塗装会社のM&A・売却事例2026|同業・リフォーム・防水/屋根・ファンドが買う理由と垂直統合の出口設計
「うちみたいな下請けの小さい塗装屋を、いったい誰が買うのか」——後継者がいない、自分も職人も歳をとった、元請の値下げも塗料・足場の原価高も止まらない。畳むしかないのか、と出口を探す塗装会社のオーナーは少なくありません。けれど、塗装会社を「買いに来る側」は実在し、しかも構造的に増えています。本記事は公表されている塗装・外壁・防水関連のM&A事例を買い手タイプ別(同業大手・リフォーム/住宅会社・防水/屋根など隣接業種・ファンド)に整理し、「誰が・なぜ買うのか」と「あなたの会社のどの資産が評価されるのか」を事例で示します。さらに、防水/屋根を内製化して“売れる形”に整える出口設計まで踏み込みます。相場の算定式は別記事に譲り、ここでは“買い手の事情”から逆引きします。
この記事の結論(先に要点だけ)
- 塗装会社の主な買い手は4タイプ——①同業大手(エリア・元請枠・職人の取り込み=面取り)②リフォーム・住宅/異業種(外注していた塗装の内製化)③防水・屋根など隣接業種(外壁まわりの工種を一気通貫)④PEファンド(中小の連続買収=ロールアップ)です[C-01]。実在の公表事例で①②③すべて接地でき、④は仲介公表でファンド投資先とされるTOHOの取得(exit局面)として整理できます[C-06a]。
- 買い手が見ているのは、建設業許可(塗装工事業)・一級/二級塗装技能士・安定した元請取引・直需リピート・自社足場/車両といった、決算書に出にくい“見えない資産”です[C-04]。
- 公表事例の譲渡金額は「取得価額 非開示/記載なし」が大半で、マッチングサイトに並ぶ金額も「希望額」であって成約額ではありません[C-02]。だから「事例=いくらで売れた」は出せず、語れるのは「誰が・なぜ買ったか」です。中小では数千万〜数億円規模の案件も見られますが、自社の値は個別査定によります[C-02]。
- “売れる形”は整えられます。防水/屋根を内製化して下請marginを回収し、元請(直需)に回れば、粗利と査定を同時に上げうる——という垂直統合の出口設計があります(「必ず上がる」ものではなく、継続実績が前提です)[C-13]。
- 次の一手は、事例の平均ではなく自社の概算評価を一度知ること。仲介に営業される前に、無料で「自社は誰に・いくらで売れそうか」をつかむのが安全です。
§1 塗装工事業界とは — なぜ今「買われる側」と「買う側」が同時に増えているか
塗装工事業(外壁塗装業)とは、建築物や構造物の外壁・屋根などを塗料で保護・美装する工事を請け負う業種で、請負金額や工事内容に応じて建設業許可・有資格者が求められる「許認可ビジネス」です。この一文が、なぜ塗装会社に買い手が付くのかの出発点になります。
需要そのものは細っていません。需要基盤を示すのが改修市場で、建築物のリフォーム・リニューアル工事の受注高は令和6年度計で13兆8,303億円(前年度比4.2%増)です[C-10]。内訳は住宅が4兆1,318億円(同3.3%減)、非住宅が9兆6,984億円(同7.7%増)で、住宅は微減ながら非住宅が牽引し、改修市場全体は堅調に推移しています[C-10]。住宅ストックの高経年化が進むなか、塗り替え・改修の仕事そのものが消える業種ではありません。
注:この受注高は塗装単独ではなく、建築物の改修・リニューアル工事全体の数値です[C-10]。「住宅塗装だけが伸び続ける」という話ではなく、住宅は微減・非住宅が牽引している点に注意してください。塗装単独の市場規模は公的区分がないため、改修市場全体の方向性で示しています。
許可が「強み」になるのは、許認可・有資格者が二層構造で簡単には揃わないからです。塗装工事は請負金額500万円以上で建設業許可(塗装工事業)が必要で、500万円未満の軽微な工事は許可不要です[C-11]。そして一級/二級塗装技能士——技能検定(職業能力開発促進法)に基づく国家資格で、塗装工事業の専任技術者・主任技術者の要件を満たします[C-12]。新規参入では一朝一夕に積み上がらない許可・有資格者・元請取引——これらが「見えない資産」として、買い手がゼロから揃えるより「会社ごと買う」動機になります。
後継者問題も重なります。建設業の後継者不在率は57.3%(2025年)と全業種で最も高い水準です(全国平均は50.1%、2018年ピーク71.4%からは改善傾向)[C-souba01]。売り手が増え、許認可という参入障壁を一括取得したい買い手も増える。だから今、塗装業界では譲渡の「売り手」と「買い手」が同時に増えているのです。
塗装業界の需要動向・将来性の全体像は、塗装業の将来性・需要動向はこちらで俯瞰しています。本記事(売却事例)と併せてご覧ください。
§2 塗装業のM&A動向と将来性 — 改修需要・人手不足が生む売り手有利
需要が堅調でも、すべての塗装会社が安泰なわけではありません。むしろ「小規模ほど詰む」構図が進み、出口としてのM&A(譲渡)が現実的になっています。そして同じ流れが、買い手の動機を構造的に押し上げています。
買い手が増える背景①:改修需要と外壁まわりのワンストップ化。空き家・老朽インフラ・住宅ストックの高経年化に伴う塗り替え・改修と、その周辺工事(防水・屋根・サッシ改修)の需要は中長期で堅調です[C-10]。後述の事例でも、買い手は「外装全てを網羅するトータルリニューアル」「家電に次ぐ第2の柱としてリフォーム事業に注力」と説明しており[C-06c][C-06b]、塗装は外壁まわりのワンストップ化・改修事業の“入口”として取り込む価値があると見られています。
注:改修需要の「堅調」は買い手企業の説明や一次統計に基づく方向性であり、具体的な伸び幅を断定するものではありません[C-10]。
買い手が増える背景②:薄利と人手不足・後継者問題。塗装を含む職別工事業の売上高営業利益率は▲0.42%(令和4年度=営業赤字、建設業全体は0.33%)[C-05]、自己資本比率も29.79%と建設業5区分で最も低い水準です[C-05b]。薄利・低自己資本のなか、塗料・足場の原価高騰と職人高齢化が小規模事業者の体力を削ります。建設業の後継者不在率57.3%[C-souba01]に象徴される担い手不足は、売り手を生むだけでなく、同業大手やリフォーム会社にとっては「職人・有資格者・元請取引を自前で確保したい」という内製化の動機になります。職人も許可も元請取引も健在なうちに会社ごと取り込めるM&Aは、買い手にとって時間を買う合理的な手段です。
注:財務指標は塗装単独ではなく「職別工事業(塗装を含む区分)の令和4年度決算」の近似値です[C-05]。0.35%は設備工事業の値であり、塗装の近似には用いません。
ここから整理できる買い手の動機ドライバーは4本です——①同業大手がエリア・元請枠・職人を会社ごと取り込む「面取り」、②リフォーム・住宅/異業種が外注していた塗装工程を取り込む「内製化」、③防水・屋根など隣接業種が外壁まわりの工種を取り込む「工種の一気通貫」、④PEファンドが中小塗装を連続買収する「ロールアップ」[C-01]。次の§3.5で、このうち実在の公表事例で接地できるものを見ていきます。
業界全体の将来予測や二極化のシナリオは、塗装業の将来性・需要動向はこちらで整理しています。本記事は「M&A出口・買い手が増える文脈」に絞っています。
§3 塗装会社の生き残り戦略 — 続ける/譲る/畳むの3択と「売れる会社」の条件
事例を読む前に、自社が「売れる側」かどうかの目線を持っておくと、事例の見え方が変わります。出口は大きく3択です。
続ける——需要はあっても、薄利(職別営業利益率▲0.42%[C-05])と人手不足の中で、直需・リピートの開拓、遮熱・特殊塗装の高付加価値化、技能士の採用・育成といった投資を続けられるかが問われます。担い手の確保が前提です。
畳む(廃業)——足場・車両・塗装機材の処分、倉庫の原状回復、退職金など出ていくお金がかさみ、許可・取引・技能士・職人といった資産は価値ゼロで消えます。廃業と売却を手取りで比べると結論が変わることも多く、損得は塗装業の廃業と売却はどちらが得か(手取りで比較)で詳しく扱っています。
譲る(M&A・譲渡)——「買われる強み」が揃うなら、あなたの会社は「畳むしかない事業」ではなく「買われる資産」です。買い手が評価する強みは、次のような“数字に出ない資産”です[C-04]。
- 建設業許可(塗装工事業)の保有・有効性、または軽微工事中心での営業実態の把握
- 一級・二級塗装技能士など有資格者の在籍と定着[C-12]
- ハウスメーカー・リフォーム会社など安定した元請との継続取引(一社依存でないこと)
- 直需・リピート顧客リスト(元請一社依存でない収益源)
- 自社足場・車両・倉庫などの設備、施工品質の評判・クレームの少なさ
- 防水・屋根など隣接工種を内製化できる余地(後述の垂直統合の伸びしろ)
これらは新規参入者がゼロから揃えるのに時間がかかるからこそ、買い手が「会社ごと買いたい」と考える対象になります。自社の棚卸しをしたうえで、次章の事例を「誰が、こういう資産を欲しがるのか」という目で読んでみてください。
§3.5 買い手タイプ別 塗装M&A事例ギャラリー — 誰が・なぜ買ったのか
ここからが本記事の核です。公表されている塗装・外壁・防水関連のM&A事例を買い手タイプ別に並べ、「買収の動機」と「評価された資産」を抽出します。
金額についての前提(先にお読みください):以下の事例は上場・準大手企業の適時開示やプレスリリースで公表されたものですが、取得価額は「相手先との合意により非開示」または「記載なし」が大半です[C-02]。つまり「この事例はいくらで売れた」という成約額は公表されていません。本章は金額を語るためではなく、「誰が・なぜ・どんな資産を狙って買ったか」を示すために事例を用います。社名・所在地・スキームは、買い手の適時開示・公式プレスリリースで原文を確認できたものに限っています。
買い手タイプ① 同業大手(面取り)— エリア・元請枠・職人を一気に取り込む(+ファンドからの取得)
自社で採用・育成すると時間がかかる職人・有資格者・元請取引を、会社ごと取り込んでエリアを面で押さえる——これが同業大手による「面取り」の動機です。
- 建装工業(東証・マンション大規模修繕/塗装)× TOHO(東京・マンション大規模修繕/塗装工事):建装工業が同業のTOHOの全株式を取得し、吸収合併によって経営統合しました。TOHOはM&A仲介各社の公表でアドミラルキャピタルの投資先とされており、ファンドにとっては保有先の売却(exit)局面と整理できます(取得スキームの位置づけは各社の公表に基づく整理です)。2022年3月に契約・株式譲渡を実行し、合併の効力発生は同年7月(予定)と公表されました。両社の統合で業界第1位の約390億円規模になるとされています。取得価額は記載がなく非開示です[C-06a]。同業の面取りと、ファンド投資先の取得(④の入口)が同時に見える代表例です。
このように、塗装・大規模修繕は分散業界であるため、PEファンドがロールアップ(中小の連続買収で規模化)の対象にしやすい領域でもあります。ただし「塗装専業に特化した名前のついたロールアップ・プラットフォーム」を本記事で実名接地できる一次事例は確認できなかったため、④ファンドについてはこの建装工業×TOHOのファンドからの取得(exit)面で接地し、専業ロールアップは買い手動機の類型としての記述にとどめます(実在しない企業名は出しません)[C-01]。
買い手タイプ② リフォーム・住宅/異業種(塗装の内製化)— 外注していた塗装工程を取り込む
外壁塗装・改修を外注に出していたリフォーム・住宅会社や異業種が、塗装会社を取り込んで内製化し、下請marginと品質管理を自社に回収する動きです。「塗装会社 買収 リフォーム」で探している方の中心がここです。
- エディオン(東証プライム2730・家電量販大手)× 麻布(愛知県春日井市・屋根/外壁塗装・リフォーム):エディオンが、全国に営業所を展開する屋根・外壁塗装/リフォームの麻布(2002年設立)の全株式を取得し子会社化しました(2024年3月1日)。エディオンは「家電に次ぐ第2の柱としてリフォーム事業に注力」する方針で、麻布の「塗装の技術・職人とのネットワーク・営業力の高さ」を評価したとIRで説明しています。取得価額はIR本文に金額の記載がなく非公表(連結業績への影響は軽微と注記)です[C-06b]。異業種(家電量販)による塗装/リフォームの内製化の典型例です。
- ニッソウ(東証1444・原状回復/リフォーム)× ヤナ・コーポレーション(埼玉県所沢市・塗装起源の総合リフォーム):ニッソウが、塗装工事会社として設立され、その後リフォーム全般へ事業を拡大したヤナ・コーポレーションの全株式を取得し子会社化しました(2023年3月決議・5月株式譲渡実行)。首都圏でのリフォーム事業拡大とグループシナジーを狙いに挙げています。取得価額の記載はなく非開示です[C-06e]。リフォーム会社が“塗装起源”の会社を取り込む内製化の例です。
- アサンテ(東証プライム6073・住宅メンテ/シロアリ防除)× ハートフルホーム(札幌・金属サイディング外壁リフォーム)(補強):住宅メンテナンス会社のアサンテが、道内トップクラスの外壁リフォーム会社ハートフルホームの全株式を取得し完全子会社化しました(2020年5月公表・7月実行)。外壁リフォームのノウハウ・人材の取り込みとエリア拡大(北海道進出)が狙いです。取得価額は本調査の範囲では確認できず非開示扱いです[C-06f]。
買い手タイプ③ 防水・屋根など隣接業種(工種の一気通貫)— 外壁まわりをワンストップ化
防水・屋根・サッシなど外壁まわりの隣接工種が塗装/防水を取り込み、足場を共有して一現場で複数工種を完結させる動きです。これは後述の「垂直統合の出口設計」(§4)と裏表の関係にあります。
- 不二サッシ(東証5940・サッシ/建材)× 日本防水工業グループ(東京都練馬区・防水/塗装の大規模修繕):サッシ・窓改修大手の不二サッシが、ビル・マンションの大規模修繕における防水工事・塗装工事を中心とした日本防水工業(1963年設立)と、その子会社で吹付防水を手がける日本スプレー工業の発行済株式を取得し子会社化しました(2019年5月15日)。不二サッシは、窓改修の工事力と大規模修繕の工事力を融合し、「外装全てを網羅するトータルリニューアル工事の施工体制を確立」すると説明しています。取得価額の記載はなく非開示です[C-06c]。隣接(窓/サッシ)からの工種一気通貫の代表例です。
- クワザワ(東証一部・札証8104・建設資材商社)× フリー・ステアーズ(千葉県佐倉市・マンション防水/塗装の大規模修繕):建設資材商社のクワザワが、首都圏でマンションの防水工事・塗装工事を主体とした大規模修繕を営むフリー・ステアーズ(2004年設立)の全株式(2,000株・議決権100%)を取得し完全子会社化しました(2020年1月決議・4月株式譲渡実行)。マンションの給排水管更新工事に取り組むクワザワにとって、防水/塗装の大規模修繕との相乗効果が狙いです。取得価額は相手先の要望により非開示と明記されています[C-06d]。建材商社×給排水管更新の側からの工種一気通貫の例です。
買い手タイプ④ PEファンド/ホールディングス(ロールアップ)
同業の中小塗装会社を連続買収して購買・採用・管理を共通化し、規模の経済を出す動きです。前掲のとおり、建装工業×TOHOではTOHOがM&A仲介各社の公表でアドミラルキャピタルの投資先とされ、ファンドにとっての保有先売却(exit)局面と整理でき、ファンドが塗装・大規模修繕会社を保有していた例として参照できます[C-06a]。一方、塗装専業に特化した「○○塗装ホールディングス」型のロールアップ・プラットフォームを実名で接地できる一次事例は本調査で確定できなかったため、このタイプは買い手動機の類型として(「分散業界ゆえファンドのロールアップ対象になりやすい」まで)記述し、実在を主張する社名は出しません[C-01]。なお、マッチングプラットフォーム(バトンズ「外装塗装」)に掲載される塗装関連の譲渡案件は「譲渡希望額」(数千万円から数億円規模の案件も含め幅広い)で表示されますが、これは売り手の希望であって成約額ではありません[C-02]。
買い手タイプ別 比較表(本章の要約)
| 買い手タイプ | 主な買収動機 | 特に評価する資産 | シナジー | 注意点 | |—|—|—|—|—| | ① 同業大手(面取り) | エリア・元請枠・職人/有資格者の一括取得[C-06a] | 建設業許可・塗装技能士・施工エリア・元請取引 | 採用代替・規模拡大・統合で上位化 | 株式譲渡なら許可は会社に残り継続[C-14] | | ② リフォーム・住宅/異業種(内製化) | 外注塗装の内製化・下請margin回収[C-06b][C-06e] | 塗装の技術・職人ネットワーク・営業力 | 外壁改修の品質管理と利益を社内化 | 元請依存の解消・取引継続性の確認 | | ③ 防水・屋根など隣接(工種一気通貫) | 外壁まわりをワンストップ化[C-06c][C-06d] | 防水/塗装の施工力・大規模修繕実績 | 足場共有・トータルリニューアル化 | 許可・有資格者・安全管理の承継 | | ④ PEファンド(ロールアップ/exit) | 中小の連続買収で規模化・保有先のexit[C-06a] | 安定収益・許可・人材・統合の余地 | 購買/採用/管理の共通化 | 専業ロールアップの実名事例は薄い(定性) |

図解F1:塗装会社の主な買い手4タイプと買収動機。社名・金額の扱いは本文・Claims Ledger準拠(金額は非開示/希望額で成約額ではありません)。

図解F3:「売れる形」に整えるBefore/After。下請一社依存・許可/技能士があいまい・属人化(Before)から、許可+一級/二級塗装技能士の整備・元請取引と直需リピート・防水/屋根の内製化(After)へ。公表事例の金額は希望額/開示額であり成約額とは限りません。
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§4【M&A・投資視点】買い手の動機から逆算する評価ポイントと「垂直統合」の出口設計
事例の金額をうらやむより、「買い手がなぜその会社を選んだか」を逆算すれば、自社をどう整えれば高く売れるかが見えてきます。前章の事例に共通するのは、買い手が「許可・有資格者・元請取引・施工力」という見えない資産を狙っていたという事実です(エディオンは「塗装の技術・職人とのネットワーク・営業力」、不二サッシは「高い技術力」を評価と明言しています)[C-04][C-06b][C-06c]。特に塗装では、防水/屋根を内製化して下請から元請へ回れば、粗利と査定が同時に上がりうる、という固有の打ち手があります。
買い手が見る順番(チェックポイント3つ)
1. 許認可の質と承継可否。建設業許可(塗装工事業)と専任技術者(一級/二級塗装技能士)が最初に確認されます。重要なのは承継方法で、株式譲渡なら法人格が変わらず、会社が持つ許可は会社に残り原則継続します。一方事業譲渡では許可を移転できず、令和2年(2020年)10月改正建設業法の事前認可(承継予定日90日前まで・建設業の全部承継が前提)を受ける必要があり、認可を受けないと許可の空白=無許可営業のリスクが生じます[C-14]。これが塗装M&Aで株式譲渡が選ばれやすい構造的理由です。 2. 有資格者・職人の定着と元請の優良継続取引・直需リピート。一級/二級塗装技能士は専任技術者・主任技術者の要件を満たす希少な人材で[C-12]、在籍と定着は評価に直結します。一方、社長個人の人脈に依存した取引や一社依存は減点要素です[C-04]。 3. 足場・車両の状態と簿外リスク。足場・車両・倉庫が自社所有かリースか、近隣クレーム・事故歴・原状回復責任・過大リースといった簿外リスクは、デューデリジェンス(買収監査)で確認される項目です[C-04]。
売り手が整えておく準備ポイント3つ
1. 「見えない資産」を見える化する。建設業許可(塗装工事業)の有効期限・専任技術者要件、一級/二級塗装技能士の在籍状況を一覧にしておくと、買い手の評価が早く正確になります[C-11][C-12]。 2. 決算の見え方と個人資産の分離。直近3期の決算整備、社長個人資産と会社資産の混在解消、個人保証の整理は、買い手が安心して値を付ける前提です。 3. 取引と職人の継続性を言語化する。元請取引の継続を示す資料、直需・リピート顧客リスト、職人の定着実績を整理しておくと、「属人化していない=引き継げる」と伝わります[C-04]。
★ 垂直統合の出口設計 — 防水/屋根を内製化して「売れる形」に整える
本記事固有の打ち手がここです。塗装会社の評価を、買い手を待たずに自分から押し上げる方向性として、垂直統合の出口設計があります。
論理の流れはこうです。塗装のみの下請(低粗利・一社依存)→ 防水/屋根を内製化(自社施工化)→ 外注に流れていた下請marginを自社で回収 → 外壁まわりをワンストップ提供できるため元請(直需)へ回れる → 粗利改善 → 黒字継続・直需比率の上昇で営業権が厚くなる → 査定(評価額)の向上につながりうる[C-13]。
同じ年商でも、下請一社依存・低粗利の安値受注の会社より、防水/屋根まで内製化して元請取引・直需リピートを持つ会社のほうが、買い手(特に隣接業種の②③)に響きます。これは§3.5で見た買い手動機と裏表です。実際、不二サッシ×日本防水工業の「外装全てを網羅するトータルリニューアル工事の施工体制を確立」という説明や[C-06c]、クワザワ×フリー・ステアーズの大規模修繕の相乗効果[C-06d]は、まさに「外壁まわりの工種を束ねた会社に価値がある」という買い手側のロジックを示しています。
ただし注意点があります。垂直統合は「内製化すれば必ず査定が上がる」というものではありません。新工種(防水・屋根)は建設業許可・有資格者・安全管理を伴い、売却直前の付け焼き刃ではなく継続した施工実績が要る点を添えておきます。あくまで「営業権を厚くしうる出口設計の一例」として、数年かけて整える前提で検討してください[C-13]。

図解F2:垂直統合の出口設計フロー。防水/屋根の内製化で元請に回り、粗利と直需比率を上げると営業権が厚くなりやすくなります(「必ず上がる」ものではなく継続実績が前提)。
編集部より:事例の金額より、「何を買われたか」を見てください
実際の建設・塗装領域のM&Aで、買い手が最初に確認するのは「建設業許可と専任技術者(一級/二級塗装技能士)が承継できるか」と「元請取引・直需リピートが引き継げるか」です。逆に、社長個人の人脈に依存した取引や、有資格者不在・名義借り的な許可運用は評価を大きく下げます。そして“高く売れた会社”に共通するのは、防水/屋根まで内製化して下請から元請へ回り、粗利と直需比率を上げていた点——事例の金額だけ見ても、その裏の「買い手が何を買っているか・どう整えたか」は見えません。事例の金額をうらやむより、自社のこの部分を整えるほうが、実際の交渉ではよほど効きます。(※本コラムは当社の建設・塗装領域におけるM&A実務での知見に基づく一般的な所感です)
相場の目安 — 事例から「いくら」は出せない
率直に言えば、公表事例の金額は非開示が大半で、マッチングサイトの金額も希望額ですから、事例から「塗装会社は◯◯円で売れる」と相場を出すことはできません[C-02]。中小M&Aでは年買法(時価純資産+営業利益の概ね2〜4年分)などで目安を置き、EBITDA倍率(例3〜5倍)を補助に見ることもありますが、EBITDA倍率は全業界の平均的な参考値で塗装特化の数字ではありません[C-03]。算定式の詳しい見方は兄弟記事に整理しています。本記事では「事例の平均ではなく、自社の許可・技能士・取引を踏まえた個別査定でしか自社の値は分からない」という点だけ押さえてください。
塗装会社のM&A相場・年買法/営業権の算定式・税引後の手取りの詳細は、外壁塗装会社のM&A相場・売却価格の目安(年買法と営業権)で解説しています。「自社はいくらか」を考える前に、相場の“見方”を押さえておくと判断がぶれません。企業価値算定(年買法/EBITDA/DCF)の総論は企業価値の算定を詳しくも参考になります。
手取り(税引後)と「事業承継税制」の誤解
「いくらで売れるか」は「いくら残るか」とは別です。個人株主が株式売却で得た利益には、申告分離課税で税率20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が課されます[C-08](実際の税額は取得費等で変わるため税理士へ)。
そして重要な誤解の整理です。「M&Aで事業承継税制を使って節税できる」は正しくありません。事業承継税制(贈与・相続による株式取得の納税猶予制度)は親族内・社内承継のための制度で、第三者へのM&A売却(株式譲渡所得課税=20.315%の世界)とは別物です[C-07][C-08]。なお法人版・特例措置の特例承継計画の提出期限は令和9年(2027年)9月30日、適用期限は令和9年(2027年)12月31日とされていますが[C-07]、これらはあくまで親族・社内承継の文脈の期限で、第三者へ会社を売る場合の節税策ではない点に注意してください(時限制度のため、検討時には中小企業庁・国税庁の最新情報をご確認ください)。
建設業のM&Aと許可承継の総論(経審・各種スキームの全体像)は、建設業のM&A・許可承継の全体像で解説しています。本記事は塗装工事業に絞っています。一級/二級塗装技能士の在籍数が査定額をどの程度動かすかの定量は、別記事「一級塗装技能士の在籍が査定額をどう動かすか(定量)」で詳述予定です(本記事では「技能士が評価を上げる構造」の説明にとどめています)。
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掲載中の案件は掲載中の建設・塗装関連のM&A案件を見るからご覧いただけます(買い手が実在することは、売り手にとっての安心材料でもあります)。買い手として塗装・建設の譲受を検討する方は買い手として相談することもできます。
§5 よくある質問(FAQ)
Q1. 塗装会社の譲渡・M&A事例にはどんなものがありますか? A. 公表されている事例として、建装工業×TOHO(同業大手の面取り+ファンドからの取得)[C-06a]、エディオン×麻布・ニッソウ×ヤナ・コーポレーション(リフォーム/異業種による塗装の内製化)[C-06b][C-06e]、不二サッシ×日本防水工業グループ・クワザワ×フリー・ステアーズ(防水/屋根など隣接業種の工種一気通貫)[C-06c][C-06d]、アサンテ×ハートフルホーム(外壁リフォームの取り込み・補強)[C-06f]などがあります。いずれも上場・準大手の買い手による公表事例で、取得価額は非開示が中心です[C-02]。
Q2. 塗装会社を買うのはどんな会社ですか? A. 主に4タイプです——①同業大手(エリア・元請枠・職人の取り込み=面取り)②リフォーム・住宅/異業種(塗装の内製化)③防水・屋根など隣接業種(工種の一気通貫)④PEファンド(ロールアップ/exit)[C-01]。実在の公表事例では①②③が確認でき、④は仲介公表でファンド投資先とされるTOHOの取得(exit局面)として整理できます[C-06a]。
Q3. なぜリフォーム会社や同業大手が塗装会社を買収するのですか? A. リフォーム・住宅会社は、外注していた外壁塗装を内製化して下請marginと品質管理を回収できるためです(エディオン×麻布、ニッソウ×ヤナ・コーポレーション)[C-06b][C-06e]。同業大手は、ゼロから採用・育成すると時間のかかる職人・有資格者・元請取引・エリアを会社ごと取り込めるためです(建装工業×TOHO)[C-06a]。いずれも「許可・人材・取引を会社ごと取得して時間を買う」動機です[C-04]。
Q4. 後継者がいない小規模な塗装会社でも売れますか? A. 可能性は十分にあります。建設業の後継者不在率は57.3%と高く[C-souba01]、買い手は許可・技能士・元請枠・職人を一括取得できるM&Aを求めています。建設業許可(塗装工事業)・一級/二級塗装技能士・安定した元請取引・直需リピートが健在なうちほど、買い手の評価が上がります[C-04]。
Q5. 塗装業のM&Aで売却価格はいくらくらいですか? A. 公表事例の取得価額はほとんどが非開示で、マッチングサイトの金額も「希望額」のため、事例から「いくらで売れる」とは言えません[C-02]。中小では数千万〜数億円規模の案件も見られますが、自社の値は許可・技能士・取引を踏まえた個別査定でしか分かりません。相場の見方は外壁塗装会社のM&A相場をご覧ください。
Q6. 防水や屋根を内製化すると会社の評価(査定)は上がりますか? A. 上がりうる方向の打ち手ですが、「必ず上がる」とは言えません。防水/屋根を内製化して外注に流れていた下請marginを回収し、外壁まわりをワンストップで提供して元請(直需)に回れれば、粗利と直需比率が改善し、営業権が厚くなりやすくなります[C-13]。ただし新工種は許可・有資格者・安全管理を伴い、売却直前の付け焼き刃ではなく継続した施工実績が前提です。隣接業種の買い手(防水・屋根・サッシ)に響きやすい整え方です。
Q7. 事例の譲渡金額は実際の成約額ですか? A. いいえ。上場企業の適時開示でも、取得価額は「相手先との合意により非開示」や「記載なし」とされることが多いためです[C-02]。マッチングサイトの金額は売り手の希望額で、これも成約額ではありません。したがって本記事では金額を断定せず、「誰が・なぜ買ったか」を中心に整理しています。
Q8. 塗装会社の許可や技能士はM&Aで引き継げますか? A. スキームによります。株式譲渡なら法人格が変わらず、許可は会社に残って原則継続し、一級/二級塗装技能士も雇用ごと会社に残ります。事業譲渡では建設業許可を移転できず、令和2年改正で新設された事前認可(承継予定日90日前まで・全部承継が前提)を受ける必要があります[C-14]。専任技術者要件(技能士の雇用維持)が崩れると許可維持に影響するため、許可も人材も会社に残せる株式譲渡が選ばれやすいです。可否は行政書士・行政庁にご確認ください。
§6 まとめ — 「誰に売れるか」が分かったら、まず査定を
- 塗装会社の買い手は4タイプ(同業大手・リフォーム/住宅・防水/屋根隣接・ファンド)で、実在の公表事例で①②③が確認でき、④は仲介公表でファンド投資先とされるTOHOの取得(exit局面)として整理できます[C-01][C-06a]。
- 値が付くのは、建設業許可・一級/二級塗装技能士・安定元請取引・直需リピート・自社足場/車両という“数字に出ない資産”です[C-04]。畳めばゼロで消える資産も、譲渡なら次の担い手に引き継がれ対価が残ります。
- 公表事例の金額は非開示が大半、サイトの金額も希望額で、成約額ではありません[C-02]。自社の値は事例の平均ではなく個別査定でしか分かりません。
- そして、その値は整えられます——防水/屋根を内製化して元請に回れば、粗利も査定も上げうる(継続実績が前提・必ず上がるものではない)[C-13]。
売り手チェックリスト(譲渡を考えるなら、まずここから)
- ☐ 建設業許可(塗装工事業)の有効期限・更新状況(または軽微工事中心で許可不要を把握しているか)
- ☐ 専任技術者要件・一級/二級塗装技能士の在籍と継続雇用
- ☐ 安定した元請取引の継続性・一社依存度(直需・リピート顧客があるか)
- ☐ 直需・リピート顧客リストの整備(収益源の分散)
- ☐ 防水・屋根など隣接工種の内製化余地(垂直統合の伸びしろ)
- ☐ 自社足場・車両・倉庫の台帳と所有/リースの区分・状態
- ☐ 近隣クレーム・事故・係争の履歴と対応状況
- ☐ 社長の現場属人化の解消、会社資産と個人資産・個人保証の分離
- ☐ 直近3期の決算整備
「うちを誰が買うのか」という問いには、同業大手・リフォーム会社・防水/屋根など隣接業種・ファンドという構造的な買い手がいる、という答えがあります。事例が示すのは“金額”ではなく、許可・技能士・元請取引・直需リピートという「見えない資産」に値が付くという事実です。あとは、自社のどの資産が誰に響くかを知り、必要なら防水/屋根の内製化で“売れる形”に整えるだけです。
▶ 畳む前に、まず自社の値段を知る
「うちは誰に売れるか」「許可や技能士は評価されるか」「いくらくらいか」「防水/屋根の内製化で査定は上がるか」——売主は完全無料でご相談に応じます。廃業との損得は廃業と売却の比較、相場の見方は外壁塗装会社のM&A相場も併せてどうぞ。 → 畳む前に、自社の値段を無料で知る(売主完全無料)
免責
本記事は塗装工事会社のM&A・譲渡に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の査定額や成約・売却を保証するものではありません。記載した事例の金額は開示額・希望額であり、また非開示のものも含まれます。いずれも実際の成約価格を保証・推定するものではありません。「防水/屋根の内製化による垂直統合」は営業権を厚くしうる一例であり、査定額の向上を保証するものではありません(継続した施工実績が前提です)。財務指標は塗装単独ではなく「職別工事業(塗装を含む区分)」の近似値です。個別の税務の取り扱いは税理士、許認可(建設業許可・塗装工事業)の承継可否は行政書士・行政庁、契約・法務に関する事項は弁護士へご相談ください。本記事には当社サービス(無料売却相談)へのご案内を含みます。
出典
- [C-01] 塗装会社の主な買い手は①同業大手(面取り)②リフォーム・住宅/異業種(内製化)③防水・屋根など隣接業種(工種一気通貫)④PEファンド(ロールアップ/exit)の4タイプ(①②③は公表事例で接地・④はファンドからの取得=exitで接地し専業ロールアップは定性)— 下記C-06群の公表事例+仲介解説(T3>T4・attributed)
- [C-02] 公表事例の譲渡金額は「取得価額 非開示/記載なし」が大半/マッチングプラットフォーム掲載は「譲渡希望額」(数千万〜数億円規模の案件も含む)で成約額ではない — クワザワIR(非開示明記・T3): https://www.kuwazawa-hd.co.jp/cms/wp-content/uploads/2020/09/790704104bb81b1663099754f2a91c7b.pdf / バトンズ 外装塗装 売却案件一覧(T4・列見出し「譲渡希望額」): https://batonz.jp/sell_cases/bk_2300000/bk_2305005/
- [C-03] EBITDA倍率(例3〜5倍)は補助的な参考で全業界平均=塗装特化値ではない(算定式の詳細はsoubaへ送出)— 中小M&A実務解説(T3・attributed・共通REF souba C-03)
- [C-04] 塗装会社の評価は許可・一級/二級塗装技能士・安定元請取引・直需リピート・自社足場/車両で上がり、一社依存・社長属人化・有資格者不在・安値受注で下がる(事例でも買い手は「塗装の技術・職人ネットワーク・営業力」「高い技術力」を評価)— 当社の建設・塗装領域M&A実務知見(定性・共通REF souba C-04)。制度部分は[C-11][C-12][C-14]で一次裏取り。事例の評価点はC-06b/C-06c
- [C-05] 職別工事業(塗装を含む近似・令和4年度)の売上高営業利益率▲0.42%(営業赤字/建設業全体0.33%)。※0.35%は設備工事業の値であり用いない — 建設業情報管理センター(CIIC)「建設業の経営分析(令和4年度)」(T2・共通REF souba C-05): https://www.ciic.or.jp/wp-content/uploads/2024/01/bunseki_R04.pdf
- [C-05b] 職別工事業の自己資本比率29.79%(令和4年度・5区分で最弱/全体39.00%・塗装近似)— 建設業情報管理センター(CIIC)「建設業の経営分析(令和4年度)」図表25(T2・共通REF souba C-05b): https://www.ciic.or.jp/wp-content/uploads/2024/01/bunseki_R04.pdf
- [C-06a] 建装工業(東証・マンション大規模修繕/塗装)がTOHO(東京・マンション大規模修繕/塗装工事/M&A仲介各社の公表でアドミラルキャピタル投資先とされる)の全株式を取得し吸収合併で経営統合(2022年3月契約・3/15株式譲渡実行・7/1合併効力予定/統合で業界第1位約390億円)。取得価額の記載なし(非開示)— M&Aキャピタルパートナーズ/大規模修繕工事新聞/MARR/建装工業IR(T3>T4): https://www.ma-cp.com/news/9068/ / https://daikibo.jp.net/archives/12803 / https://www.marr.jp/mainfo/news/entry/35384
- [C-06b] エディオン(東証プライム2730・家電量販)が麻布(愛知県春日井市・屋根/外壁塗装/リフォーム・2002年設立)の全株式を取得し子会社化(2024年3月1日)。「家電に次ぐ第2の柱としてリフォーム事業に注力」「塗装の技術・職人とのネットワーク・営業力の高さを評価」。取得価額はIR本文に金額記載なし=非公表(連結業績への影響は軽微)— エディオンIR PDF(T3): https://www.edion.co.jp/system/files/ir-news/pdf/ja/2024-03/20240301_ir_1.pdf / https://maonline.jp/news/20240301b
- [C-06c] 不二サッシ(東証5940・サッシ/建材)が日本防水工業(東京都練馬区・防水/塗装の大規模修繕・1963年設立)とその子会社日本スプレー工業(さいたま市・吹付防水)の発行済株式を取得し子会社化(2019年5月15日)。「外装全てを網羅するトータルリニューアル工事の施工体制を確立」「高い技術力」。取得価額の記載なし(非開示)— 不二サッシ公式PR PDF(T3): https://www.fujisash.co.jp/hp/news/news2019/news20190515.pdf / https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000040866.html
- [C-06d] クワザワ(東証一部・札証8104・建設資材商社)がフリー・ステアーズ(千葉県佐倉市・マンション防水/塗装の大規模修繕・2004年設立)の全株式(2,000株・議決権100%)を取得し完全子会社化(2020年1月決議・4/1株式譲渡実行)。給排水管更新工事との相乗効果。取得価額は相手先の要望により非開示 — クワザワIR PDF/日本M&Aセンター(T3): https://www.kuwazawa-hd.co.jp/cms/wp-content/uploads/2020/09/790704104bb81b1663099754f2a91c7b.pdf / https://www.nihon-ma.co.jp/news/20200120_8104-4/
- [C-06e] ニッソウ(東証1444・原状回復/リフォーム)がヤナ・コーポレーション(埼玉県所沢市・塗装工事会社として設立後リフォーム全般へ拡大)の全株式を取得し子会社化(2023年3月決議・5/1株式譲渡実行・首都圏リフォーム事業拡大とグループシナジー)。取得価額の記載なし(非開示)— 日本M&Aセンター/日経適時開示/リフォーム産業新聞(T3>T4): https://www.nihon-ma.co.jp/news/20230316_1444/ / https://www.reform-online.jp/news/reform-shop/22543.php
- [C-06f] (補強)アサンテ(東証プライム6073・住宅メンテ/シロアリ防除)がハートフルホーム(札幌・金属サイディング外壁リフォーム・道内トップクラス)の全株式を取得し完全子会社化(2020年5月公表・7/1株式譲渡実行・外壁リフォームのノウハウ/人材取り込みとエリア拡大)。取得価額は本調査の範囲では未取得=非開示扱い — 日本M&Aセンター(T3>T4): https://www.nihon-ma.co.jp/news/20200519_6073/
- [C-07] 事業承継税制(法人版・特例措置)は親族内・社内承継の納税猶予制度で第三者M&A売却とは別物/特例承継計画 提出期限 令和9年(2027)9月30日・適用期限 令和9年(2027)12月31日(時限制度=検討時に中小企業庁・国税庁の最新情報を要確認)— 中小企業庁/国税庁 タックスアンサー No.4148(T1・共通REF souba C-07): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4148.htm
- [C-08] 個人株主の株式譲渡益は申告分離課税20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)/事業承継税制とは別物 — 国税庁 タックスアンサー No.1463(T1・共通REF souba C-08): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm
- [C-10] 建築物のリフォーム・リニューアル受注高は令和6年度計13兆8,303億円(前年度比+4.2%/住宅4兆1,318億円・▲3.3%/非住宅9兆6,984億円・+7.7%=非住宅牽引)— 国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和6年度計)」(T1・共通REF souba C-10): https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001894226.pdf
- [C-11] 塗装工事は請負500万円以上で建設業許可(塗装工事業)が必要・500万円未満の軽微な工事は許可不要(判定は税込・材料費込み・分割合算)— 建設業法施行令1条の2・国土交通省 許可の要件(T1・共通REF souba C-11): https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html
- [C-12] 一級/二級塗装技能士は技能検定(職業能力開発促進法)の国家資格で、塗装工事業(一般建設業)の専任技術者・主任技術者となり得る(塗装工事業は指定建設業ではなく実務経験10年でも専任技術者になれる)— 厚生労働省 技能検定/国交省 専任技術者となり得る国家資格一覧(T1・共通REF souba C-12): https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001619998.pdf
- [C-13] 防水/屋根の内製化→下請marginの回収→元請化→粗利改善→査定向上、という垂直統合の出口設計がある(方向性・「必ず上がる」断定はせず継続実績前提)— 当社の建設・塗装領域M&A実務知見+一般論(定性)。事例で方向性を補強=不二サッシ「外装全てを網羅するトータルリニューアル」(C-06c)・クワザワの大規模修繕相乗効果(C-06d)
- [C-14] 株式譲渡なら建設業許可は会社に残り原則継続/事業譲渡は令和2年(2020年10月)改正建設業法の事前認可(17条の2・3/承継予定日90日前まで・建設業の全部承継が前提)で承継可・手続きを要する — 国土交通省 地位承継PDF(T1・共通REF souba C-06/C-14): https://www.mlit.go.jp/common/001365753.pdf
- [C-souba01] 建設業の後継者不在率57.3%(2025・全業種最高/2018年ピーク71.4%から改善・全国平均50.1%)— 帝国データバンク「後継者不在率動向調査2025」(T2・共通REF souba C-01。本記事のC-01〔買い手4タイプ〕と番号衝突を避けるためC-souba01と表記): https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251121-successor25y/