の選択肢が実在する、という答えになります。ただし「自社に値が付くか」は別の問題で、その答えは§4にあります。

逆風①:「作るだけ」の案件にかかる価格下落圧力

生成AIとノーコードの普及で、定型的な実装・素材制作の工数が縮んでいることは、現場感覚としても、AI導入で効果があったと答えた企業の91.6%が「業務が効率化したり迅速化した」を挙げている事実[C-S07]からも整合します。工数が減れば、工数を根拠に値付けしていた売上は圧力を受けます。

ただし、「生成AIによりWeb制作の単価が一律に下落した」と示す一次統計は、本稿の調査時点では確認できていません[C-S04]。制作会社の自社ブログは「低価格化が進む」と書き、フリーランス対象の調査は「単価は上がった」と答える——主張が真逆で併存している領域です。この争点は本記事の核なので、次章(§2.5)で出典の性質ごと開示して正面から扱います。

→ 個社にとっては:問いは「業界の単価は下がるのか」ではなく、「自社の売上のうち、何%が“工数を売っている”売上か」に置き換わります。

逆風②:会社の退出が全産業で最も多い

ここが最も重い事実です。東京商工リサーチの集計によれば、2025年に倒産・休廃業解散で市場退出した普通法人は6万5,858社(前年比+6.8%)で、産業別の市場退出率は情報通信業の4.98%が最も高く(卸売業3.06%・製造業2.61%)、退出法人指数も情報通信業の243.6が最大(前年から27.2ポイント上昇)でした。同社は要因として、「ソフトウェア開発やホームページ制作などの『情報サービス業』の退出法人数が特に増加」した点を挙げています[C-H13]。

倒産だけを見ても、情報通信業の倒産は2025年(暦年)438件(前年比+3.0%・4年連続増)、2024年(暦年)425件(11年ぶりの400件超)、2025年度は432件(前年度比▲6.0%)です[C-05]。集計期間が暦年か年度かで件数が変わるため、両方を併記しています。

そして「潰れた」より多いのが「自分で畳んだ」ほうです。2025年の休廃業・解散は全産業で6万7,210件(前年比+7.2%)と3年連続の過去最多となり、産業別の増加率トップは情報通信業の+15.2%(4,189件)でした[C-H12]。

業界の売上は50か月連続で増えているのに[C-S10]、会社は全産業で最も多く市場から消えている[C-H13]。この矛盾こそが、二極化という言葉の中身です。

→ 個社にとっては:「業界が伸びているから大丈夫」は成り立ちません。伸びているのは業界の売上であって、自社の売上ではありません。

逆風③:後継者不在と属人化、そして多重下請け

情報通信業の後継者不在率は77.06%(2025年・前年77.32%)で、産業別で最も高い水準です。同じ調査の全産業は62.60%[C-06]。

注(集計源の併記):77.06%は東京商工リサーチの調査による数値です。帝国データバンクの同種調査では全業種の不在率は50.1%とされますが、情報サービス業の単独値は公開されていません。調査会社・母集団・定義が異なるため、77%台を「業界の確定値」として断定はできません。集計源を併記したうえで、「他産業より高い水準にある」という方向性として読むのが適切です。

不在率の高さの背景には、属人化があります。代表がエースエンジニアであるほど、本人が抜けた瞬間に事業が止まる。これは廃業リスクであると同時に、M&Aの場面では「キーマン条項・リテンション設計」の対象になります(§4で扱います)。

商流の面では、多重下請けの問題があります。中小企業庁「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査結果」では、発注者が「情報サービス・ソフトウェア」業である取引のコスト増転嫁率は56.7%(前回50.9%)で32業種中9位、価格交渉の実施状況は6位でした[C-S08]。全体(54.2%)より上で改善幅も大きい一方、裏を返せば「4割強は転嫁できていない」水準でもあります。

注(読み替え厳禁):この56.7%は「発注企業の業種ごと」の集計であり、「情報サービス・ソフトウェア企業が発注者となる取引で、受注した中小企業がどれだけコスト増を転嫁できたか」を示します。「Web制作の単価が56.7%上がった」「情報サービス業の売上単価が上がった」といった読み替えは誤りです。 本記事では、下請けに入るWeb制作会社の側の文脈でのみ用いています。

→ 個社にとっては:「あと10年やって畳む」が、最も価値を毀損する選択になりうる、ということです。後継者不在と属人化は、時間が経つほど選択肢を狭めます。

だから「二極化」する

以上を5フォースで簡単に整理すると、Web制作業界は次のような競争環境にあります。

| 力 | 評価 | 内容 | |—|—|—| | 代替の脅威 | 最大 | 生成AI・ノーコード・制作SaaSが「作る」工程を代替。ただし代替するのは工程であって事業ではない(§2.5) | | 新規参入の脅威 | 極めて高い | 法定の事業許可がなく、設備投資もほぼ不要。価格競争が恒常化する | | 買い手(発注企業)の交渉力 | 強い | 相見積りが容易。加えて発注企業の内製化という選択肢もある | | 供給業者(人材)の交渉力 | 強い | IT人材不足[C-07]・人材の質の不足88.8%[C-S07]で人件費は上昇圧 | | 業界内の競争 | 激烈 | 事業者数が多く、差別化しにくい層ほど価格勝負になる |

この環境で残るのは、代替の脅威と価格競争から距離を取れる会社です。すなわち——

  • 『作る会社』:工数を売る/スポットの受託制作が中心/元請依存/代表がエース/フロー収益
  • 『任される会社』:月額保守・運用のストック/特定業種のドメイン知見/AIを使う側の生産性/チームで回る体制

この2つに分かれていく、というのが本記事の中核命題です。


§2.5 「Web制作はAIでなくなる」は本当か — 一次情報で検証する

「AIでなくなる」は、この業界で最も検索され、最も雑に語られている問いです。本章では出典の格付けごと開示して両論を並べます。結論を先に言えば、AIが代替しているのは工程であって事業ではない。ただし「実装と素材制作だけを売っている会社」は代替されます。

まず事実:生成AIは普及局面に入っている

  • 令和8年版情報通信白書(2026年7月24日公表)によれば、日本の個人の生成AIサービス利用経験率は58.8%(2025年度調査)で、前年度調査の26.7%から大きく上昇しました。サービス種類別では、テキスト生成AI 55.0%、画像・動画16.3%、プログラムコード生成AI 7.0%です[C-S02b]。なお2025年度調査から新たに15〜19歳が調査対象に加わっており、前年度までと同じ20歳以上に限った利用率は52.2%です(白書の注記)。前年度との比較は、この対象年齢の変更を割り引いて読む必要があります。
  • 企業側では、日本企業で「生成AIを一つ以上の業務で利用している」割合は86.4%(2024年度調査55.2%)。活用方針で「積極的に活用する」+「領域を限定して利用する」の合計は68.9%(前年度49.7%)で、企業規模別では大企業74.0%・中小企業58.1%。一方「組織的な取組はない」は27.0%で、米国・ドイツ・中国に比べて顕著に高く、中小企業で特に高い傾向です[C-S02c]。
  • 帝国データバンクの調査では、業務で活用している企業は34.5%[C-S01]。

注(母集団の偏り):白書の企業向け調査は「従業員10名以上、かつ2025年までにデジタル化の取組を開始した企業に勤める管理職以上」を対象としています(日本 n=515)。デジタル化に着手済みの企業に偏った母集団であるため、「日本企業の86.4%が生成AIを業務利用」を全企業に一般化はできません。帝国データバンクの調査(有効回答1万312社)で34.5%という値と並べると、調査設計の違いによる幅が見えます。

なお、令和8年版情報通信白書の特集テーマは「AIの進展がもたらす多面的影響〜人間とAIが健全に協働するデジタル社会の実現に向けて〜」です[C-S02a]。国の白書が特集を丸ごとAIに充てる局面にある、という事実自体が、この変化の位相を示しています。

★核心:AIは「工数」を削るが、「売上」はまだ作っていない

本記事で最も重要な一次データがこれです。IPA「DX動向2026」で、AI導入による効果を尋ねた結果は次のとおりでした[C-S07]。

| AI導入の効果 | 回答率 | |—|—:| | 業務が効率化したり迅速化した | 91.6% | | 企画提案等の品質や速さが向上した | 48.9% | | 残業時間の削減につながった | 29.2% | | 顧客満足度が向上した | 4.5% | | 売上や利益が向上した | 3.9% |

IPAはこの結果について、「外向きの成果創出に至っている企業は少ない状況にある」と記述しています[C-S07]。

注(この設問の母集団):この回答率は、AI導入の効果を「期待以上の効果があった」「期待どおりの効果であった」「一定の効果はあった」と答えた企業が対象です(AIを導入した全企業を母数とした割合ではありません)。つまり「AIで効果が出た」と自認している企業に限っても、その効果は内向きに偏っている、という読み方になります。

この非対称は、Web制作会社の将来性を考えるうえで決定的です。AIが確かに置き換えているのは「作業=内向きの工数」であり、「顧客との関係・提案・責任=外向きの価値」はまだ置き換えていません。 そして、Web制作会社の売上のうち、前者に依存している部分だけが圧縮されます。

補足として、Web制作側は既に「AIを使う側」に回りつつあります。IPAの調査では、生成AIを「導入している」企業は2024年度22.6%→2025年度44.0%へ急伸しました。また、生成AIを含むAI全体では「導入している」42.3%+「現在、試験利用をしている」15.7%=58.0%が導入・試験利用しており、業種別に見ると情報通信業の「導入している」割合が約7割と突出しています。用途別でも「プログラムコードやシステム開発支援」は情報通信業76.3%で他業種を大きく上回りました[C-S07]。AIに置き換えられる側であると同時に、最も早くAIを使いこなしている側でもある、というのが実態です。

注(別系列の数字です):「44.0%」は生成AIの導入率、「約7割」は生成AIを含むAI全体の「導入している」の情報通信業の値です。母数と対象が違うため、「情報通信業の生成AI導入率が7割」と読み替えることはできません。

争点:「制作単価は下がったのか」— 一次統計は確認できていない

ここが本記事の差別化の核です。結論から言えば、「生成AIによりWeb制作の単価が一律に下落した」と示す一次統計は、本稿の調査時点(2026年8月)では確認できていません[C-S04]。

調査の総当たりの範囲と結果は次のとおりです。

| 当たった統計 | 結果 | |—|—| | JISA「情報サービス産業 基本統計調査」 | 売上・営業利益率・給与等は表章。単価の項目なし(粗利率の項目もなし) | | 経産省「特定サービス産業動態統計調査」 | 2024年12月調査をもって終了(総務省「サービス産業動態統計」へ統合) | | 総務省統計局「サービス産業動態統計調査」 | 売上高・事業従事者数の月次。単価系列なし | | 経済センサス | 事業所数・従業者数・売上高。単価系列なし | | 中小企業庁「価格交渉促進月間 フォローアップ調査」 | 転嫁率であって単価ではない。しかも発注企業の業種ごとの集計 | | 民間の「Web制作費用相場」記事 | 制作会社の自社受注データ集計・発注者の経験則・求人メディアの目安。業界代表性のある継続系列は確認できず |

そのうえで、実際に流通している両論を、出典の性質ごと並べます。

A. 「上がった」側の材料:フリーランス・副業のWEBデザイナー110名を対象に、事業会社がPR配信した調査があります。設問は「2024年と比べて、2025年のデザイン案件の単価感はどのように変化しましたか。」で、回答は「上がった」62.7%・「変わらない」37.3%・「下がった」0.0%。同じ調査では、2025年の案件受託量が「増加」74.5%、AI活用により「修正回数が減った」63.2%という結果も出ています[C-S05]。

注(この調査の限界):n=110、フリーランス・副業のWEBデザイナー限定、調査主体は事業会社(PR配信)で、設問は「デザイン案件の単価感」です。Web制作会社の受注単価の統計ではなく、生成AIの影響を測定した調査でもありません。 また「下がった 0.0%」という結果は、母集団の偏り(AIを使いこなして案件を取れている層が回答している可能性)を示唆する材料としても読めます。

B. 「下がった」側の材料:制作会社の自社ブログや業界メディアでは、AI・ノーコードによる低価格化の指摘が多く見られます。ただしこれらは営業目的のポジショントークを含みうる自社メディアであり、業界を代表する統計ではありません。

つまり、この論点は「一次統計で決着していない」というのが正確な現状です。 本記事が「単価は下がる」とも「上がる」とも断定しないのはそのためです。代わりに、読者自身の工程構成に当てはめる材料を出します。

第3の材料:単価は「市場」だけでなく「制度」でも動き始めている

見落とされがちですが、2026年には制度側の変化がありました。下請法は2026年1月1日施行の改正で、正式名称が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」となり、新通称は「取適法(中小受託取引適正化法)」になりました。用語も「親事業者/下請事業者」→「委託事業者/中小受託事業者」に変わっています[C-S09]。

Web制作会社にとって関係が深い変更点は次の3つです(以下、本記事では「取適法」に統一します)。

1. 適用基準に従業員基準(300人・100人)が追加され、従来の資本金基準では対象外だった取引も規制・保護の対象に含まれるようになりました。 2. 「協議に応じない一方的な代金決定」が禁止行為として追加されました。価格協議の求めに応じない、必要な説明を行わない、といった一方的な代金決定が明確に禁じられます。 3. Web制作の受託は「情報成果物作成委託」として対象取引です(プログラム作成を含む役務提供委託も対象)。

先述の価格転嫁調査で、「情報サービス・ソフトウェア」を発注者とする取引の転嫁率が56.7%(前回50.9%)と改善している[C-S08]ことと合わせると、単価の議論は「AIに奪われた」という嘆きだけでなく、「制度で交渉できる余地が広がった」という側面も持ちます。もっとも、個別の取引が取適法の適用対象かどうか、特定の行為が違反にあたるかどうかの判断は本記事では行いません。契約・法令の個別判断は弁護士へご相談ください。契約とソースコード帰属の引継ぎ実務は、Web制作会社のM&Aで著作権とソースコードは引き継げる?契約とIPの実務で扱っています。

分解:AIに代替されやすい工程/されにくい工程

Web制作のAI代替マップ:代替されやすい工程=定型コーディング/レスポンシブ実装/バナー・画像量産/定型ライティング/テンプレート適用 ⇔ 代替されにくい工程=要件定義とヒアリング/業種の商習慣を踏まえた設計/関係者の合意形成/運用保守で責任を引き受けること/セキュリティ・法務のリスク引受け。※「Web制作の単価が一律下落した」と示す一次統計は本稿調査時点では確認できていない

図解F2:工程別のAI代替マップ。AI導入効果は「業務効率化91.6%」に対し「売上向上3.9%」[C-S07]——削られるのは左側(作業)で、右側(責任)ではありません。

代替されやすい工程

  • 定型的なコーディング・レスポンシブ実装
  • 画像レタッチ・バナーの量産
  • 定型ライティング、テンプレート適用
  • 既存デザインのバリエーション展開

代替されにくい工程

  • 要件定義とヒアリング(顧客の業務を理解して「作らない」判断をすることを含む)
  • 特定業種の商習慣に踏み込んだ設計
  • 関係者の合意形成、意思決定の代行
  • 運用保守における責任の引受け(障害時に誰かが電話に出て直す)
  • セキュリティ・法務・個人情報のリスク引受け

「AIでなくなるか」は業界への問いではなく、「自社の売上のうち何%が“されやすい工程”か」という自社への問いに置き換わります。 これが本記事で最も持ち帰っていただきたい変換です。

だから「なくなる」のではなく「作業から責任へ」値付けの根拠が移る

AIは「作る」のコストを下げますが、「任される」のコストは下げません。障害が起きたときに責任を引き受ける、業務を理解して判断する、関係者をまとめる——これらは工数ではなく、引受けに対する対価です。

そして月額保守・運用契約とは、まさに「責任を引き受けている」ことの契約化です。だからこそ、この収益はAIでは置き換わりにくく、企業価値評価でも上振れしやすい。相場の算定における位置づけはWeb制作会社の売却相場2026で詳述しています。


§3 Web制作会社が生き残る戦略 — 「作る会社」から「任される会社」へ

将来性が「二極化」なら、問いは「Web制作業界に先があるか」ではなく「自社が任される側に立てるか」に変わります。ここでは、その条件と、立てない場合の選択肢を整理します。

『任される会社』の条件 — 自走で「磨く」

1. 月額保守・運用契約のストック比率を上げる。作り切りのスポットから、更新・改善・監視・セキュリティ対応の継続契約へ。口約束の月額を書面化・長期化することも含みます。 2. 特定業種のドメイン知見を持つ。医療・士業・製造・EC・自治体など、業務を分かっている会社は相見積りに晒されにくくなります。DXに取組まない中小企業の最多理由が「メリットがわからない」54.0%[C-S07]である以上、業務を理解して「メリットを翻訳できる」ことが値段になります。 3. AIを使う側に回る。情報通信業のAI導入は約7割、コード生成・システム開発支援用途は76.3%[C-S07]。既に多くが使っています。分かれ目は「削減した工数を値下げに回すか、提案と改善に回すか」です。 4. 代表依存を解く。二番手の育成、業務の可視化、権限委譲。これは事業継続のためでもあり、M&A評価のためでもあります。 5. 元請直取引の比率を上げる。多重下請けから抜けるほど、取引条件と利益率の自由度が上がります。

SWOTで「買われる強み」を棚卸しする

続けるにせよ売るにせよ、棚卸しの項目は同じです。以下は、そのまま§4のM&A評価の加点項目になります。

  • 強み(S):月額保守契約の本数と継続年数/特定業種の顧客ポートフォリオ/技術者の人数・年齢・定着年数/ソースコードとドメインが法人帰属であること/元請直取引比率/黒字継続/代表非依存
  • 弱み(W):代表がエースで抜けられない/スポット比率が高い/元請1社への依存/権利帰属が曖昧/有資格者ならぬ「有経験者」が1人しかいない
  • 機会(O):中小企業のDX・AI導入支援需要[C-S07]/人材不足による買収需要[C-07]/M&A市場の拡大[C-04]
  • 脅威(T):AI・ノーコードによる作業の代替/発注企業の内製化/オフショア・制作SaaS/技術者の流出

4つの選択肢 — 続ける/磨く/売る/畳む

Web制作会社の「続ける/磨く/売る/畳む」4択意思決定フレーム:続ける(『任される会社』条件を満たす)/磨く(保守ストック・ドメイン知見・IPハイジーンで数年後に高く売る)/売る(人・顧客契約・コードが束ねてあるうちに会社ごと)/畳む(人は各自転職・顧客は他社へ・コードとドメインは死蔵/失効=束が解けて全部ゼロ)。詳細は相場・廃業vs売却・知財契約承継・利益率・事例・参入・動向の各記事へ

図解F3:4択の意思決定フレーム。④だけが「価値がどこにも移らない」選択である点が、この業種の特徴です。

1. 続ける:上の『任される会社』の条件を満たしている(または近い)なら、続ける価値があります。業界売上は50か月連続増[C-S10]、需要側の未着手層も厚い[C-S07]。 2. 磨く:条件のうち欠けているもの(保守契約の書面化、代表依存の解消、権利帰属の整理)を数年かけて埋め、そのうえで高く売る。M&A評価の観点では、この3点が最も費用対効果の高い磨き込みです(§4)。 3. 今、譲る:磨く時間や体力がないなら、人・顧客契約・コードが束ねてあるうちに会社ごと譲る。相場の考え方はWeb制作会社の売却相場2026へ。 4. 畳む:最後の手段です。技術者は各自転職し(本人の給与は続きますが、会社には1円も入りません)、顧客は他社へ流れ、コードとドメインは死蔵・失効します。束が解ければ、価値はどこにも移らずゼロになります。

情報通信業の休廃業・解散が前年比+15.2%(4,189件)で産業別の増加率トップ[C-H12]、市場退出率も4.98%で全産業最高[C-H13]——という事実は、④が既に大量に選ばれていることを意味します。Web制作会社は店舗も設備も在庫もなく、「畳むコストが小さい業種」です。だからこそ、安易に畳まれて価値が捨てられている、というのが本記事の問題意識です。廃業と売却の手取り比較の詳細は、Web制作会社は廃業と売却どっちが得?人・顧客・ソースコードの手取り比較で扱っています。

買い手・参入検討者の視点

裏返すと、買い手にとっては次の判断になります。ゼロから採用・開業して2〜3年かけてチームと顧客を作るか、技術者・顧客契約・保守ストック・ソースコードごと会社を買って時間を買うか。人材の質の不足が88.8%[C-S07]、2030年の需給ギャップが高位で約78.7万人[C-07]という環境では、後者の合理は当面失われにくいと考えられます。後継者のいない会社を買うという選択肢の全体像は、後継者のいない会社を買うとはもご参照ください。


§3.5 Web制作業界の現状と課題 — 倒産・休廃業・市場退出は「別の数字」

前章までに出てきた「会社が消えている」という話は、実は3つの別の統計を含みます。混同されがちなので、定義を分けて並べます。

①倒産(法的整理・事業停止)

情報通信業の倒産は、2025年(暦年)438件(前年比+3.0%・4年連続増)、2024年(暦年)425件(11年ぶりの400件超)、2025年度は432件(前年度比▲6.0%)です[C-05]。暦年と年度では集計期間が違うため、件数を単純比較できません(両方を併記しています)。

②休廃業・解散(倒産以外で事業活動を停止)

2025年の休廃業・解散は全産業で6万7,210件(前年比+7.2%)と3年連続の過去最多。産業別の増加率トップは情報通信業の+15.2%(4,189件)でした[C-H12]。倒産(438件)の約10倍の規模で、「潰れた」のではなく「自分で畳んだ」会社があるということです。

③市場退出(①+②)

2025年に市場退出した普通法人は6万5,858社(前年比+6.8%)。市場退出率は情報通信業4.98%が全産業で最も高く、退出法人指数も243.6が最大(前年から27.2ポイント上昇)。東京商工リサーチは「ソフトウェア開発やホームページ制作などの『情報サービス業』の退出法人数が特に増加」したと記述しています[C-H13]。

:①②③は定義が異なる別々の統計です。足し合わせたり、他業種の異なる定義の数字と並べたりすることはできません。また①は暦年・年度で数字が変わります。

後継者不在と属人化

情報通信業の後継者不在率は77.06%(2025年・産業別最高/全産業62.60%・東京商工リサーチ調べ)[C-06]。帝国データバンクの全業種値50.1%とは調査母集団も定義も異なり、同社は情報サービス業の単独値を公開していないため、77%台を業界の確定値として断定はできません。それでも、他産業より明確に高い水準にあるという方向性は複数の集計で一致しています。

背景は属人化です。代表がエースエンジニアで、顧客も技術も本人に紐付いている。子どもや社員に継がせるにも「同じことができる人」が要る——この構造が、承継のハードルを上げています。事業承継の一般的な進め方は事業承継の3つの方法と進め方で解説しています。

それでも「畳む」以外の出口は広がっている

一方で、第三者承継の受け皿は広がっています。2025年の日本企業のM&Aは5,115件で2年連続の過去最多[C-04]。「潰れる/畳む」の2択ではなく、「譲る」が現実的な3つ目の選択肢になっている——これが、次章のM&A視点につながります。


§4 【M&A・投資視点】将来性から見たWeb制作会社の売り時・買い時

ここからは、将来性の話を「いまが売り時か・買い時か」という実務に接続します。本章は俯瞰にとどめ、算定式・手取り・法務実務の詳細は各記事へご案内します。

Web制作会社には、承継できる許可も、居抜きで売れる設備もありません。 価値の全量が、人(技術者)・顧客契約・ソースコードという「束ねてある間だけ値が付く無形資産」に載っています。だから廃業とは、この束を解く行為です——技術者は各自転職し(本人の給与は続きますが会社には1円も入りません)、顧客は他社へ流れ、コードとドメインは死蔵・失効します。同じ資産が、分散すれば全部ゼロ、束ねたまま渡せば値が付く。 そしてWeb制作会社は「畳むコストが小さい業種」であるがゆえに、安易に畳まれてしまう——ここが最大の落とし穴です。

相場の見方(要約)

中小企業のM&Aでは、実務上おおむね次の2つで「目安」を置きます。

  • 年買法:時価純資産+営業権(実質利益の数年分)
  • EBITDA倍率:中小案件では3〜5倍が語られることが多い水準

いずれも仲介実務の目安であって公的統計ではなく、成約額を保証するものでもありません。Web制作会社の場合、月額保守(リカーリング)の比率が高いほど倍率が上振れしやすいという傾向があります。算定式の分解と査定変数の詳細はWeb制作会社の売却相場2026|年買法と保守ストックでいくらになるかをご覧ください。実際に誰が・なぜ買っているのか(公表事例の買い手5タイプと、技術者を残して売れた条件)はWeb制作会社の売却・第三者承継 事例傾向2026で整理しています。会社売却の一般的な流れ・期間は会社売却の流れ・期間・価格で解説しています。

買い手のチェックポイント3つ(3Cの「顧客」「競合」)

1. 人(技術者) — 人数・年齢構成・定着年数、代表への依存度、そして買収後の残留見込み。IT・Webには設備も許可もないため、退職届1枚で価値が抜け、しかも競合になりうる。これは他業種にはない存在論的なリスクです。キーマン条項・リテンション設計・アーンアウトの検討対象になります。 2. 契約 — 月額保守・運用契約の本数と継続年数、受注残、そしてチェンジオブコントロール条項(支配権移転時の解除権)・再委託制限の有無。元請直取引比率も見ます。契約が口約束のままだと、買い手は評価できません。 3. 知的財産とコンプライアンス — ソースコードとGitリポジトリが法人のOrganizationに帰属しているか、ドメインのWhois登録者は法人か、クラウドのルートアカウントが個人のGmailに紐づいていないか(IPハイジーン)[C-H09]。加えて取適法の3条書面・支払サイト運用[C-S09]、顧客データの取扱い。

売り手の準備ポイント3つ(3Cの「自社」)

1. 代表依存の解消 — 業務の可視化、権限委譲、二番手の育成。「自分が抜けても回る」状態は、そのまま評価額に反映されます。 2. 保守契約の書面化・長期化 — 口約束の月額を契約書に。自動更新・年額化はストックの確度を上げます。 3. IPハイジーンの整備 — 個人のGitHub・個人Gmail・個人名義ドメインを法人へ移管し、成果物の著作権の帰属を契約書で確認する。「実は会社の資産ではなかった」は、畳むなら露見しませんが、売るならデューデリジェンスで表に出ます。

スキーム選択の勘所(IT固有)

Web制作会社のM&Aで株式譲渡が選ばれやすいのには、法務的な背景があります。

  • 株式譲渡:法人格が変わらないため、プログラムの著作財産権も、顧客契約も、雇用契約もそのまま会社に残ります。
  • 事業譲渡:資産・契約を個別に移転する必要があります。成果物の著作権は個別に譲渡する扱いになり(著作権法61条1項)、第三者に再委託したコードは譲渡特約がない限りベンダ側に残りうる[C-H06]。また労働契約の移転には労働者の個別同意が必要です(民法625条1項)[C-H08]。

なお、プログラムの著作物の職務著作は著作権法15条2項が定めており、15条1項の「法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの」という要件はプログラムには課されません(1項は「プログラムの著作物を除く。」と明記しています)[C-H06]。ここは条番号の取り違えが多い箇所です。個別の権利帰属・契約条項の判断は弁護士へご相談ください。ソースコード帰属・契約承継の実務は、Web制作会社のM&Aで著作権とソースコードは引き継げる?契約とIPの実務で詳述しています。

税の入口だけ

  • 株式譲渡:個人株主が受け取る対価は株式譲渡所得として申告分離課税の対象になります。
  • 事業譲渡:法人に譲渡損益が生じ、法人税の課税対象になります。

いずれも一般的な制度の説明にとどめます。個別の税額計算・課税関係は税理士へご相談ください。 廃業(解散・清算)とのコスト比較は、Web制作会社は廃業と売却どっちが得?で扱っています。

3Cで見る — 買い手・競合・自社

  • 買い手(Customer):DXを加速したい事業会社/技術者を一括獲得したい同業・SIer/制作→運用→マーケの垂直統合を狙う広告代理店/EC支援・業種特化SaaS/独立志望のエンジニア。
  • 競合(Competitor):同業・オフショア・制作SaaS・ノーコード、そして発注企業の内製化。売り手として見れば「買い手が自前でやる」も競合です。
  • 自社(Company):売れる強みの言語化。保守ストック比率、特定業種のドメイン知見、技術者の定着、IPのクリーンさ——この4点が言語化できているかどうかで、同じ会社でも評価は変わります。

編集部より:分岐は技術ではなく「受注構造」にある

「AIで単価が落ちた」という制作会社と、「むしろ粗利が上がった」という制作会社の両方に会います。分岐しているのは技術力ではなく受注構造です。売上の大半がスポットの受託制作——つまり“工数を売っている”会社は、工数が減れば値段も減ります。一方、月額の保守・運用契約でクライアントの事業に張り付いている会社は、AIで実装が速くなった分がそのまま粗利になります。M&Aの現場でも同じで、査定を動かすのは制作実績の華やかさではなく、月額保守が売上の何割か・その契約が書面になっているか・技術者が何年定着しているかです。そして最も見落とされるのが、廃業を選んだ瞬間にこれら全部が消えること。技術者は各自転職し(本人の給与は続きますが会社には1円も入りません)、顧客は他社へ流れ、コードとドメインは死蔵・失効します。Web制作会社は畳むコストが小さい業種だからこそ、安易に畳まれて価値が捨てられている——これが現場での実感です。(※本コラムは当社のIT・Web領域におけるM&A実務での一般的な所感であり、特定の事例を示すものではありません)

なお当社は、「会社ごと畳む」「会社ごと売る」「自社サイト・メディアだけ切り出して売る」の3択を同じ媒体で扱っています(会社のM&Aは本記事群、Webサイト・EC・SNS等のアセット譲渡はサイト売買とは、案件探索は/malist)[C-PROP-01]。出口の設計は、この3つを並べて比べたほうが後悔が少なくなります。

あなたのWeb制作会社は二極化のどちら側か(10項目チェック)

売り手の磨き込みにも、買い手のデューデリジェンスにも、そのまま使えるチェックリストです。

  • □ 売上に占める月額保守・運用契約(ストック)の比率が3割以上ある
  • □ その保守契約が書面になっている(口約束ではない)
  • □ 特定業種のドメイン知見がある(相見積りに晒されにくい)
  • 元請直取引の比率が高い(多重下請けではない)
  • □ 生成AIを使う側に回っており、削減した工数を値下げではなく提案に回している
  • 代表が現場を抜けても回る(二番手がいる・業務が可視化されている)
  • □ 技術者が2年以上定着している
  • ソースコード・Gitリポジトリが法人のOrganizationに帰属している
  • ドメインのWhois登録者・クラウドのルートアカウントが法人名義である
  • □ 成果物の著作権の帰属が契約書で確認できる

チェックが多いほど『任される会社』側=続ける/磨く価値があり、かつ高く評価されます。少ないほど、早めに譲る判断のほうが手取りで有利になりやすい、というのが実務上の目安です。

▶ 二極化のいま、次の一手を

売り手の方へ:技術者・顧客契約・ソースコードが束ねてあるうちが、最も条件が整いやすいタイミングです。自社の概算評価と出口の選択肢を、無料でご相談いただけます。 → 自社の概算評価と出口の選択肢を相談する 買い手・参入検討の方へ:人材不足が構造化している“いま”は、採用よりも会社ごと取り込むほうが早い局面です。 → 募集中のWeb制作・デザイン・システムのM&A案件を見る


§5 よくある質問(FAQ)

Q1. Web制作会社の将来性はありますか?2026年以降どうなりますか? A. 「なくなる」のではなく「『作る会社』と『任される会社』に二極化して残る」というのが本記事の結論です。情報サービス産業の売上高は50か月連続で増加しており[C-S10]、生成AIをどう業務に入れるか分からない中小企業も大量に残っています(従業員100人以下のDX取組率41.6%・取組まない理由の最多は「メリットがわからない」54.0%)[C-S07]。一方で情報通信業の市場退出率は4.98%と全産業で最も高い[C-H13]。問うべきは「業界に先があるか」ではなく「自社が任される側に立てるか」です。

Q2. Web制作の仕事はAIでなくなりますか? A. 一次データが示すのは「AIは作業を削るが売上はまだ作っていない」という構図です。AI導入で効果があったと答えた企業でも、その効果は「業務が効率化・迅速化した」91.6%に対し、「売上や利益が向上した」は3.9%、「顧客満足度が向上した」は4.5%[C-S07]。代替されやすいのは定型コーディング・実装・バナー量産・テンプレート適用で、代替されにくいのは要件定義・業種の商習慣を踏まえた設計・合意形成・運用保守での責任の引受けです。なお「生成AIによりWeb制作の単価が一律に下落した」と示す一次統計は、本稿の調査時点では確認できていません[C-S04]。断定を避け、両論を併記しています。

Q3. Web制作は「やめとけ」と言われますが、なぜですか? A. 法定の事業許可も設備投資も不要で参入障壁が低いため、価格競争が恒常化しやすいこと、生成AI・ノーコードで「作る」工程の値段が下がる圧力があること、多重下請けで取引条件が不利になりやすいこと(発注者が「情報サービス・ソフトウェア」業である取引のコスト増転嫁率は56.7%=4割強は転嫁できていない)[C-S08]、そして代表への属人化が強いことが主な理由です。ただし、これらはすべて「作るだけの会社」に強く効く要因で、ストックとドメイン知見を持つ会社には効きにくいものです。

Q4. Web制作会社は儲からないのですか?利益率はどのくらいですか? A. 情報サービス業の売上高営業利益率は平均10.79%/中央値6.79%(JISA・2025年版=2024年度実績・有効回答286社)[C-01]。平均と中央値が4ポイント以上離れており、一部の高収益企業が平均を押し上げ、分布は下方に厚い構造です。なおこれは営業利益率であり、粗利率ではありません(同調査に粗利率の項目はありません)。受託中心か自社プロダクト中心かで収益構造は大きく変わります。

Q5. Web制作会社の倒産は増えていますか? A. 情報通信業の倒産は2025年(暦年)438件で4年連続の増加、2024年(暦年)は425件、2025年度は432件です[C-05](暦年と年度は集計期間が違うため併記しています)。ただしより深刻なのは倒産ではなく退出で、2025年の休廃業・解散の増加率トップは情報通信業の+15.2%(4,189件)[C-H12]、市場退出率も情報通信業4.98%が全産業最高でした[C-H13]。「潰れた」より「自分で畳んだ」ほうが桁違いに多いのがこの業界の特徴です。

Q6. 後継者がいないWeb制作会社はどうすべきですか? A. 情報通信業の後継者不在率は77.06%で産業別最高(東京商工リサーチ調べ・全産業62.60%/帝国データバンクの全業種値は50.1%で集計口径が異なります)[C-06]。親族・社員に継ぐ相手がいない場合、現実的な選択肢は「畳む」か「第三者へ譲る」かです。M&A市場は2025年に5,115件と2年連続の過去最多[C-04]で、譲る先は広がっています。一般的な進め方は事業承継の3つの方法と進め方、相場はWeb制作会社の売却相場2026をご覧ください。

Q7. 設備も許認可もないWeb制作会社でも売れますか? A. 売れます。むしろ価値の全量が①人(技術者)②顧客契約・月額保守契約・受注残 ③ソースコード/Git/ドメイン等の知的財産に載っているのがこの業種です。買い手は、採用市場で技術者を1人ずつ集めるより会社ごと取り込むほうが早いと判断します(2030年のIT人材需給ギャップは高位シナリオで約78.7万人[C-07]、DX人材の質の不足は88.8%[C-S07])。ただしこれらは束ねてある間だけ値が付きます。技術者が抜け、保守契約が切れ、権利帰属が曖昧なままだと評価は下がります。評価を上げる準備は§4のチェックリストをご覧ください。


§6 まとめ — 売り手/買い手が次に取るべき一手

Web制作会社は「なくなる」業界ではありません。情報サービス産業の売上高は50か月連続で増加し[C-S10]、DXに未着手の中小企業が大量に残り[C-S07]、IT人材は足りず[C-07]、M&A市場も拡大しています[C-04]。

ただし、AIは実装や素材制作といった“作業”の値段を押し下げる方向に働いており(AI導入で効果があったと答えた企業でも、効果は「業務効率化」91.6%に対し「売上向上」3.9%)[C-S07]、「作るだけの会社」と「任される会社」への二極化が進みます。実際、業界の売上が伸びているにもかかわらず、情報通信業の市場退出率は4.98%と全産業で最も高い[C-H13]。そして「業界全体で単価が下がった」と示す一次統計は、本稿の調査時点では確認できていません[C-S04]——だから問うべきは「Web制作に将来性があるか」ではなく、「自社の売上のうち、何%がAIに代替されやすい工程か」です。

あなたが取るべき一手(二分岐チェックリスト)

  • 売り手(続けるか畳むか売るか迷う経営者):□ 後継者がいない/□ 売上の大半がスポットの受託制作で、月額保守のストックが薄い/□ 自分が現場を抜けたら回らない/□ 技術者はまだ辞めていない——2つ以上当てはまるなら、畳む(=人も顧客もコードも全部ゼロ)前に、束ねたまま譲る選択肢を検討してください。相場の考え方はWeb制作会社の売却相場2026、承継の進め方は事業承継の3つの方法と進め方、会社売却の流れは会社売却の流れ・期間・価格へ。
  • 買い手・参入検討者:□ 技術者を一括で確保したい/□ 特定業種の顧客基盤ごと取りたい/□ ゼロから採用・開業するより時間を買いたい——人材不足が構造化している“いま”が取り込みの局面です。募集中の案件はWeb制作・デザイン・システムのM&A案件、後継者不在企業の買収の考え方は後継者のいない会社を買うとはへ。ゼロから起業する道と会社ごと買う道を初期費用・受注までの期間・リスクで並べた比較はWeb制作会社は起業と買収どっちにまとめています。

技術者・顧客契約・ソースコードは、廃業すれば価値ゼロで散っていく一方、束ねたまま譲れば次の担い手に引き継がれ、対価が残ります。「自社が二極化のどちら側か」を一度点検することが、後悔しない出口選び・投資判断の第一歩です。なお、Webサイト・メディア・ECサイトを1個だけ譲渡したい場合は、サイト売買とはサイトM&Aとはをご覧ください。市場の輪郭・生成AIの普及率・退出と倒産・後継者不在といった“今の事実”を一次統計だけで確認したい方は、Web制作業界の最新動向2026をご覧ください。

▶ 畳む前に、まず自社の立ち位置を知る

「自社は任される側か」「会社ごと売るならいくらになるか」「技術者と顧客契約は引き継げるのか」——出口の選択肢を整理するところから、無料でご相談いただけます。 → 畳む前に自社の概算評価と出口を相談する


免責

本記事はWeb制作会社(情報サービス業)の業界動向・将来性・M&Aに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の将来予測・査定額・成約・節税効果を保証するものではありません。記載した統計・相場・財務指標・税の取り扱いはあくまで目安・レンジ・推計であり、実際の状況は企業の規模・収益構造・人員・市況・制度改正により異なります。生成AIがWeb制作の受注単価に与えた影響については、本稿の調査時点で一次統計を確認できておらず、本記事は上昇・下落のいずれも断定していません。倒産・休廃業解散・市場退出は定義が異なる別々の統計であり、倒産件数は集計期間(暦年/年度)によって数値が変わります。後継者不在率は調査会社により母集団・定義が異なります。相場の算定式(年買法・EBITDA倍率)は仲介実務の目安であって公的統計ではありません。当社の案件掲載件数は掲載時点の件数であり、掲載上の希望額は成約額ではありません。個別の税務(株式譲渡課税・法人の譲渡損益)は税理士、法務(著作権・取適法/旧下請法・個人情報・契約条項)は弁護士へご相談ください。本記事には当社サービス(無料売却相談・案件掲載面)へのご案内を含みます。


出典

  • [C-01] 情報サービス業の売上高営業利益率は平均10.79%/中央値6.79%(2024年度実績・加重平均の母数=有効回答286社。同調査に粗利率の項目はない)— 情報サービス産業協会(JISA)「情報サービス産業 基本統計調査」2025年版: https://www.jisa.or.jp/Portals/0/report/basic2025report.pdf
  • [C-04] 2025年(暦年)の日本企業のM&Aは5,115件(前年比+8.8%・2年連続で過去最多)/「IT・情報サービス業」のM&Aは2024年に377件(前年342件・経営権の移転を伴うものに限る/レコフM&Aデータベースをもとに日本M&Aセンターが集計・マール40分類「ソフト・情報」・買い手が開示義務を負う上場企業等の公表ベース)— MARR: https://www.marr.jp/marr/marr202602/entry/66036 / 日本M&Aセンター: https://www.nihon-ma.co.jp/columns/2024/x20241227-1/
  • [C-05] 情報通信業の倒産は2025年(暦年)438件(+3.0%・4年連続増)/2024年(暦年)425件/2025年度432件(▲6.0%)※暦年と年度は集計期間が異なる — 東京商工リサーチ: https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1202288_1610.html (2025年暦年)/ https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1202724_1610.html (2025年度)/ https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200895_1527.html (2024年暦年425件・前年比21.7%増)
  • [C-06] 情報通信業の後継者不在率77.06%(2025年・産業別最高/前年77.32%)・全産業62.60%(東京商工リサーチ)/全業種50.1%(帝国データバンク・情報サービス業の単独値は未公開=集計口径が異なる)— 東京商工リサーチ: https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201982_1527.html / 帝国データバンク: https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251121-successor25y/
  • [C-07] 2030年のIT人材需給ギャップは高位78.7万人/中位44.9万人/低位16.4万人(2019年公表の委託調査・生成AI普及前の前提に基づく試算)— 経済産業省「IT人材需給に関する調査」: https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
  • [C-08] ma-platform /malist に掲載中のIT/Web系の売り案件は92件(当社調べ・2026年8月3日実計数。掲載件数であり成約件数ではない/希望額≠成約額/内訳はアセット・システム譲渡が大半で法人の株式譲渡の件数ではない)。数え方=`/wp-json/wp/v2/malist?industry=<業種ID>&status=publish` の重複排除後の実数(1案件が複数業種タグを持つため、業種タームの件数を単純合算すると重複計上になる。また業種タクソノミーは売り案件`malist`と買いニーズ`needs`で共用のため、ターム件数には買いニーズが含まれる)。対象業種=ECサイト・WEBショップ/WEBサービス・アプリ・システム/WEBサイト・WEBメディア/WEB制作・デザイン・システム/インターネット・通信・AV機器/プログラミング/ソフトウェア開発/自社開発システム(SNS・YouTube系は含まない狭義集計)。同じ数え方で飲食系(飲食店・居酒屋・カフェ・レストラン/飲食/グルメ・食品/居酒屋/スイーツ/ベーカリー/キッチンカー)は25件、建設系(建設・不動産・住宅/リフォーム・内装・ハウスクリーニング/建築塗装)は13件。参考:買いニーズ(`needs`)は同基準でIT/Web系25件・飲食系9件・建設系6件 — 当社WP REST 実計数
  • [C-S01] 生成AIを業務で活用している企業は34.5%(非常に4.4%+やや30.2%)/業種別最高は『サービス』47.8%/効果あり86.7%/課題は「情報の正確性」50.4%・「専門人材・ノウハウ不足」41.3%(調査期間2026年3月17〜31日・全国2万3,349社対象・有効回答1万312社・回答率44.2%。情報サービス業の単独値は無し)— 帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」: https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260514-genai/
  • [C-S02a] 令和8年版情報通信白書(2026年7月24日公表)の特集テーマは「AIの進展がもたらす多面的影響〜人間とAIが健全に協働するデジタル社会の実現に向けて〜」— 総務省 報道資料: https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000184.html
  • [C-S02b] 日本の個人の生成AIサービス利用経験率58.8%(2025年度調査/前年度26.7%)、種類別はテキスト55.0%・画像/動画16.3%・プログラムコード生成AI 7.0%(図表Ⅰ-1-1-1/Ⅰ-1-1-2)。※2023・2024年度調査は20歳以上が対象で、2025年度調査から15〜19歳を追加。2025年度調査の20歳以上の利用率は52.2%(白書注記・前年度との単純比較は不可)— 総務省 令和8年版情報通信白書 第Ⅰ部第1章第1節: https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/pdf/n1110000.pdf
  • [C-S02c] 日本企業で生成AIを一つ以上の業務で利用している割合86.4%(前年度55.2%)/活用方針「積極的」+「領域限定」計68.9%(大企業74.0%・中小企業58.1%)/「組織的な取組はない」27.0%(図表Ⅰ-2-1-1/Ⅰ-2-1-2/Ⅰ-2-1-3/Ⅰ-2-1-6)※調査対象は従業員10名以上かつ2025年までにデジタル化に着手した企業の管理職以上(日本 n=515)=母集団に偏りあり — 総務省 令和8年版情報通信白書 第Ⅰ部第2章第1節: https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/pdf/n1210000.pdf
  • [C-S03] 「Web制作市場は約◯兆円」等の市場規模は、原典レポートを直接確認できない二次的な合成値が多いため本記事では採用しない(不採用の明示)
  • [C-S04] 生成AIにより「Web制作の単価が一律に下落した」と示す一次統計は、本稿の調査時点(2026年8月)では確認できていない(JISA基本統計調査/経産省 特定サービス産業動態統計〈2024年12月調査で終了〉/総務省 サービス産業動態統計/経済センサス/中小企業庁 価格転嫁調査を総当たり。いずれも受注単価の継続系列を持たない)— 非在の確認・限定形での記述
  • [C-S05] フリーランス・副業のWEBデザイナー110名への調査で、設問「2024年と比べて、2025年のデザイン案件の単価感はどのように変化しましたか。」に対し「上がった」62.7%・「変わらない」37.3%・「下がった」0.0%/案件受託量「増加」74.5%/AI活用で「修正回数が減った」63.2%(調査期間2026年1月5〜6日・調査主体は事業会社のPR配信。Web制作会社の受注単価の統計ではない)— 株式会社日本デザイン/IDEATECH「リサピー」調査: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000195.000039136.html
  • [C-S06] 情報通信業(産業大分類)の企業等数65,603(全産業の2.6%)/事業所数85,992/従業者数216万9,025人/1事業所当たり25.2人/売上高(2023年)88兆4,550億円 ※中分類「情報サービス業」単独値でもWeb制作会社の社数でもない — 総務省統計局「令和6年経済センサス‐基礎調査 確報集計結果(民営事業所)」(2025年12月24日公表): https://www.stat.go.jp/data/e-census/2024/pdf/kekka_k.pdf
  • [C-S07] DX取組率75.7%(従業員100人以下41.6%・1,001人以上98.7%)/100人以下がDXに取組まない理由の最多は「自社がDXに取組むメリットがわからない」54.0%/生成AIを「導入している」は2024年度22.6%→2025年度44.0%/AI全体(生成AI含む)は「導入している」42.3%+「試験利用」15.7%=58.0%で、業種別に見ると情報通信業の「導入している」は約7割(※この2つは別系列)/用途「プログラムコードやシステム開発支援」は情報通信業76.3%/AI導入の効果は「業務が効率化したり迅速化した」91.6%・「企画提案等の品質や速さが向上した」48.9%・「残業時間の削減につながった」29.2%・「顧客満足度が向上した」4.5%・「売上や利益が向上した」3.9%(※効果の設問で「期待以上/期待どおり/一定の効果はあった」を選択した企業が対象)/DX人材の「質」の不足(やや+大幅)88.8% — IPA「DX動向2026 広がるAI導入、DXは変われるか」(2026年7月30日 第1版・有効回答1,799社): https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-2026.pdf
  • [C-S08] 発注者が「情報サービス・ソフトウェア」業である取引のコスト増転嫁率は56.7%(前回50.9%)で32業種中9位・価格交渉の実施状況は6位/全体の転嫁率54.2% ※発注企業の業種ごとの集計であり「Web制作の単価」ではない — 中小企業庁「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査結果」(2026年6月26日公表・回答企業69,625社): https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/follow-up/dl/202603/result_01.pdf
  • [C-S09] 下請法は2026年1月1日施行の改正で正式名称が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」となり新通称は「取適法(中小受託取引適正化法)」/適用基準に従業員基準(300人・100人)を追加/「協議に応じない一方的な代金決定」を禁止行為に追加/Web制作の受託は「情報成果物作成委託」として対象取引 — 公正取引委員会「取適法リーフレットNo.01」: https://www.jftc.go.jp/file/toriteki_leaflet.pdf / e-Gov: https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120/
  • [C-S10] 情報サービス産業の売上高は令和8年(2026年)5月分(速報)で前年同月比4.3%増・50か月連続増加(総務省統計局「サービス産業動態統計」等をもとにJISAが掲載)— JISA 統計データ: https://www.jisa.or.jp/it_info/statistics/tabid/769/default.aspx / 総務省統計局: https://www.stat.go.jp/data/mbss/index.html
  • [C-S11] JISA「情報サービス産業 基本統計調査」の最新版は2025年版であり、2026年版は本稿の調査時点で未公表 — JISA 統計データ: https://www.jisa.or.jp/it_info/statistics/tabid/769/default.aspx
  • [C-H06] 受託開発の成果物・ソースコードの著作権の帰属は契約次第でDD対象となる。プログラムの著作物の職務著作は著作権法15条2項が定め、15条1項の「法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの」要件はプログラムには課されない(1項は「プログラムの著作物を除く。」と明記)。著作権は61条1項により譲渡できる — e-Gov 著作権法: https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048
  • [C-H08] 事業譲渡では労働契約の移転に労働者の個別同意が必要(民法625条1項)。株式譲渡なら法人格が変わらず雇用契約はそのまま継続 — e-Gov 民法: https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • [C-H09] Gitリポジトリの所有権はアカウント(法人Organizationか個人か)に帰属し、ドメインの登録者名義・クラウドのルートアカウント名義も同様に「会社の資産か」を決める — GitHub 利用規約: https://docs.github.com/ja/site-policy/github-terms/github-terms-of-service
  • [C-H12] 2025年の休廃業・解散は6万7,210件(前年比+7.2%・3年連続の過去最多)で、産業別の増加率トップは情報通信業の+15.2%(4,189件)※「休廃業・解散」は倒産以外で事業活動を停止した企業を指し、倒産とは定義が異なる — 東京商工リサーチ: https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202284_1527.html
  • [C-H13] 2025年に倒産・休廃業解散で市場退出した普通法人は6万5,858社(前年比+6.8%)。産業別の市場退出率は情報通信業4.98%が最高(卸売業3.06%・製造業2.61%)、退出法人指数も情報通信業243.6が最大(前年から27.2ポイント上昇)。要因として「ソフトウェア開発やホームページ制作などの『情報サービス業』の退出法人数が特に増加」と記述 — 東京商工リサーチ: https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1203057_1527.html
  • [C-PROP-01] ma-platform は「会社ごと畳む/会社ごと売る/自社サイト・メディアだけ切り出して売る」の3択を同一媒体で扱っている(/column のデジタルアセット売買記事群 + /industry-report の会社M&A + /malist のIT系案件)— 当社調べ(2026年8月時点)