EC・ネットショップ譲渡スキームの選択

EC事業 株式譲渡 事業譲渡|会社分割を含む3方式を、資産・負債・手続・課税の4点で選ぶ

この記事の目次
  1. この記事の結論
  2. 方式を選ぶ前に、会社ごと売るのか、EC事業だけを売るのかを決める
  3. EC事業が会社の一部なら、株式譲渡は他の事業・借入ごと渡すことになる
  4. 事業譲渡は選べる代わりに、契約を一つずつ移し、移した後の責任も残る
  5. 会社分割は契約を包括承継できるが、債権者の手続と、承継しない債務の責任がある
  6. 課税される人と税目は、方式で変わる。会社分割は適格かどうかで売り手の課税が変わる
  7. 方式を決める前に、売り手と買い手が確認する6つの項目
  8. まとめ
  9. よくある質問(FAQ)
  10. 出典

「ネットショップを売りたい」と決めたとき、最初に決まっていないのは値段より、何を渡して何を残すかです。会社ごと売るのか、EC事業だけを切り出すのか。その選び方で、在庫や借入がどちらに残るか、誰にどの税金がかかるかが変わります。この記事は、株式譲渡・事業譲渡・会社分割の3方式を、資産・負債・手続・課税の4点で並べ、決める前に確認する項目まで整理します。

この記事の結論

  • 先に決めるのは方式ではなく、売る範囲です。 EC事業が会社の全部なら株式譲渡が選べ、他の事業と同じ会社にあるなら事業譲渡か会社分割で切り出すことになります。
  • 方式が変わると、移るものと残るものが変わります。 株式譲渡は簿外債務ごと会社を渡し、事業譲渡は資産・負債を選べる代わりに契約を一つずつ移し、会社分割は包括承継でも債権者の手続が要ります。
  • 税額の比較は、この記事では行いません。 課税される人と税目の違いだけを整理し、試算は税理士に頼みます。

この記事の対象:EC事業・ネットショップの売却を考えている経営者。買い手として、どの方式で買うかを検討している方にも使えます。

EC事業の価値の見方はEC事業のM&A DATAにまとめています。この記事は、そのうち売却の「方式」だけを扱います。

方式を選ぶ前に、会社ごと売るのか、EC事業だけを売るのかを決める

結論: 3方式の違いは、移る範囲の違いです。EC事業だけを売りたいのに株式譲渡を選ぶことはできないので、売る範囲から決めます。

中小M&Aガイドライン(第3版)は、中小M&Aの実務では株式譲渡か事業譲渡が選ばれることが多いとし、そのほかの手法として会社分割などを挙げています。参考資料「中小M&Aの主な手法と特徴」の説明を、EC事業に当てはめて並べると次のとおりです。

方式 売る対象 資産・負債・契約の移り方 売り手側の主な手続
株式譲渡 会社の株式(株主が売る) 会社の資産、負債、従業員や第三者との契約、許認可等は原則存続する 比較的簡便。簿外債務・偶発債務もそのまま引き継ぐ
事業譲渡 事業の全部または一部(会社が売る) 資産、負債、契約を個別に移す。債権者や従業員の同意を一つずつ取り付ける。許認可等は買い手に承継されないことが多い 煩雑になりやすいが、事業の一部を手元に残せる
会社分割 事業に関する権利義務の全部または一部(会社法の組織再編) 他の会社に包括的に承継させる。一定の要件を備えれば原則として雇用が確保される。許認可等が引き継がれる場合もある 債権者が異議を述べられる期間を原則1か月以上設ける手続などが要り、時間と費用がかかることがある
避けたい判断 こうすればOK
方式を決めずに、価格の交渉から始める 売る範囲(会社ごと/EC事業だけ)を先に決め、その範囲で移る資産・負債の一覧を作る
「事業譲渡は手続が重いから、株式譲渡にしたい」と考えて、他の事業も一緒に売る形にする 他の事業を残したいなら、株式譲渡は選べない。事業譲渡か会社分割で切り出す前提で比べる
売り手と買い手が、別々の方式を頭に置いたまま話を進める 3方式のうち、どれを前提にするかを基本合意の前に書面で揃える

EC事業が会社の一部なら、株式譲渡は他の事業・借入ごと渡すことになる

結論: 一つの会社でECと別の事業をやっているなら、株式譲渡は会社全体の売却です。EC事業だけを売るには、事業譲渡か会社分割で切り出します。

株式譲渡では、会社の組織がそのまま引き継がれ、資産、負債、契約が原則存続します。一方、ガイドラインは、会社の法人格が変わらないため、貸借対照表に出ない簿外債務(未払残業代など)や、まだ発生していない偶発債務(紛争に関する損害賠償債務など)も引き継がれ、より詳細なデューデリジェンスが行われる傾向があると説明しています。

事業譲渡は、承継対象財産を選べ、譲り渡し側の法人格から切り離せるため、簿外債務・偶発債務のリスクを比較的遮断しやすいとされています。

仮の数字で、何が会社に残り、何が移るかを見ます。会社は、EC事業と別の事業を持ち、本社の運転資金として銀行借入があるとします。

項目 仮の金額 株式譲渡 事業譲渡 会社分割
EC事業の在庫 800万円 会社にあるので買い手が持つ 契約で対象に入れれば移る 計画で承継対象に定めれば移る
EC事業の売掛金(モールの売上金など) 200万円 同上 同上 同上
EC事業の買掛金 300万円 同上 債権者の同意を取って移す 承継対象に定めれば移る。債権者の手続が要る場合がある
EC事業の未払金(広告費など) 100万円 同上 同上 同上
本社の銀行借入 1,500万円 会社にあるので買い手が持つ(価格で調整するかは交渉) 対象に入れなければ売り手に残る 承継対象に定めなければ売り手に残る
帳簿に載っていない未払残業代など 金額は帳簿にない 買い手が引き継ぐ 対象に入れなければ売り手に残る 承継対象に定めなければ売り手に残る

この仮の数字では、対象のEC事業の資産は在庫と売掛金の合計で1,000万円、負債は買掛金と未払金の合計で400万円、差し引き600万円です。これは帳簿上の差額で、売却価格ではありません。在庫の評価はECサイト 売却 在庫で扱っています。

表の「入れなければ売り手に残る」は、債権者に対して自動的に責任がなくなる意味ではありません。次の2つの節で、売り手に残る責任を確認します。

事業譲渡は選べる代わりに、契約を一つずつ移し、移した後の責任も残る

結論: 事業譲渡は、何を渡すかを契約で決められます。ただし、債権者や取引先の同意を一つずつ取る必要があり、会社法には、譲り渡した後の責任を定めた規定もあります。

事業譲渡で債権債務や契約を移すには、債権者や従業員の同意を一つずつ取り付ける、とガイドラインは説明しています。EC事業では、モールとの出店契約や仕入先との取引契約がこれに当たります。モールの契約の移し方はAmazon セラーアカウント 譲渡で扱っています。

会社法の規定で、売り手と買い手の双方が知っておくものは次の3つです。

条文 内容 売り手・買い手への影響
会社法第467条 事業の全部の譲渡や、事業の重要な一部の譲渡は、効力発生日の前日までに株主総会の決議で契約の承認を受ける。譲り渡す資産の帳簿価額が総資産額の5分の1(定款で下回る割合を定めた場合はその割合)を超えない場合は、承認を要しない EC事業が会社の中で小さければ株主総会の決議が要らない場合がある。要否は帳簿価額の計算で決まる
会社法第309条第2項、第469条 事業譲渡等の株主総会は、議決権の3分の2以上の多数による特別決議。事業譲渡等に反対した株主は、公正な価格での株式買取りを請求できる 株主が複数いる会社では、売り手の社内の合意づくりに時間がかかりうる
会社法第22条、第23条 買い手が売り手の商号を引き続き使う場合、買い手も売り手の事業で生じた債務を弁済する責任を負う。登記や通知で責任を負わない旨を示せば適用されない。買い手がこの責任を負う場合に限り、売り手の責任は、事業を譲渡した日から2年以内に請求などをしない債権者に対して消滅する 商号を続けるかどうかで、買い手の責任が変わる。債務を引き受ける旨の広告をした場合も、債権者は買い手に請求できる

会社法第22条の「商号」にショップ名やサイト名が当たるかどうかは、本記事では確認していません。ショップ名を続けて使う売却では、弁護士に確認してください。

会社分割は契約を包括承継できるが、債権者の手続と、承継しない債務の責任がある

結論: 会社分割は、事業に関する権利義務を会社法の手続で他の会社に承継させる方式です。債権者に異議を述べる機会を与える手続があり、承継しない債務の扱いにも決まりがあります。

ガイドラインは、会社分割を、事業に関して有する権利義務の全部または一部を、他の会社(または分割で新たに設立する会社)に包括的に承継させる手続と説明しています。中小企業庁の白書は、会社分割を、原則として複数の事業を行う会社が、ある事業部門だけを子会社または兄弟会社として切り出し、その一方の会社を譲受企業に株式譲渡するか、吸収分割する手法と説明しています。EC事業だけを残して売る場合の、事業譲渡との違いは次のとおりです。

比べる点 事業譲渡 会社分割
契約の移し方 契約ごとに相手方の同意を取り付ける 包括的に承継させる(モールなど個別の承諾の要否は、契約やモールの規定で別に確認)
債権者の手続 債務を移すには債権者の同意が要る 会社法第789条により、分割後に分割会社へ債務の履行を請求できない債権者は、異議を述べられる。官報への公告と、知れている債権者への各別の催告が必要で、異議を述べる期間は1か月を下ることができない
株主総会 第467条(5分の1基準あり) 吸収分割は第783条、新設分割は第804条。承継させる資産の帳簿価額が総資産額の5分の1(定款で下回る割合を定めた場合はその割合)を超えない場合は不要(第784条第2項、第805条)
従業員 個別に同意を取る 労働契約承継法により、一定の要件を備えれば原則として雇用が確保される(ガイドライン)
登記・履歴 不動産を含む場合は登記手続が必要 登記が必要で、会社分割を行った旨は履歴事項全部証明書に記載される(ガイドライン)

会社分割で承継しない債務の債権者を害することを知って分割した場合、その債権者(残存債権者)は、承継した財産の価額を限度に、承継した会社へ債務の履行を請求できます(会社法第759条第4項)。買い手は、承継しない債務の状況も確認しておく必要があります。債務の扱いは、弁護士と一緒に、債権者ごとに決めます。

避けたい判断 こうすればOK
事業譲渡は債権者の同意が大変だから、会社分割にすれば債権者対応が要らなくなると考える 会社分割にも債権者保護手続(公告・催告)と、承継しない債務の債権者への責任がある。期間と費用を含めて比べる
買い手が決まる前に、会社分割の手続を始める 買い手との合意(基本合意の方式、スケジュール)を先に固め、手続の日程を逆算する
モールの契約は会社分割で包括承継されるから、承諾は要らないと考える 包括承継でも、モールの規定で承諾が必要かは別に確認する

課税される人と税目は、方式で変わる。会社分割は適格かどうかで売り手の課税が変わる

結論: 税額の比較は、仮の前提を置いても実際の売却には当てはまらないため、この記事では行いません。ここでは、方式ごとに、課税される人と、確認する条文・資料を整理します。

方式 課税される人 確認できた資料の内容
株式譲渡(法人の株式を売る) 株式を売ったオーナー個人 国税庁のタックスアンサーNo.1463は、上場株式等以外の株式(一般株式等)の譲渡益を申告分離課税とし、総収入金額(譲渡価額)から必要経費(取得費+委託手数料等)を引いて計算するとしている。消費税は、株式の譲渡が非課税取引の有価証券等の譲渡に挙げられている(No.6201)
事業譲渡(会社が事業を売る) 売り手の会社(対価は会社に入る)。オーナーが受け取る段階で別の課税 国税庁のタックスアンサーNo.6931は、課税事業者が事業用の資産を譲渡した場合は消費税が課税され、土地や借地権の譲渡は非課税としている。ガイドラインは、譲渡対価は法人に帰属するため法人税等の課税が生じるとしている
会社分割(会社が事業を切り出す) 売り手の会社(分割の課税)。切り出した会社の株式を売るなら、そのオーナー 法人税法第62条は、分割で資産・負債を移転したときは、時価による譲渡をしたものとして所得を計算するとしている。適格分割型分割は帳簿価額の引継ぎ(第62条の2)、適格分社型分割は帳簿価額による譲渡(第62条の3)

3方式の税率や、個人経営・法人それぞれの課税の流れは、スナック 売却 税金に、飲食店を例に整理しています。売り手が個人か法人か、株式譲渡か事業譲渡かで課税の流れが分かれる点は、EC事業の売り手が自分の位置を確かめるときに参照できます。

会社分割の課税で確認が必要なのは、適格分割に当たるかどうかです。法人税法第2条第12号の11は、適格分割を、分割対価資産として分割承継法人(または分割承継親法人)の株式以外の資産が交付されないものなどとして定めています。本記事の整理では、買い手が現金で対価を払う形の分割は、この要件に当たらない可能性があります。そのため、現金での売却を前提に会社分割を使うと、売り手の会社には時価での譲渡として課税される可能性があります。切り出した会社の株式を売る形では、分割の対価は株式になりますが、適格になるかは分割後の株式の保有関係などで決まります。いずれの場合も、適格の判定は、分割法人と分割承継法人の関係など、政令で定める事項にも左右されます。本記事では政令の内容までは確認していないため、実際の判定は税理士に確認してください。

繰越欠損金の扱いも、方式で見方が変わります。国税庁のタックスアンサーNo.5762は、青色申告書を提出した事業年度の欠損金を繰り越して控除できると説明しています。法人税法第57条は、欠損金を生じた法人の各事業年度の所得の計算上、損金に算入するものです。本記事の整理では、欠損金は、欠損金を生じた法人に帰属するものとして読めます。同条第2項は、適格合併などの場合の引継ぎを定めており、事業譲渡や会社分割で売り手の繰越欠損金が買い手に移ると読める記載は確認できませんでした。株式譲渡では、買い手が発行済株式の50%を超える株式を持つなど、特定支配関係を有することになった法人について、一定の事由に該当すると欠損金の繰越しが使えなくなる規定があります(法人税法第57条の2)。該当する事由は政令などで定められており、本記事では整理していません。

買い手側の取得コスト(消費税の扱い、資産の取得価額、DDの費用など)は、方式で変わりますが、本記事では確認できた範囲を超えるため、買い手の税理士に確認してください。

方式を決める前に、売り手と買い手が確認する6つの項目

結論: 方式は、次の6つを確認した結果として決まります。確認する相手は、方式の違いに応じて、弁護士、税理士、モール、債権者です。

確認する項目 見る場所 方式の決め方への影響
売る範囲(会社ごと/EC事業だけ) 会社の事業の一覧と、事業別の損益 会社ごとなら株式譲渡が選べる。EC事業だけなら事業譲渡か会社分割
資産・負債の一覧(在庫、売掛金、買掛金、未払金、借入、リース) 試算表、固定資産台帳、借入・リースの残高資料 対象に入れるものと、売り手に残すものの線引き。ECサイト 売却 在庫と合わせて確認
簿外債務・偶発債務の有無 労務、返品、広告、知的財産などの確認資料 株式譲渡は引き継ぐ。事業譲渡・会社分割は対象を選べる
契約の移し方(モール、仕入先、物流委託、倉庫) 契約書、モールの規定 個別の同意が必要か、包括承継でも承諾が要るか。Amazon セラーアカウント 譲渡を参照
顧客データの扱い 同意の記録、規約 方式にかかわらず確認が必要。ECサイト 譲渡 顧客情報を参照
課税される人と税目、適格の判定、欠損金 決算書、株主の状況、分割の計画 方式ごとの試算を税理士に頼み、売り手の手取りと買い手の取得コストを同じ前提で比べる

税理士に頼む試算は、方式の候補ごとに、同じ条件で行います。条件が揃っていない試算を並べると、方式の差ではなく前提の差が結果に出ます。

まとめ

  • 先に決めるのは、会社ごと売るのか、EC事業だけを売るのかです。その範囲で、株式譲渡・事業譲渡・会社分割のどれが選べるかが決まります。
  • 株式譲渡は簿外債務ごと会社を渡し、事業譲渡は資産・負債を選べる代わりに契約を一つずつ移し、会社分割は包括承継でも債権者の手続と、承継しない債務の責任があります。
  • 課税される人と税目は方式で変わり、会社分割は適格かどうかで売り手の課税が変わります。税額の比較は、方式の候補ごとに、同じ前提で税理士に試算を頼みます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. EC事業を売るとき、株式譲渡・事業譲渡・会社分割のどれがよいですか? A. 一概には言えません。EC事業が会社の全部なら株式譲渡が選べ、他の事業と同じ会社にあるなら事業譲渡か会社分割でEC事業を切り出します。株式譲渡は簿外債務・偶発債務ごと引き継ぎ、事業譲渡は対象を選べますが契約を一つずつ移す必要があり、会社分割は包括承継でも債権者の手続があります。売る範囲、資産・負債、契約、課税の4点で比べます。

Q2. 会社の一部であるEC事業だけを売るには、どうすればよいですか? A. 事業譲渡で資産・負債を選んで売るか、会社分割で切り出す方法があります。会社分割でEC事業を別の会社に切り出し、その会社を譲受企業に株式譲渡する手法は、中小企業庁の白書にも紹介されています。どの方式でも、売る範囲と、売り手に残す資産・負債を一覧にしてから、弁護士と税理士に確認します。

Q3. 事業譲渡で、借入や未払金を買い手に移せますか? A. 債権者の同意を取れば移せます。中小企業庁のガイドラインの参考資料は、事業譲渡では債権債務を含む契約関係を、債権者や従業員の同意を取り付けて一つずつ切り替えると説明しています。同意が取れなければ、その債務は売り手に残ります。

Q4. 会社分割にはなぜ時間がかかるのですか? A. 会社法の手続が必要だからです。分割後に分割会社へ債務の履行を請求できない債権者には、官報への公告と、知れている債権者への各別の催告を行い、異議を述べる期間を1か月以上設けます(会社法第789条)。登記も必要です。承継させる資産の帳簿価額が総資産額の5分の1を超えない場合は、株主総会の承認が要らない場合があります。

Q5. 方式によって、税金はどう変わりますか? A. 課税される人と税目が変わります。株式譲渡は株式を売ったオーナー個人の譲渡益に申告分離課税がかかり、事業譲渡は対価が会社に入り、会社の課税とオーナーに渡す段階の課税があります。会社分割は、法人税法上、適格分割に当たらなければ時価での譲渡として所得を計算します。税額の比較は前提で大きく変わるため、方式の候補ごとに同じ前提で税理士に試算を頼んでください。

Q6. 売り手の繰越欠損金は、買い手に引き継げますか? A. 本記事で確認できた範囲では、事業譲渡や会社分割で売り手の繰越欠損金が買い手に移ると読める記載はありませんでした。法人税法第57条第2項が引継ぎを定めるのは、適格合併などの場合です。株式譲渡では、本記事の整理では会社が同じため欠損金は会社に残りますが、買い手が50%を超える株式を持つなどしたうえで、旧事業の廃止などの一定の事由に該当すると、欠損金の繰越控除が使えなくなる規定(第57条の2)があります。個別の判断は税理士に確認してください。

出典

  • 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」(令和6年8月) https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/m_and_a_guideline.pdf
  • 中小企業庁「(参考資料1)中小M&Aの主な手法と特徴」(中小M&Aガイドライン(第3版)参考資料) https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/m_and_a_guideline_s01.pdf
  • 中小企業庁「第2節 M&Aの現状と実態」(中小企業白書 2018年版) https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b2_6_2_1.html
  • 会社法(平成十七年法律第八十六号)第22条・第23条・第309条・第467条・第469条・第759条・第783条・第784条・第789条・第804条・第805条 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
  • 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第2条・第57条・第57条の2・第62条・第62条の2・第62条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034
  • 国税庁 タックスアンサー「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm
  • 国税庁 タックスアンサー「No.6201 非課税となる取引」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm
  • 国税庁 タックスアンサー「No.6931 消費税等と譲渡所得」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6931.htm
  • 国税庁 タックスアンサー「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm

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